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2024.02.05

筋トレだけでは身体能力がアップしない理由|最強の身体能力のカギは"脱力スキル"にある


運動能力をあげること=筋トレというわけではありません(写真:Ushico/PIXTA)

運動能力をあげること=筋トレというわけではありません(写真:Ushico/PIXTA)

運動能力をアップするためにガムシャラに筋トレをしていませんか? 国内外の多くのプロアスリートに身体操作トレーニング指導を行ってきた中野崇さんいわく、「ケガに悩まされることなくハイパフォーマンスを発揮できる選手に共通する“最強の身体能力”のカギは“脱力”にある」のだそう。中野さんの著書『最強の身体能力 プロが実践する脱力スキルの鍛え方』より、脱力スキルと筋トレとの違いや具体的なトレーニング法について解説します。

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ケガなくハイパフォーマンスを発揮し続けるには

「スポーツの世界でハイパフォーマンスを発揮できる選手とそうでない選手、その違いはどこにあるのか?」

この問いに向き合ったことがない選手、指導者はいないと思います。

私自身、アスリートのパフォーマンス向上をサポートする立場になってから、この問いが頭から離れたことはありません。

世の中にはいろいろなトレーニングがあります。どんなトレーニングを選ぶかは人それぞれ理由があると思いますが、トレーニングに求めることは、ケガをしないこと、パフォーマンスが向上することの2点に集約されるのではないでしょうか。

それにもかかわらず、筋骨隆々になるほどトレーニングしてもケガに悩まされたり、パフォーマンスが伸びなかったり、という現実はもう何十年も続いています。

そんな現実を打破すべく、私はケガなくハイパフォーマンスを発揮し続ける選手たちを徹底して分析してきました。

そして、そのような選手たちに明確な共通点があることを見出しました。ケガに悩まされることなく、ハイパフォーマンスを発揮できる選手の共通点、「最強の身体能力」とはどのようなものなのか?

その答えが、本稿のテーマである「脱力」にあります。

脱力スキルは単に力を抜くことを指すわけではありません。

ベッドに寝て脱力することと、スポーツの動作中に脱力できることは大きく異なります。脱力トレーニングを始める前に、単なる脱力とパフォーマンスに有効な脱力の違いを整理しておきましょう。脱力には次の図のように3つの階層(状態)があります。

「脱力」は3階層で進化する

<階層1:単なる脱力>

床に寝ている状態などバランスが安定した姿勢での脱力。競技中のように脱力状態から急激に動くことを前提とせず、とにかく全身の筋肉の緊張を抜いている状態です。

<階層2:姿勢保持の脱力>

(静的脱力)
立った姿勢や構えなど抗重力バランスをとっている状態での脱力。同時にいつでもすぐに動ける状態を前提とした脱力程度を指します。

<階層3:動作中の脱力>

(動的脱力)
歩行中や競技動作など、動作の中で「抜くべき部位」を脱力すること。脱力トレーニングではこの階層3の状態を目指します。

階層2や3のように、動作によって発揮するパワーが大きいほど脱力の難易度は高くなります。

これら3つの階層は階層1から3に向かって影響します。つまり床に寝た状態で脱力できない人に立った状態で脱力を要求することは不可能ですし、動作中に脱力できる人は単に立った状態で間違いなく脱力できているということです。

いきなり階層3の脱力を目指すのではなく、自分がどの階層の脱力であればできるのかをまず把握しましょう。それから1つ上の階層の脱力、すなわち「今の自分にとって少しむずかしい脱力」を徹底してトレーニングすることが、脱力スキルを向上させるポイントです。

「脱力トレーニング」の4つのフェーズ

脱力トレーニングは、次のような4つのフェーズ(段階)で行います。

フェーズ0:腹圧の向上と力を入れるべき部位への刺激(準備状態の整備)

フェーズ1:ストレッチ系(安定した状態での脱力練習)

フェーズ2:揺らす系(力の抜き入れの切り替え練習)

フェーズ3:落下系(急脱力によって重力を利用する練習)

脱力の3階層でも説明したとおり、脱力には難易度があります。特に階層3の競技動作でのリラックス、つまり「動作中の脱力」は試合でのプレッシャーがあるとさらに難易度が跳ね上がります。

試合中にコーチが「力を抜け!」と叫び続けたところで、日頃から脱力するためのトレーニングを積んでいない選手にいきなり難易度の高い脱力は不可能でしょう。

ですがそんな選手にこそ、最終的には階層3に到達してもらいたいのです。

そのためにも脱力トレーニングは取り組みやすいフェーズ0から順番に行い、何度も繰り返してください。

すでに自分は階層2以上だと思われる人も、ぜひフェーズ0から取り組んでみてください。

脱力スキルには「ここまでいけたら完璧」というゴールはありません。そういう性質ではないのです。

トレーニングが簡単に感じても決して軽視せず、気楽にかつ真剣にやってみてください。フェーズ0にも、1にも必ず発見があると思います。

どうしても簡単に思ってしまう人は、「超絶しなやかな動きをするトップアスリートがこのトレーニングをやったらどんな動きになるんだろうか」と想像してみてください。

それでは、実際のトレーニングがどのようなものなのか、今回は脱力トレーニングの基礎であるフェーズ0のトレーニングの中からひとつ紹介しましょう。

体幹と腕のつながりを強化する「後ろわき刺激」です。

「後ろわき刺激」トレーニング

記事画像

『最強の身体能力』P.116~117より

『最強の身体能力』P.116~117より

後ろわきは肩甲骨周りにおいて「力を入れるべき部位」です。ここが働くようになることで肩甲骨周りの力みが抜けて、動きの自由度と力の伝達効率が向上します。

後ろわきのくぼみには体幹・肩甲骨・腕をつなぐ筋肉がたくさん重なっています。くぼみを押さえたまま腕を回すことで使いたくない筋肉の動きが抑えられ、力を入れるべき部位だけが働きやすくなります。

<ここをチェック>

・刺激する前より改善されていればうまくできている

・片側だけ行って左右を比較すると変化がわかりやすい

同じくフェーズ0の「腰腹呼吸」、「みぞおちのコントロール」、「もも裏刺激」などと一緒に行ってみてください。繰り返すうちに、体幹の安定、力を入れるべき部位の働きアップ、脱力の感覚がわかってくるかと思います。

筋力トレーニングと脱力トレーニングをうまく組み合わせ、高いパフォーマンスを生み出しつつ、ケガをしにくい体をつくりましょう。

記事画像

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提供元:筋トレだけでは身体能力がアップしない理由|東洋経済オンライン

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