2023.05.30
味の素と大阪王将「冷凍餃子2トップ」を徹底解説|人気上昇中は「王マンドゥ」、大豆ミート餃子も
冷凍餃子の二枚看板「味の素冷凍食品 ギョーザ」と「大阪王将羽根つき餃子」(写真:編集部撮影)
物価高が続く昨今、食費の節約や時短調理ができる食品として注目を集める、冷凍食品や冷凍保存テクニック。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、「冷凍食品専門家」「冷凍生活アドバイザー」として活動し、『いますぐ食べたい!冷凍食品の本』や『冷凍王子の冷凍大全』などの著書のある“冷凍王子”こと西川剛史さんが、“冷凍”の奥深さについて語る。
今回のテーマは、冷凍食品の王道といえる「冷凍餃子」。日本冷凍食品協会がまとめた2022年(1~12月)の冷凍食品の品目別生産量で初めてトップ3に入り、冷凍食品の代表格ともいえる冷凍餃子の魅力を筆者がお伝えする。
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スーパーやコンビニの冷凍食品コーナーに必ず並んでいる冷凍餃子。一度は食べたことがある人や、家の冷凍庫に常備している人もたくさんいるでしょう。
日本冷凍食品協会がまとめた冷凍食品国内生産量の品目別(小分類)によると、餃子は長年にわたって徐々に順位を上げ、2022年には1位うどん、2位コロッケ、3位餃子、4位炒飯と、初めて炒飯を抜いてトップ3にランクインしました。
冷凍食品ランキングでも上位
さらに単品の商品では、フェリカネットワークスが実施したスーパーマーケット冷凍食品ランキング購入金額TOP10のランキングによると、圧倒的な人気を誇るのが1位の「味の素冷凍食品 ギョーザ」。さらに4位にイートアンドフーズの「大阪王将羽根つき餃子」が入り、冷凍餃子の二枚看板いえばこの2つといえるかもしれません。
フェリカネットワークス、2021年「IDレシートデータ」をもとに編集部で作成
最近では味やコンセプト、ターゲット、容量の違いを明確にして、メーカー側も新商品の商品開発にも力を入れているのが特徴で、さらなる市場拡大につながっています。
まずは、超王道の冷凍食品「味の素冷凍食品 ギョーザ」から。
1972年に発売した「冷凍餃子」(写真:味の素冷凍食品提供)
誕生が1972年と、50年以上の歴史があるロングセラー商品です。1997年には油なしで焼けるようになり、2012年には油・水なしで誰でもおいしくパリッと焼けるギョーザに進化しました。
2021年には豚肉を1.5倍に増量して旨味とジューシーさを出すなど、家庭でおいしい餃子を食べられるためのノウハウや、凍ったまま焼くための工夫などが至るところにちりばめられていて、進化が止まりません。
なんといっても魅力は「味のおいしさ」です。独自の研究で、食材や調味料などの配合量やバランスが検証されていて、「味の設計」がていねいに考えられています。そのため、とにかく味のクオリティーが高いです。
例えば、2022年の春にビールに合う餃子として発売された「黒胡椒にんにく餃子」は、口に入れたらにんにくの風味がふわっと広がり(先味)、噛んでいくと豚肉の旨味と甘みを感じ(中味)、最後は黒胡椒のピリッとした余韻(後味)が楽しめるという、口の中で味がどう広がっていくかまで考えられていて、これがおいしさの秘訣になっています。
羽根つき餃子が作れる仕組み
さらに、「羽根の素」で餃子の羽根が簡単に作れるというのが、発売当初は画期的でした。凍ったまま蒸し焼きにすると餃子の底に仕込んだ羽根の素が溶け出して、ギョーザに適度な水分を与えて美味しく蒸し上げることができる。
水分が蒸発した「羽根の素」はギョーザの底にとどまって、パリパリの羽根になるという仕組みです。きれいな羽根ができると、料理がうまくなったように思えてうれしくなりますね。大量生産や原料仕入れによって手ごろな価格で安定しておいしく、この商品単品で年間売り上げ200億円以上を誇るので、まさにキングオブ冷凍食品です。
あの羽根つきの餃子が自宅で作れるのが画期的だった(写真:『いますぐ食べたい!冷凍食品の本』より)
この味の素を猛追しているのが、年間100億円以上の売り上げを突破した「大阪王将 羽根つき餃子」です。
1993年の冷凍餃子。生協への冷凍食品販売を開始したときのもの(写真:イートアンドフーズ提供)
餃子チェーン店として店舗展開するなか、1993年に生協への冷凍餃子販売を皮切りに、2001年から量販店向けに販売を始めました。2005年には外食のクオリティーを楽しんでもらおうと「タレ」を付け、2014年には油・水なしで焼ける羽根つき餃子を売り出し、ついに2018年には「フタなし」で焼ける餃子に進化していきました。
大阪王将の冷凍餃子の魅力は大きく3つ。
1つめは秘伝のタレがついていること。しょうゆや酢、ラー油などで自分でタレを作ることはできますが、その手間が不要なのはうれしいです。さらに秘伝のタレをつけることでこの餃子は味が完成して、よりおいしく餃子を楽しむことができます。
2つめは大阪王将というブランド力。「餃子がおいしい店」というブランド力や知名度があることで、イメージしながら食べるとよりおいしく食べられます。
そして3つめは「フタなし」で焼けるという簡便性。一般的に、フタをすることで蒸されて餃子の皮もふっくらしますが、皮の水分量を増やし、油の粒子を小さくして羽根となる部分に入れ込むことで油はねを防止しているので、フタなしでも焼ける餃子を実現しています。
フタをして焼くとフタの裏側に油がべっとりついて洗いものも増えてしまうので、フタなしで焼けるのは手軽です。さらに誰が焼いても羽根が大きくきれいに焼き上がるのも特徴です。
新商品では牛肉のコクと豚肉の旨味がぎゅっと詰まった「極みの大粒 肉餃子」やトマトソースとチーズを添付した「羽根つきイタリアーノぎょうざ」など新たな商品も増えています。
味の素と大阪王将の2社の意外な共通項は、両社とも具材となるキャベツの日本一の生産地である群馬県内に巨大な冷凍餃子工場があること。
大阪王将は2022年に主力商品であるこの「大阪王将 羽根つき餃子」の製造ラインを導入した新工場(関東第三工場)を群馬県内に新設し、日本最大級の餃子製造工場となりました。餃子といえば宇都宮や浜松が有名ですが、冷凍餃子に関しては実は群馬が重要な拠点になっているのです。
大阪王将の冷凍餃子を製造する「関東第三工場」は日本最大最速級の餃子製造工場。同じ群馬県邑楽郡には味の素冷凍食品の工場もある(写真:イートアンドフーズ提供)
トマトやチーズのトッピングも
冷凍餃子のおすすめの調理方法ですが、メーカーは焼き方も含めて商品開発をしているので、一番はパッケージに書いてあるとおりの作り方が○。あと餃子が焦げつかないようにテフロン加工のフライパンを使うのがおすすめです。
さらには好みに合わせて焼き加減を変えていくといいかもしれません。
アレンジとしては、玉ねぎやチーズ、コチュジャンなどを加えて焼いて、韓国風に。餃子チーズタッカルビも筆者のイチ推しです。これからの季節なら、トマトをトッピングしてイタリア風にしたり、パクチーをのせてさっぱりとエスニック風にして食べたりしてもいいです。
角切りにしたトマトに粉チーズや酢、オリーブオイル、乾燥バジル、塩、コショウを混ぜ、焼いた餃子にかける(『いますぐ食べたい!冷凍食品の本』より)
冷凍餃子の市場拡大で大手2社以外でも、冷凍餃子の開発に力を入れているところがあります。
筆者が今、注目している冷凍餃子の1つめは「bibigo 王(ワン)マンドゥ」(CJ FOODS JAPAN)シリーズです。今、売り上げを伸ばしていて、餃子1個当たりが大ぶりで、食べごたえが抜群。野菜や春雨がたっぷり入っているのでヘルシーで、牛肉のダシがよいコクを出しています。
bibigoの王(ワン)マンドゥ(写真:編集部撮影)
大豆ミートでできた冷凍餃子も登場
2つめは、野菜と大豆ミートからつくるプラントベース冷凍餃子の「東京ヴィーガン餃子」(REPUBL19)です。肉だけではなく動物性の調味料や出汁も使用していませんが、野菜のうま味と甘味に、隠し味のみその深い味わいが加わっておいしいです。
冷凍餃子というと、フライパンで焼いて食べるというのが一般的ですが、電子レンジでチンするだけで食べられる、より手軽なものも商品化されています。
電子レンジ対応の冷凍餃子は非常にニーズの高い商品ですが、やはり焼いた餃子に比べると皮のパリッと感が落ちてしまうので、クオリティーはいま一歩。これは永遠の課題といえそうです。
これだけ普及している冷凍餃子ですが、メーカーの長年の知見と経験を活かし、いまも進化し続けています。その奥深さを知りながら、ぜひ自分好みの商品や食べ方を見つけて、堪能してみてください。
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提供元:味の素と大阪王将「冷凍餃子2トップ」を徹底解説|東洋経済オンライン