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2024.03.02

花粉症に悩む人も意外と知らない「正しい」対策|窓全開・1時間換気1000万個の花粉が流入?


花粉症の季節、あなたはどのような対策をしていますか?(写真:foly / PIXTA()

花粉症の季節、あなたはどのような対策をしていますか?(写真:foly / PIXTA()

目玉をくりぬいて洗いたい!と思うほどの目のかゆみ、ずるずると流れる鼻水……。花粉症に悩まされる季節がやってきた。筆者は、学生のころから、この病と長く付き合っているが、スギに加えてヒノキにもアレルギーが出るなど苦労している。そこで、花粉症対策について、考えていこうと思う。

「あなたの花粉対策は?」○×クイズに挑戦

突然ではあるが、リンナイが「熱と暮らし通信 花粉に関する意識調査」の中で、耳鼻咽喉科専門医監修による「花粉対策○×クイズ」(下図)を掲載している。

正しいと思えば○、間違いと思えば×をつけていくクイズだ。皆さんもチャレンジしてほしい。

※外部配信先では画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

(画像:リンナイ「花粉に関する意識調査」を基に東洋経済作成)

(画像:リンナイ「花粉に関する意識調査」を基に東洋経済作成)

さて、正解は次の図の通り。

(画像:リンナイ「花粉に関する意識調査」を基に東洋経済作成)

(画像:リンナイ「花粉に関する意識調査」を基に東洋経済作成)

皆さんの結果はいかがだろう?

正解が7問以上で「花粉対策優等生」、5~6問で「優等生までもう少し」、4問以下なら「逆効果の危険あり」だというが、ちなみに筆者は正解数4問という散々な結果だった。

全国の男女1000名を対象に聞いた結果では、最も正解率が高いのは「5.手洗い・うがい+鼻うがい」(93%)。

筆者が意外に思ったのは「9.加湿器で花粉の飛散を防ぐ」だった。加湿すると花粉が床に落ちるのだと思っていたが正解は×。正解率を見ても29%と2番目に低かった。

浴室レベルの湯気がない限り花粉は舞い上がるうえ、花粉が水滴に触れるとふやけて中身がはじけて、さらに花粉を起こす物質が出てくる可能性があるからだという。

花粉対策は?

積水ハウスの住生活研究所が「花粉に関する調査」を実施した。全国で花粉症の症状があると回答したのは45.5%。半数近い人に症状がある、というほどの国民病だ。

花粉が飛ぶシーズンには、外に出ないのが一番いいのだろうが、そういうわけにもいかない。この調査で「外出時の花粉対策」として実施していることを聞いた結果は、「マスクの着用」が最多の92.6%で、2番目の「花粉のひどい時期には外出を控える」(31.5%)に大差をつけた。

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」)

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」)

家の中で実施する花粉対策としては、「空気清浄機を使用する」(53.6%)、「洗濯物は室内干しをする」(43.1%)が上位に。

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」)

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」)

帰宅時に自宅に花粉を持ち込まない対策としては、「帰宅後すぐに手洗いをする」(73.5%)、「帰宅時に衣類について花粉をはたく」(71.4%)、「帰宅後すぐにうがいをする」(67.0%)が上位に挙がった。

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」)

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」)

一方で、「効果があったと思う花粉対策(効果実感率)」についても聞いている。

最も効果があったと実感したのは、「外出時」では「マスクの着用」、「帰宅時」では「帰宅後すぐに目を洗う」、「家事・換気・空気環境」では「花粉フィルター等の付いた空調装置の活用」だった。

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」を基に東洋経済作成)

(画像:積水ハウス「花粉に関する調査」を基に東洋経済作成)

実施率が高いことと効果を実感することは、必ずしも一致しないようだ。

自宅内における花粉対策の基本は2つ

では、自宅内の花粉対策をどうしたらよいのか、考えていこう。家の中ですべき花粉対策の基本は、次の2点となる。

(1)外から家に花粉を持ち込まない(付着による持ち込み対策)

(2)家の中に花粉を取り込まない(換気による侵入対策)

まず、(1)の付着による持ち込み対策を考えていこう。

リンナイの○×テストの監修者である石井正則医師は、正しい花粉対策として次のように解説している。

1. 入室前後は乾拭きで(花粉に水は禁物)

2. 外出時の衣服に注意(革製品は避けて)

3. 花粉時期の洗濯は室内干し+乾燥機の使用がおすすめ

第1に、入室前後に花粉を除去すること。その際に、目や鼻に花粉が入らないように、掃除機や粘着テープを使うのが理想的だという。水ぶきは、花粉が水分に触れて膨らんではじけ散るので厳禁。

第2に、外出時の衣類として、革製品や毛皮、ウール、フリース、ボアなどは、付着した花粉が取り除きにくいので避けること。

第3に、天日干しを避けること。花粉は朝から晩まで飛散し、春以外でも年中飛んでいるからだという。洗濯物は、乾燥機を使って速く乾かすのがよいだろう。筆者の場合、花粉の時期は浴室換気乾燥機を使っている。

このほかで考えられるのは、自宅内の動線についてだ。たとえば、玄関にコートや帽子を仕舞える場所があれば、入室前後に除去できなかった花粉を玄関に留め置くことができる。

換気による花粉侵入を撃退するには

環境省によると、花粉最盛期に3LDKのマンションの住戸で窓を全開にして1時間換気した場合、およそ1000万個の花粉が室内に流入したという。

窓を10cm程度開けてレースのカーテンをすると流入数は1/4に減らせるというが、流入した花粉は床やカーペットに残るので、掃除なども欠かせない。

実は、住宅の場合、窓を開けなくても換気できるようになっている。住宅の外壁に「給気口」を設けて外の空気を取り入れ、室内の空気を「排気口」から外に排出する。浴室やキッチンなど強い換気が必要とされる場所には、換気扇(ファン)を付けて、短時間でも空気を入れ換えられるようになっている。

また、住宅の換気の仕方としては、排気も給気も機械(ファン)を用いて換気する「第1種換気」と、排気のみ機械を用いる(給気は自然給気)「第3種換気」がある。第3種換気のほうが費用を抑えられるが、すべての居室に給気口を設置するため、外気の暑さ寒さによって室温が左右されやすい。

一方、第1種換気は費用が高くなるが、たとえば、一定の室温を保ちやすい「熱交換器」を取り付けることも可能になる。熱交換器に花粉フィルターを取り付けたり、居室の換気口に花粉フィルターを付けたりすれば、外気を取り込む際に花粉を除去することが可能だ。

なお、シックハウス対策として2023年に建築基準法が改正され、新築の住宅には「24時間換気システム」が義務づけられている。24時間換気システムによって、住宅は常に換気され、居住空間の空気を2時間で全て入れ換えるようになっている。

後からできる対策も

筆者が住むマンションには、換気口に花粉フィルターなどが付いていない。それでも、寝室には花粉を入れたくないので、寝室の換気口に花粉フィルター付きのカバーを後付けした。

カバーを後付けした給気口(写真:筆者撮影)

カバーを後付けした給気口(写真:筆者撮影)

ただし、住宅業界の知人からは、その換気口からの換気量が前より減る可能性があると指摘された。住宅全体の換気計画についても考慮する必要があるのだという。

筆者はさらに、サッシの網戸に網目の細かい花粉フィルターを付けた。透過性などが少し悪くなるが、花粉シーズンに窓を開けることもあるので、そのときの用心にと思っている。

なお、エアコンについては、その多くが室内の空気を吸い込んで暖めて(夏は冷やして)室内に戻すので、外の空気を取り込むことはない。ただし、室内にある花粉はエアコンに入るので花粉フィルターは有効だ。花粉除去機能のある空気清浄機も使用すれば、効果が期待できるだろう。

さて、国民病でもある花粉症については、病のもとを断つことも課題だ。政府は、国内の杉をたくさん使って、花粉の少ない杉に植え替えるなどの政策を推し進めている。住宅業界でも木材の利用を積極的に進めている。ただ、これには時間を要する。

したがって、それぞれの家庭の事情に応じた、効果的な花粉症の対策を講じていくということになるだろう。

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提供元:花粉症に悩む人も意外と知らない「正しい」対策|東洋経済オンライン

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