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2023.05.23

【UV対策】専門家が重視「日焼け止め」効く使い方|昨今話題「飲む日焼け止め」期待できるのか?


紫外線が気になる季節です。しっかりUV対策をして肌を守りましょう(写真:プラナ/PIXTA)

紫外線が気になる季節です。しっかりUV対策をして肌を守りましょう(写真:プラナ/PIXTA)

紫外線が気になる季節になってきた。紫外線は肌にさまざまなダメージをもたらすことから、対策やケアが必要だ。

「日焼け止め、使っているんだけれどシミができる」という人は、もしかしたら正しい使い方ができていないのかもしれない。近年、登場しているさまざまな日焼け止めも、正しく使わなければ効果が出にくい。

海や山に出かける機会も増える夏を前に、日焼けをしてしまった後の処置なども知っておきたい。皮膚科専門医で近畿大学病院皮膚科非常勤講師の山本晴代医師に詳しい話を聞いた。

かつて、日光浴は体にいいとされ、日焼けした小麦色の肌が健康的なイメージをもっていた時代もあった。だが、それももう昔の話。“紫外線の含まれる太陽光を浴びることはむしろ体に有害なことのほうが多い”ようだ。

紫外線は浴びないほうがいい

「紫外線はカルシウムの吸収を促して骨を丈夫にするビタミンDを体内で作るのには役立ちますが、わざわざ日光を浴びなくても、普段の生活で必要量は足りています。むしろ、紫外線は肌のシミやシワ、たるみの原因になるほか、免疫低下や皮膚がんのリスクを高めるため、極力浴びないほうがいいです」と山本医師。

紫外線がシミやシワ、皮膚がんの原因になることは多くの人が知っていることだが、紫外線の免疫低下については、知らない人も多いのではないだろうか。

「皮膚の表皮には免疫機能を司る細胞があるのですが、体の免疫はここから情報を得て、病気などを予防するシステムが働きます。ところが紫外線を多く浴びると、この細胞のDNAが傷つき、うまく機能しなくなることがあります。その結果、免疫力の低下が生じてしまいます」(山本医師)

紫外線は波長の違いでUVA、UVB、UVCの3種類に分類される。UVCはオゾン層でほとんど吸収されるため、地表に降り注ぐのはUVAとUVBの2つだ。

UVAとVUB(イラスト:マツキヨ /PIXTA)

UVAとVUB(イラスト:マツキヨ /PIXTA)

地表の紫外線の約9割を占めるUVAは、UVBに比べてエネルギーは弱いが波長が長いため、雲や窓ガラスを透過して、室内や車内などに入ってくる。

「UVAは肌の奥深くにある真皮にまで到達し、ハリや弾力のもととなっているコラーゲンやエラスチンなどを作り出す線維芽細胞を傷つけやすい。日常的に浴びていると、これらの細胞が変性して、シワやたるみなどを引き起こす『光老化』が生じます」(山本医師)

一方、波長の短いUVBは、肌の表面にある表皮に強いダメージをもたらす。エネルギーが強いため、短時間でも一度に大量のUVBを浴びると日焼けが起こり、やけどをしたように皮膚の赤み、腫れ、痛みなどが生じるほか、表皮にあるメラノサイト(色素細胞)が活性化してメラニン色素が沈着するため、シミの原因になる。

前述の、表皮にある免疫を司る細胞のDNAを傷つけてしまうのもUVBだ。皮膚には傷ついた細胞を修復する仕組みも備わっているが、DNAの傷害が度重なると、直し間違いが起こり、その突然変異が皮膚がんの原因になると考えられている。

山本医師への取材を基に筆者作成

山本医師への取材を基に筆者作成

日焼け止めSPFとPAの違い

紫外線は1日のうちでも変動する。紫外線量のピークとなるのは正午を挟む10時~14時だ。

「これからの時期はできるだけこの時間帯の外出は避けたいところです。外出する際は、日焼け止めのほか、長袖・長ズボン、帽子、日傘などで物理的に紫外線をカットするなどして、十分な対策を講じることが大切です。UVカット素材の衣類なら、なお望ましいです」と、山本医師はアドバイスする。

対策の1つとして欠かせない日焼け止めについては、押さえておきたいポイントがある。

ご存じのとおり、日焼け止めには2つの指標がある。1つがSPF、もう1つはPAで、前者は数字、後者は+の数で効果の高さを示している。SPFはUVBを、PAはUVAをカットする指標だ。

真夏の正午に日焼け止めをつけずにUVBを浴びて、日焼けするまでの時間はおよそ20分とされる。SPF1はその20分の日焼けを防ぐ効果を示す。「SPF15」は、「SPF1=20分間」を基準として、通常(20分)の15倍の300分(5時間)は肌を日焼けから防げるという表示だ。

一方、PAは数値化ができないために効果が+で示されており、PAのレベルは「PA+ (効果がある)」「PA++(効果がかなりある)」「PA+++(効果が非常にある)」「PA++++(効果が極めて高い)」の4段階だ。

使用するシーンごとに必要とされる日焼け止めのSPFとPAの目安は以下のとおりになる。

山本医師への取材を基に筆者作成

山本医師への取材を基に筆者作成

日焼け止めが“最大限の効果を発揮する”塗り方のコツはあるのだろうか。
山本医師は「量」と「部位」「回数」の3つを重視する。

日焼け止めの正しい塗り方

「クリームタイプであれば顔全体にパール玉2粒程度、乳液タイプは1円玉硬貨2枚分の量が目安です。顔全体にムラなくしっかりのばします。しっかりした効果を出したいのであれば、少し白浮きするぐらいが適正量です。シミができやすい頬骨や鼻にはとくに念入りに塗りましょう」

さらに、唇にはリップクリームタイプ、髪や頭皮にはスプレータイプの日焼け止めも出ている。短髪や髪を縛っている人は耳や耳の後ろ側も日焼けしやすい。唇や頭、耳などは塗るのを忘れやすいので、注意しよう。

回数というのは、こまめな塗り直しを指す。

「時間が経つと汗や摩擦などで取れてしまうため、できれば2~3時間ごとに塗り直すのがベストです。頬骨や鼻にはスプレータイプやUVカットのファンデーション、フェイスパウダーを上から重ね塗りするといいでしょう」(山本医師)

室内でも、曇りの日でも、できれば3時間ごとの塗り直しをしてほしいという。曇りの日でも晴れの日の60%、雨の日でも20%の紫外線が降り注ぐ。UVAは室内にも入ってくるので油断は禁物だ。

日焼け止めの成分には「紫外線吸収剤」と「散乱剤」がある。吸収剤は紫外線を吸収して熱などのエネルギーに変換して排出する。散乱剤は紫外線を反射・散乱することで紫外線から肌を守る。

「吸収剤は紫外線を防御する効果が高く、使用感もよいですが肌に負担がかかりやすい。人によってはかぶれを引き起こすことがあります。肌に合わないと感じた場合は、『ノンケミカル』や『吸収剤不使用』などと表示された散乱剤中心の日焼け止めを選ぶとよいでしょう。また敏感肌や疾患肌の方は、石けんや洗顔料で落とすことのできる肌への負担が少ない日焼け止めを選ぶとよいでしょう」(山本医師)

これから夏に向けて、海や山のレジャーに出かける人も多いだろう。

屋外でのスポーツや海水浴、マリンスポーツなどでは汗や水に強いウォータープルーフタイプの日焼け止めが必要だ。山本医師によると、落ちにくいタイプでも汗や摩擦で取れてしまうため、2~3時間おきにしっかり塗り直すことが大切だという。

「夏のリゾート地では木陰にいても照り返しで60%の紫外線量が、ビーチの砂浜の日陰でも照り返しで15~20%の紫外線量があります。 直接、陽が当たらないからと油断せず、しっかりと対策をとりましょう。日焼け止めプラス、日傘、帽子、手袋、UVカット素材の衣類を上手に取り入れてください」(山本医師)

近年、話題となっている「飲む日焼け止め」。いろいろなメーカーから商品が発売されているが、その日焼け止め効果は実際のところ、どうなのだろうか。

「海外の文献の研究結果をSPFの計算式に当てはめて換算してみると、“SPF1.5~2程度の追加効果しかない”とされています。これだけで日焼けが防げるわけではなく、補助的なものとして考えたほうがいいと思います」(山本医師)

飲む日焼け止めで期待できるのは、日焼け後のダメージケアだという。

「配合成分にはシスチンやビタミンC、βカロテンなど抗酸化作用の強いものが入っていることが多いため、日焼け後のダメージの軽減や回復には有用だと思います」(山本医師)

うっかり日焼け、どうすればいい?

最後に、うっかり日焼けをしてしまった場合のケアを聞いた。

日焼け後はやけどと同じで、肌のバリア機能が壊れている状態だ。「日焼け後の肌にはアロエがよい」などの話はよく聞くが、山本医師によると、保湿力の高い乳液やクリームなどでしっかり保湿をすることが大切だという。「日焼け後のシミ予防として、ビタミンCの摂取、ビタミンC入りのローションや美容液の使用も効果的です」という。

ただし、ビタミンCそのものは肌に浸透しにくいという特徴がある。そのため、肌に吸収されてからビタミンCに変化するビタミンC誘導体配合のローションや美容液なども登場している。より肌に浸透しやすいそうしたアイテムの活用もよいだろう。

日焼け後の赤みなどの症状が残る場合は「日光皮膚炎」といい、軽度、中程度、重度の3つのレベルに分かれる。

肌が赤みを帯びてほてり、ヒリヒリするレベルは軽度だ。早めに濡れタオルや、氷水入りのビニール袋をタオルに包んだものを日焼けした箇所にあててしっかり冷やす。タオルがなければ、冷水で冷やすだけでもかまわないという。

日焼けした部分を冷やしても、赤みやヒリヒリとした痛みがしばらく残るようなら、中程度だという。

「できれば皮膚科を受診したほうがいいですね。ステロイド軟膏を使えば改善します。日焼けした範囲が広く、水ぶくれや強い痛みに加えて、頭痛や吐き気、発熱、倦怠感などの全身症状を伴う場合は重度ですので、そのまま放置してしまうと、まれにショック状態(重度の低血圧、失神、ひどい脱力症状など)に陥るケースもあります。 必ず速やかに病院を受診してください。受診までの間は日焼け部位を濡れタオルなどで冷やしましょう」(山本医師)

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紫外線は1年を通して肌にさまざまなダメージを与えている。UVA、UVBともに春先から増え始め、4~10月にとくに強まるが、真冬でもUVAは夏の半分程度にしか減らない。1年中、紫外線対策は必要なのだという。

「日常的には、朝の洗顔後、化粧水などと同時に日焼け止めも塗るのを習慣にしましょう」(山本医師)

(取材・文/石川美香子)

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近畿大学病院皮膚科非常勤講師 美容皮膚科レーザーチームリーダー
山本晴代医師

2004年近畿大学医学部卒業。同大学医学部附属病院皮膚科助教、PL病院皮膚科医長、近畿大学病院皮膚科医学部講師を経て、現在、近畿大学病院皮膚科非常勤講師として美容皮膚科レーザーチーム主任・リーダーを務める。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本皮膚科学会認定 美容皮膚科・レーザー指導専門医 、日本レーザー医学会レーザー指導医・専門医、日本抗加齢医学会抗加齢専門医。シミ、シワ、ニキビで悩む方向けにメディアを通して、正しい知識やスキンケア法などを伝える活動も行っている。

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提供元:【UV対策】専門家が重視「日焼け止め」効く使い方|東洋経済オンライン

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