2023.07.21
夏本番「スマホの熱中症」を引き起こすNG行為|水や冷蔵庫、クーラーで冷やしていませんか?
気温が上がる夏は、iPhoneにとって過酷な環境。スマホ熱中症にならないよう、対策をしたい(筆者撮影)
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スマホは熱くなる。これは、iPhoneも例外ではない。CPU、GPU、バッテリー、カメラ等々、スマホは熱を発する部品の集合体だからだ。
一方でPCのようにファンをつけて放熱できるわけでもないため、熱をどう逃がすかはメーカー各社が頭を悩ませるポイントだ。iPhoneは、比較的その制御がうまい端末ではあるものの、使い方によっては、やはり本体が熱を持ってしまうことがある。
外気温が上がれば、スマホも熱くなる
しかも、これから、スマホの天敵とも言える夏本番がやってくる。外気温が上がれば、おのずと本体も熱を持ちやすくなる。屋外で使えば、直射日光に当たる場面も増えるだろう。
アップルは、iPhoneの使用環境を0度から35度としているが、日本では、これを超える日は少なくない。いわゆる猛暑日の定義は35度以上。こうした気温で使うのは、iPhoneにとって過酷な状況と言えるだろう。
単に本体が少し熱くなるだけならいいが、熱を持ちすぎると、パフォーマンスが低下するのはもちろんのこと、故障やバッテリー劣化の原因にもなる。実際、筆者も充電しながら数十分間、4K動画の撮影をしてみたが、本体がかなりの熱を持ち、画面のアニメーションがカクカクし始めた。
こうした事態になることを避けるには、熱を意識しながらiPhoneを使うといい。ここでは、そんな“スマホ熱中症”を避ける技を紹介していこう。
本体が熱を持ちすぎたときのデメリットは、冒頭で述べたとおり。一時的に動作が緩慢になってしまうだけでなく、故障や劣化の原因にもなるため、できるだけ温度は上がらないようにしたい。
とは言え、気温が上がるのは自然現象。日本にいる限り、夏に暑くなるのは避けられない。ただ、熱を持つのはユーザーの使い方によるところもある。代表的なのが、充電しながらの使用だ。
充電しながらゲームや撮影はNG
特にiPhoneでゲームをしていると、バッテリーがみるみる減ってしまうため、充電しながら遊ぶという人は少なくない。外出先で、モバイルバッテリーにつなぎなら動画を見るといった使い方も、よく目にする。
ただ、iPhoneのパフォーマンスを生かしたようなアプリは、CPUやGPUを限界まで使うため、熱を持ちやすい。さらに充電も、熱の発生源になる。条件が重なれば、本体を使用できないほどの温度になってしまう。
充電しながらのゲームなどはNG。熱が上がりやすくなるため、動作不良や故障にもつながりやすい(筆者撮影)
これを避けるには、充電しながらの操作をあきらめるしかない。バッテリーが減り始めたら、iPhoneを使わないすき間時間を使って小まめに充電しておくのが正解だ。
また、ワイヤレス充電はLightningケーブルを使った充電よりも熱を発しやすいため、特に気をつけたい。最近では、外出先での利用が可能なワイヤレス充電対応のモバイルバッテリーも販売されているが、その際にはiPhoneを休ませておくべきだ。
熱を発しやすい機能やアプリを知り、それを回避するよう設定してもいい。
例えば、動画の撮影は本体が熱くなりやすい作業の1つ。特に、解像度やフレームレートが高くなればなるほど、iPhone側の負荷が大きくなる。4K、60fpsに対応しているiPhoneで撮影してみればわかるが、クーラーが十分利いた部屋でも本体が熱くなる。炎天下の屋外では、その状況がさらに厳しくなる。
ただ、4K、60fpsが本当に必要かというと、そうではない。テレビで再生するといった用途であれば、フルHDでも十分なパターンは多い。この場合は無理に4Kで撮影せず、フルHDまで解像度を落としたほうが、途中で録画が止まる心配を減らせる。
ゲームアプリでも、フレームレートを落とせば、発熱を抑えられることがある。GPUをフル回転させなくても済むからだ。特に夏場は、こうした工夫で熱を抑えるようにしたい。
熱くなったら本体を冷やしてしまえばいいのでは……と思うかもしれない。実際、iPhoneが熱で使えなくなっても、しばらく放置すれば、放熱が進み、再び使えるようになる。
iPhoneは防水仕様のため、冷たい水をかけたり、氷を置いたり、冷蔵庫、冷凍庫に入れたりして、一気に温度を下げればすぐに使えるようになるかもしれないと考えても不思議ではない。ただ、そのような急激な冷やし方は厳禁だ。
水や冷蔵庫、クーラーでの急速冷却はNG
あまりに急激に冷却してしまうと、本体内部の水分が液化し、結露の原因になる。本体の表面温度と気温差が大きいと、これが起こりやすい。
防水といっても、外からの水が入り込まないようにしているだけ。内部で発生した水は、防ぎようがない。基板が結露してしまうと、本体が動かなくなるし、カメラが結露すれば撮影に支障が生じる。
最近の保証サービスは水没までカバーしているため、修理や交換はできることが多いが、アップルの限定保障の対象からは外れてしまう。修理のためのコストが上がってしまうこともあるため、急激な冷却は避けたほうがいい。一方で、熱で使えない状態から、できるだけ早く回復することは可能。例えば、風を当てるのがその方法の1つだ。
扇風機の風を当て、ゆっくり温度を下げていけば結露を防げる(筆者撮影)
扇風機やうちわを使って常温のまま風を当てれば、徐々に熱を下げていくことができる。クーラーの冷たい風を当てるようなことをしなければ、故障させずに本体を冷やすことが可能だ。
最近では、バッテリーで駆動するポータブル扇風機も販売されているため、外出先でiPhoneを冷やしたいときには、こうした製品を使うといいだろう。自分も涼むことができるため、一石二鳥のアイテムだ。
また、直接本体に風を取り込める、スマホ用のファンも販売されている。iPhoneが熱くなりすぎたときや、ゲームのように発熱しやすいアプリを使うときだけ、こうした周辺機器を使うのも手だ。ヘビーユーザーであれば、このようなアイテムの購入を検討してみてもいいだろう。
ただ、スマホ用の冷却ファンは、見た目がかなりゴツイ。扇風機と同様、音も発生するため、利用できるシーンは限定される。
バッテリー駆動型のものだと、冷却できる時間にも制限がある。常用するアイテムというより、熱を発しやすい特定の作業をする際に装着する使い方が中心になるだろう。ただ、それではいざというときにiPhoneが使えなくなってしまうおそれがある。
常用するには冷却シートがオススメ
常用を考えるなら、スマホ用の冷却シートがオススメだ。使い方は簡単で背面に貼るだけ。冷却といっても、冷蔵庫やクーラーのように冷たい空気で冷やすのではなく、基本的には、熱を吸収するための素材が使われている。
そのため、こうしたシートを貼っても、一気に温度が下がるわけではない。上がった温度を冷やして下げるというより、温度を上がりにくくするといったほうが正確だろう。
急激に温度を下げるわけではないため、結露で故障してしまう心配もない。薄型のシートを選べば、本体とケースのすき間に収まるため常用しやすくなる。シート次第だが、ワイヤレス充電をさまたげないものもあるため、こうした製品を選んでiPhoneに貼っておくといい。価格も2000円前後で、比較的リーズナブルにスマホ熱中症対策ができる。
Trinityの「スマ冷え Premium」。シートタイプのため、常用できるのがうれしい(写真:Trinity)
さまざまなメーカーから発売されているスマホ冷却シートだが、薄型で効果が高く、ワイヤレス充電もさまたげないという条件に合う一例が、Trinityの「スマ冷え Premium」。
厚さはわずか0.9mmで、スマホケースとiPhoneの間にピッタリ収まることを売りにしている。こうした配慮は、スマホケースメーカーならではと言えるだろう。
スマホ冷え Premiumには、共同技研化学が開発した蓄熱シート「FREY」が採用されており、シート内部に配置されたマイクロカプセルが熱を吸収する仕組みだ。
2023年に発売されたスマ冷え Premiumは、このマイクロカプセルを従来比で1.5倍に増量しており、効果を高めている。価格は2000円弱。貼るだけでいい簡単な対策のため、スマホ熱中症に悩む人には、利用をお勧めしたい。先に挙げた、扇風機との併用もオススメだ。
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提供元:夏本番「スマホの熱中症」を引き起こすNG行為|東洋経済オンライン