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2023.10.31

大半の日本人は「目薬の使い方」を間違っている|目薬を差すときのポイントとは?


知っているようで知らない「目薬」の使用ルール(写真:aijiro/PIXTA)

知っているようで知らない「目薬」の使用ルール(写真:aijiro/PIXTA)

目薬の使い方を、実はほとんどの人が誤解しています。目のために点眼しているつもりが、使用方法が間違っているばかりに、目にばい菌を点眼していることもあるのです。

今回は、メディア出演の絶えない眼科医で、『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』でも知られる平松類さんの新刊『眼科医が警告する視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと』から、目薬の正しい使い方について、抜粋してご紹介します。

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1カ月以上前に買った目薬を使ってはいけない

目薬の容器を押すと、一滴の薬液が落ちてきます。このとき目薬の容器内は一時的に陰圧になります。スポイトを思い浮かべていただけるとわかりやすいかと思いますが、手の圧を緩めると、内側へと吸い込む力が働きます。

つまり、目薬の容器は外から不純物を取り込みやすく、内部で雑菌が繁殖する可能性があるということです。ここまでいえば、同じ目薬を何カ月も使い続けるリスクは想像できるでしょう。

開封し、最初に使ってから1カ月以上たった目薬を使うのは、ばい菌を目に差しているようなものといっても大げさではありません。1回でも口をつけて飲んでから1カ月たったペットボトル飲料なんて、誰も飲みませんよね。理屈としてはこれと同じです。

「古い目薬は感染症の元」──そう心得て、薬液が残っていても惜しまず「1カ月」を目途に買い替えましょう。そもそも目薬の容量は、通常、「1カ月で使い切る量」になっていません。「買い替え時に余っているのが普通」なのです。

そのうえで、なるべく目薬の容器に不純物が入らないよう注意することも大切です。

一番気をつけたいのは、目薬の容器が陰圧になる瞬間、つまり目薬を差す瞬間です。確実に点眼したいがために、よく眼球に触れそうなくらいにまで容器を近づけて差す人がいますが、眼球は無菌状態ではありません。細菌を取り込んでしまわないために、最低でも1センチメートルほどは離した位置から点眼してください。

目薬を差したときにまばたきをしてはいけない

目薬は目に入った後、じんわりと眼球に浸透することで薬効を発揮します。ところが点眼直後にまばたきをすると、涙と一緒に鼻から口に抜ける流れを促進してしまいます。

要は、眼球に行き渡る前に薬効成分が下へ下へと押し流されてしまうため、効果が半減してしまうのです。薬剤が眼球にとどまらず体内に流れることで、例えば緑内障の目薬だと心臓の脈に影響したり、ぜんそくなどのせき症状を悪化させたり、普通にしていても眠くなったりというリスクが上がります。もちろんそれだけでなく鼻から口へと流れ込むことでむせたり、苦味を感じてしまうこともあります。

同様に、点眼後に眼球を小刻みに動かすのもよくありません。眼球を動かしたほうが全体に薬効成分が行き渡りそうに思えるかもしれませんが、それは錯覚です。

また、点眼後に目頭をティッシュで押さえるのも避けましょう。これはごく単純な話で、ティッシュで目頭を押さえると、せっかく目に入れた薬液が吸い取られてしまうからです。もちろん目から溢れた分を拭うのは問題ありません。

一番いいのは、点眼後にそっと目を閉じ、目薬が眼球に行き渡るように目頭を軽く 押さえることです。私の研究グループが行った臨床実験でも、点眼後に目頭を押さえるグループと、目頭を押さえないグループとでは、前者に約2倍もの薬効が表れたという結果が出ています。

ちなみに、目薬が目から溢れることが気になる人もいるかもしれませんが、そもそも目薬の一滴はそれくらいに調整されているため、多少は流出しても大丈夫です。きちんと眼球に行き渡っていれば、追加で差す必要はありません。

あといくつか、目薬に関する疑問、誤解を挙げておきましょう。

「目薬は、目のどの部分を狙って差したらいいのか?」と聞かれることもありますが、そんな細かいことを気にする必要はありません。黒目を狙おうと白目を狙おうと、先ほど述べた要領で適切に差せば、一滴だけで眼球に行き渡ります。

目薬を差す時間は、もし意識できるのならば「朝イチ」がベストです。

ちなみに、昔は「寝る前に目薬を差してはいけない」と言われていたのですが、今は違います。

昔の目薬には、防腐剤として少量の水銀が使われていました。

涙はまばたきによって分泌されるため、寝ている間は分泌されません。寝る前に目薬を差すと、水銀が涙で流れずに目に染みて、翌朝目が痛くなることがありました。そのため寝る前に目薬を差すことは避けるように言われていたのです。

でも今の目薬には、水銀は含まれていません。ですから夜に目薬を差しても問題ないのですが、朝に差したほうが目薬のメリットを享受しやすいといえます。

目薬の「いつ」「どこに」「どれくらい」をスッキリ解明

今も述べたように、寝ている間は涙が分泌されないため、起きぬけの目は意外と乾いています。目を閉じている間、ずっと潤っているように思えるかもしれませんが、実は違うのです。

言われてみれば、起きた瞬間、なんだか目がヒリヒリして目を開けづらい感じがする、そんな覚えはありませんか? それこそが「乾き」のサインです。

特にドライアイの人は、枕元に目薬を置いておき、目覚めた瞬間に目薬を差すくらいのつもりでいるといいでしょう。また、朝に目薬を差すと単に目がスッキリして、気持ちもスッキリと1日を始められるというメリットもあります。

目薬を差し忘れることが心配な人は、日常的な動作とセットにしてみてください。例えば、「歯磨きをしたら目薬を差す」「食後に目薬を差す」と決めておく、などです。

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眼科で処方される目薬だと、「1日3回」などと1日に複数回差すように指示される場合があります。ところが目薬というのは、どうも軽視されがちのようで、内服薬ならば「1日3回」を守れるのに、つい目薬は忘れてしまうという声をよく聞くのです。

もっとも、胃腸に影響する内服薬のように「食前」「食後」「食中」といった分け方はないので、もし点眼を忘れてしまっても、思い出したときに差せばかまいません。

ただ、それだとずっと忘れがちになって、結局は、薬効成分が不足してしまう恐れもあります。目薬はいつ差してもいいものとはいえ、確実に差すタイミングを設けておいたほうが、より安心でしょう。

また、2種類以上の目薬を処方された場合は、差すタイミングは同じでいいのですが、それぞれの間は5分ほど開けてください。質感がさらっとした目薬とドロッとした目薬を処方されたら、さらっとしたほうを先に差します。

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提供元:大半の日本人は「目薬の使い方」を間違っている|東洋経済オンライン

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