2023.11.28
日本人が知らない「市販の白だし」超ヤバい裏側|「不自然な味」「もわっとした後味」の正体は?
市販の白だしには、どんな問題店があるのでしょうか(写真:Nutria/PIXTA)
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70万部の大ベストセラー『食品の裏側』の著者、安部司氏が開発した8万部突破のレシピ集『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』に続き、『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん2 ベスト107レシピ』が発売され、発売7日で増刷するなど反響を呼んでいる。
『食品の裏側』発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、安部氏が自ら15年かけて開発した膨大なレシピノートの中から、「時短で簡単に作れる無添加ごはん」を厳選したレシピ集だ。
いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が「日本人も知らない『市販の白だし』のヤバい裏側」について語る。
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「市販の白だしブーム」を斬る
「白だし」がブームのようです。お吸い物、おでん、煮物、だし巻き卵、うどんやそばのつゆなど、万能調味料として使われています。
「白だし」は、だしに薄口しょうゆ、みりん、砂糖などを調合して作られたもの。
めんつゆと違って、濃い色がつかないので、料理を上品に仕上げることができるのが最大の特徴でしょう。
これを使えば、まるで京料理のような、透き通ったおすましや煮物が簡単にできるから、みなさん、感動するのだと思います。
白だしは南の島、沖縄で特に好んで使われていると聞きます。
『安部ごはん』『安部ごはん2』の料理を担当してくださったタカコナカムラさんがいうには「南の地域は、いわゆる醤油ベースがあまり好きでなく、半洋風な料理が人気で、それに白だしがピッタリなのではないか」とのことです。
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確かに沖縄の淡泊な料理に白だしは相性が良さそうです。
しかし、「市販の白だし」には大きく3つの問題があると私は考えます。
【問題点1】添加物がたくさん使われている
まずひとつは添加物がたくさん使われているという問題です。
原材料を見ると、「添加物」がズラリ…
下記を見てください。私がスーパーで買ってきた、一般的な白だしの原材料です。
名称:つゆ(希釈用)
原材料名:食塩(国内製造)、しょうゆ、砂糖、米発酵調味料、かつおぶし、こんぶエキス、しいたけ、かつおエキス、たん白加水分解物、しいたけエキス/調味料(アミノ酸等)、酒精、酸味料、甘味料(甘草)、香料(一部に小麦・大豆・ゼラチンを含む)
*メーカーによって違いがあります
上記のうち「/(スラッシュ)」以下の記載が添加物です。
「調味料(アミノ酸等)」「酸味料」「甘味料」「香料」などの添加物が並びます。
「白く仕上げる」ために「濃口しょうゆ」を減らし、その分いろいろ添加物を使わざるをえないのだと思います。
【問題点2】「目に見えない添加物」が入っている?
さらに、ここには「目に見えない添加物」が入っている可能性があると言ったら驚かれるでしょうか。
それが「キャリーオーバー」という大問題です。
「キャリーオーバー」とは原材料には含まれるものの、出来上がった最終食品に、食品添加物としての効果を及ぼさないものは表示しなくていいというものです。
この「白だし」の場合、もし「しょうゆ」「米発酵調味料」に「化学調味料」や「甘味料」などの添加物が含まれていても、表示しなくていいわけです。
「白だし」の原料のしょうゆ、本当に大丈夫?
そこで思い出していただきたいのが「日本人が知らない「激安醤油」の超ヤバすぎる裏側」で述べた「アミノ酸しょうゆ」です。
「日本人が知らない「激安醤油」の超ヤバすぎる裏側」 ※外部サイトに遷移します
この記事では、大豆を塩酸分解して作った「アミノ酸液」をベースにして作るしょうゆには、コストダウンなどのために添加物が使われている問題があると提起しました。
コストの安い「アミノ酸しょうゆ」は加工に使われることがほとんどだと述べましたが、こういう「激安しょうゆ」は「白だし」にも使われている可能性も、もちろんあるのです。
そして、その「激安しょうゆ」が使わている場合も、表示は「しょうゆ」だけでOKで、そこに含まれている「目に見えない添加物」は「キャリーオーバー」で一切記載する必要がありません。
ちなみに「アミノ酸しょうゆ」を使っていない場合には「本醸造しょうゆ」とラベルに記載されていたりするので、商品を選ぶ参考にしてください。
【問題点3】家庭ではとれない「不自然な味」で「いつまでも後口に残る味」
白だしには、「たんぱく加水分解物」「酵母エキス」、その他各種の「✕✕エキス」が使われていることが多くあります。
「たんぱく加水分解物」については「日本人の舌を壊す『黄金トリオ』の超ヤバい正体」、「酵母エキス」については「健康志向の人も知らない『無添加だし』の深刻盲点」で述べているので、詳しくはそちらをお読みいただきたいのですが、私が指摘している一番の問題は「非常に濃い味」「強いうま味成分」ということです。
「日本人の舌を壊す『黄金トリオ』の超ヤバい正体」 ※外部サイトに遷移します
「健康志向の人も知らない『無添加だし』の深刻盲点」 ※外部サイトに遷移します
「何の臭い? なんで、こんなにくさいの?」
「たんぱく加水分解物」は肉や大豆などのたんぱく質を分解して作り出す「うま味成分」です。たんぱく質の分解には多くの場合、「塩酸」が使われます。
こうして取り出されたうま味は、こんぶやかつおなどでとるだしとは比べ物にならないほど強く、濃厚で「後味をひくうま味」です。
「たんぱく加水分解物」には「独特の臭い」があり、人によっては「くさい」と違和感をもつ人も少なくありません。私の妻や娘も「たんぱく加水分解物」の臭いが苦手で「何の臭い? なんで、こんなにくさいの?」と口にします。
「たんぱく加水分解物」も「酵母エキス」も、飲み込んだあとに「強いうま味」が残ります。
もちろん無添加で天然のだしを使った「白だし」もあります。しかし、あまり一般には広まっていません。
私には添加物や「たんぱく加水分解物」「酵母エキス」の入った「白だし」が「不自然な味」に思えてなりません。
簡単にいえば、「いつまでも後口に残るような味」です。
化学調味料や「たんぱく加水分解物」「酵母エキス」の味が「もわっと」来て、後味が強い。うま味成分だけを「不自然に濃縮」した味、濃厚な味です。
家庭に入り込んできた「工業用調味料」の恐ろしさ
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「たんぱく加水分解物」「酵母エキス」の強いうま味は、家庭では絶対出せない、私に言わせれば「工業用の調味料」です。
白だしもそうですが、「めんつゆ」や「✕✕の素」など、「工業的な味」が家庭料理に入り込むようになったのです。
そして、この「工業的な味」を日本人は「おいしい」と言って食べるようになってしまいました。
強い不自然なうま味に慣れた舌は、素材の本来の淡泊な味、かつお節やこんぶで取っただしのおいしさがわからなくなります。
濃厚で「工業的な味」で育った子どもが、「スナック菓子」を好きになり、かつおやこんぶだしの淡泊な味を「物足りない」「おいしくない」といって食べないのは当たり前のことなのです。
このことを私は非常に危惧しています。
そもそも素朴な疑問として、「工業用の調味料」を家庭料理に使うのは抵抗がありませんか?
スナック菓子を「おいしい」と思う、かつおやこんぶだしの淡泊な味を「物足りない」「おいしくない」と思う、そういう舌を作ってしまう「たんぱく加水分解物の味」を子どもたちや孫、大切な家族に覚えさせたいですか?
そういう「素朴な疑問」を大事にしてほしいと私は思うのです。
現代の日本は外食やおやつなど、工業的な味があふれています。
せめて家庭料理は素材本来の味を生かした、自然のおいしさを伝えていただきたいと私は心から願っています。
「無添加」でも簡単に作れる「手抜きごはん」を開発
そういう思いを込めて、私は15年かけて、「無添加」でも簡単にできる時短の和食『安部ごはん』を開発しました。
新作の『安部ごはん2』では昔ながらのだしを使い、素材本来のうまみを引き出すレシピを紹介しています。
「超高級店の味を再現! 究極のすき焼き」「いくらでも食べられる! ワザあり! 鶏の唐揚げ」など、「魔法の調味料」を使うことで、「簡単」「時短」「手抜き」で美味しい無添加ごはんを作ることは十分可能なのです。
次回は「平気で『市販の白だし』を使うプロの料理家」に対する苦言・提言、さらには私がレシピ考案した「司の白だし」について述べてみたいと思います。どうぞご期待ください。
『安部ごはん2』で紹介している、安部氏が開発した魔法の調味料「かえし」で簡単に作れる「超高級店の味を再現!究極のすき焼き」(撮影:佳川奈央)
次回は「平気で『市販の白だし』を使うプロの料理家」に対する苦言・提言、さらには私がレシピ考案した「司の白だし」について述べてみたいと思います。どうぞご期待ください。
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提供元:日本人が知らない「市販の白だし」超ヤバい裏側|東洋経済オンライン