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2024.02.27

家で「ねぎのパラパラ冷凍」がお勧めできない理由|冷凍王子が解説、ネギ&薬味の正しい冷凍法


家庭で冷凍パラパラねぎを作るのはNG。その理由とは?(写真:筆者撮影)

家庭で冷凍パラパラねぎを作るのはNG。その理由とは?(写真:筆者撮影)

インターネット上には、家庭でのねぎの「パラパラ冷凍」の方法や冷凍ねぎのレシピがあふれています。でも家庭でのパラパラ冷凍って、実はNGって知っていますか?

「冷凍食品専門家」「冷凍生活アドバイザー」として活動し、『いますぐ食べたい!冷凍食品の本』や『冷凍王子の冷凍大全』などの著書のある“冷凍王子”こと西川剛史さんが挙げる今回のテーマは、「ねぎ&薬味冷凍法」です。

「ねぎ」「冷凍」をキーワードにインターネット検索をすると、「パラパラにする方法」「塊にならない方法」などを解説した記事が多数出てきます。たしかに、パラパラの冷凍ねぎは使い勝手がいいですよね。

冷凍ねぎレシピも多く出ているので、まるで「パラパラ冷凍は正義!」かのように思われがちです。しかし、家庭でパラパラ冷凍することは、本当はおすすめできません。

家庭で冷凍ねぎを楽しむなら?

冷凍食品業界で、ねぎのパラパラ冷凍のようなバラ凍結する方法をIQF(Individual Quick freezing、個別急速凍結)と呼びます。逆に、塊のまま凍結する方法はBQF(Block Quick freezing、ブロック急速凍結)と呼びます。

ねぎや枝豆、コーンなどの多くの冷凍野菜や、ひき肉、チャーハンなど、さまざまな食材・食品でこのIQF技術が利用されており、使いたい分だけ使えて便利なので、冷凍食品の中でもとても人気です。

市販の冷凍食品は、食材のカットサイズを小さくし、バラバラに散らばった状態で、冷却パワーが非常に強い急速凍結機で一気に凍結させます。

IQF凍結では、数分〜数十分という短時間で一気に凍らせるため、食品の組織が壊れにくく、水分や香り、おいしさなどを閉じ込めたままバラ凍結ができるのです。

家庭でパラパラの冷凍ねぎを使いたい場合は、まずは市販の「IQF冷凍ねぎ」を使うことを、筆者はおすすめします。

市販のIQF冷凍ねぎ(写真:筆者撮影)

市販のIQF冷凍ねぎ(写真:筆者撮影)

家庭のパラパラ冷凍がNGな訳

家庭でもパラパラに冷凍することはできます。

ではなぜ、おすすめできないかというと、食材本来のおいしさを大きく損なってしまう可能性があるからです。

食材がバラバラの状態で、冷却パワーの弱い家庭用冷凍庫で長時間かけて冷凍すると、おいしさがどんどん逃げていってしまいます。食材がバラバラだと水分と香りがより飛びやすくなり、さらに長時間かけてじわじわ凍結することで、より乾燥や酸化を促進させてしまうからです。

インターネット上にある「ねぎのパラパラ冷凍」記事を見ると、キッチンペーパーの上にねぎをのせて冷凍時に発生する水分(霜)を吸わせたり、冷凍途中でほぐしたりといったレシピが大半です。

しかし、水分を取ってしまうと、水分と一緒に香りやおいしさも抜けてしまい、乾燥もより一層進んでしまうので、「おいしさを取り除く」という本末転倒な手間をかけていることに……。

冷凍途中で取り出すのも温度変化が起こりやすくなり、食材を劣化させる行為です。

切ったねぎをタッパーやペットボトルに入れて冷凍する方法も紹介されていますが、これも切ったねぎが空気に触れやすいため、乾燥と酸化が進みます。さらに、容器内に空気があることで、冷凍したときに霜がつきやすく、風味が落ちてしまいます。

家庭でのパラパラ凍結が「おいしくない」理由(図版:筆者作成)

家庭でのパラパラ凍結が「おいしくない」理由(図版:筆者作成)

家庭での「ねぎ冷凍」のコツ

では、家庭でねぎを冷凍する場合、どのようにすればいいのでしょうか。

青ねぎに関しての一番のおすすめは、細かくカットしてジッパー付きの保存袋に入れ、かなりしっかり空気を抜いて封をし、薄く平らな状態で冷凍することです。

パラパラにはなりませんが、空気に触れる部分を少なくすることで、乾燥や酸化を抑え、おいしさや香り、風味を閉じ込めたまま冷凍することができます。

家庭での「保存袋によるブロック凍結」がおすすめの理由(図版:筆者作成)

家庭での「保存袋によるブロック凍結」がおすすめの理由(図版:筆者作成)

使うときは平たく固まったねぎを、使う分だけパキッと折って、凍ったまま調理に使います。さらに青ねぎは鮮度が落ちやすいので、買ってきてすぐの新鮮な青ねぎを、カットしたらすぐに冷凍することも重要です。

青ねぎのおすすめの冷凍法(写真:筆者撮影)

青ねぎのおすすめの冷凍法(写真:筆者撮影)

長ねぎは厚さ1cm程度の斜め切りにして保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍すると料理に使いやすいです。

長ねぎのおすすめの冷凍法(写真:筆者撮影)

長ねぎのおすすめの冷凍法(写真:筆者撮影)

薬味用は小口切りにして保存袋に入れて空気を抜いて冷凍します。いずれも使うときは凍ったままで。青い部分はそのまま保存袋に入れて空気を抜いて冷凍しておけば、スープ用や下味用の香味野菜として使えます。

さらには、切らずに丸ごと冷凍する方法もあります。

この場合は、保存袋に青ねぎを曲げて入れて、空気を抜いて冷凍します。使うときは、凍ったまま包丁でカットします。冷凍前に細かく切らないため風味が飛びづらいのがメリットです。ただ、青ねぎに関しては袋の中、さらにねぎ内部の空洞の空気が、丸ごと冷凍では抜きづらいことがデメリットではあります。

青ねぎを切らないまま凍らせる方法(写真:筆者撮影)

青ねぎを切らないまま凍らせる方法(写真:筆者撮影)

続いて、今回紹介したホームフリージングで凍らせたねぎの、おすすめレシピをご紹介します。

とろり食感の絶品パスタ

長ねぎは解凍しても水分が流出せず、一度冷凍することで繊維が崩れやすくなるので、とろりとした食感になります。これを活かした、絶品パスタ「とろっとしんなり冷凍長ねぎのパスタ」のレシピをご紹介しましょう。

ねぎの甘さを感じるシンプルな味わいがやみつきになります。

とろっとしんなり冷凍長ねぎのパスタ(写真:筆者撮影)

とろっとしんなり冷凍長ねぎのパスタ(写真:筆者撮影)

【材料(1人分)】

冷凍長ねぎ 1本分
パスタ 100g
にんにく 1かけ
オリーブオイル 大さじ2
塩・黒こしょう(粗びき) 適量

【作り方】

(1)フライパンにオリーブオイル、スライスしたにんにくを入れ、弱火にかける。
(2)にんにくが薄く色づいたら中火にして、冷凍長ねぎを凍ったままフライパンに入れ、しんなりするまで炒める。
(3)ゆでたパスタを(2)に入れ、塩を加えて混ぜ合わせる。

(4)皿に盛ったら黒こしょうをふる。

余りがちな薬味の冷凍方法

寒い日に恋しい鍋物に欠かせないのが薬味です。しかし、1回に少量しか使わないため、余りがち食材の代表格と言えるかもしれません。

薬味もコツを押さえれば、おいしく冷凍できます。冷凍ストックがあればとても便利ですし、食材もムダになりません。ここでは、4つの薬味の冷凍法を紹介します。応用すれば、バジルやローズマリー、パクチー、三つ葉なども冷凍可能です。

薬味類は、買ってきたらその日使う分以外はすぐに冷凍を。すでに香りが飛んでいたり、シナシナになっていたりする薬味の冷凍はおすすめしません。特に香味野菜は鮮度が落ちやすく、新鮮なものでも切った瞬間から香りがどんどん飛んで薄れていくため注意してください。

しょうが、みょうが、しそ、にんにく冷凍法

保存期間はいずれも2〜3週間を目安に。カットしたものほど香りが飛びやすいので、早めに使い切りましょう。

(写真:『ぐぐっと時短&もっと絶品! 決定版 感動の冷凍術』より)

(写真:『ぐぐっと時短&もっと絶品! 決定版 感動の冷凍術』より)

しょうが:よく洗って水分をふき、皮付きのまま切らずに丸ごとラップで包むか、すりおろしやすいサイズにしてラップに包み、保存袋に入れて空気を抜いて冷凍する。使うときは凍ったまますりおろすのがおすすめ。切って使いたい場合は、冷凍庫から出して1〜2分おいてからカットすると切りやすい。

みょうが:丸のままか、凍ったまま切りやすいように縦半分に切って、ラップで包み保存袋に入れて空気を抜いて冷凍する。使うときは解凍せず、そのまま刻んで使う。

しそ:4〜5枚ずつ重ねてラップで包み、保存袋に入れて空気を抜いて冷凍する。冷凍すると色は悪くなるが、香りや風味は残るので、凍ったまま刻んで、お茶漬けやパスタなど温かい料理に使うのがおすすめ。

にんにく:1かけずつばらし、皮付きのまま保存袋に入れて空気を抜いて冷凍する。使うときは凍ったまま包丁で両端を切って皮をむき、使い方に合わせて切る。硬くて切りにくい場合は、冷凍庫から出して1〜2分おく。

ねぎや薬味の冷凍法が載っている『ぐぐっと時短&もっと絶品! 決定版 感動の冷凍術』(宝島社)より

ねぎや薬味の冷凍法が載っている『ぐぐっと時短&もっと絶品! 決定版 感動の冷凍術』(宝島社)より

また、薬味は1種類だけではなく、お気に入りの何種類かを混ぜた「薬味ミックス」として冷凍するのもおすすめ。

凍ったままの薬味ミックスを、使いたい分だけ手でパキッと折ります。冷奴にのせてポン酢しょうゆをかけたり、そのまま味噌汁に入れたり、鍋物や湯どうふのタレに加えたりするなど、いろいろな料理に使えます。味噌汁に入れるときは、仕上げの段階で入れると香りがより保てます。

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提供元:家で「ねぎのパラパラ冷凍」がお勧めできない理由|東洋経済オンライン

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