2023.04.15
医師が警告!「朝食を食べない人」が超危険な根拠|"血管の名医"が「簡単、時短、やせる朝食」も紹介
「朝食抜き」が健康によくない理由について解説します(写真:buritora/PIXTA)
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生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで「血管の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。
テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。
過去15キロ以上の減量に成功し、その減量メソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』に続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える 「100年心臓」のつくり方』を上梓した。
「人生100年時代」を最後まで満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなど、あらゆる観点からアドバイスする1冊で、発売後わずか6日で3刷2万部を突破するなど、話題を呼んでいる。
その池谷氏が「『朝食抜き』が健康によくない納得の根拠・理由」について解説する。
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「プチ断食ダイエット」は危険!?
最近、朝食を抜く「プチ断食ダイエット」「16時間断食ダイエット」がはやっていると聞きます。
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「朝食を欠食することで内臓を休ませる」「1日の摂取カロリーが減ってダイエットにつながる」ということのようです。
また空腹時間が長いと 「サーチュイン(長寿)遺伝子」 がオンになって健康にいい、長生きができるという意見もあります。
しかしこれは何も 「断食」をしなくても、食事量を減らしたって同じなのです。
サルの実験で、カロリーを制限したグループと通常の食事を与えたグループとでは、カロリー制限をしたグループのほうが病気のリスクが少なく長生きしたという有名な実験があります。これはカロリー制限であって「断食」をさせたわけではありません。
要は 「腹八分目」を守っていれば、つねに「サーチュイン遺伝子」は軽くオンの状態になっているのです。
だからこそ、ここで私が注意喚起したいのは、朝食を抜くことの「さまざまな重大リスク」についてです。
朝食を抜くと、かえって肥満になるというデータも出ているほか、「脳心血管系疾患」になるリスクを高めたり、糖尿病を悪化させたりするという報告もあります。
私が提唱する「日本人の死因第2位の心臓病(心不全)」を避け、「人生100年時代」を最後まで満喫できる「『心臓の健康』にいい生活」を送るうえでも、朝食を抜くことはNGです。
今回は、朝食抜きが「心臓の健康」にNGな2つの根拠・理由と、忙しい毎日に朝食をしっかりとるコツについてお話したいと思います。
まず、朝食を抜くと、午前中、空腹感からイライラして「交感神経」が高まってしまうという問題があります。
血糖値の急激な上昇・下降は「血管を傷つける大敵」
【1】イライラして、午前中から「交感神経」が高まってしまう
私たちは、興奮したり、緊張したり、イライラしたりすることで、「交感神経」が高まります。それに伴って、心臓はドキドキと激しく動き、心拍数が上がり、血圧も上昇します。
これにより、心臓は「高い負荷」に逆らって、強く収縮して血液を送り出さなければなりません。
「心臓の健康」を守る大前提のひとつとして、日常生活で「血圧・心拍数をムダに上げない工夫」をすること、そのためには「交感神経を過度に緊張させない」ことが大切なのです。
それに、お腹が空いて「お昼はまだかな」と気にしていたら、集中力も落ちて、勉強や仕事のパフォーマンスが下がってしまいますよね。
自律神経を整えるためにも、朝食は重要なのです。
朝食を抜くと、空腹感で午前中イライラしがちになり、交感神経が高まって心臓に負担をかけてしまう。集中力、勉強や仕事のパフォーマンスを上げるためにも朝食は重要(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
【2】「昼食後の血糖値」がガツンと上がり、血管に「ダメージ」を与える
もうひとつは、朝食を抜くと、昼食後の血糖値がガツンと上がってしまうことです。
血糖値が急上昇すると、それを下げるためにインスリンが多量に分泌されるため、今度は急激に血糖値が下がります。この血糖値の急激な上昇・下降は「血管を傷つける大敵」となります。
朝食をとらないと「低血糖」の状態が長く続くので、体は「インスリン拮抗ホルモン」という、血糖値を上げるホルモンを分泌します。そこに昼食をとると、いつも以上に血糖値が上がりやすくなるわけです。
朝食をとらない分、お昼にたくさん食べてしまう可能性もあり、それもあわせて気をつけたいところです。
ここまで述べてきたように、朝食をとることは「心臓の健康」のためにも、とても大事です。
とはいえ、朝は時間がありませんから、あまり手の込んだものは用意できないという人も多いと思います。わが家も朝は「時間との戦い」ですから、朝食はサッと用意できるものに絞っています。
最近の我が家の定番で、おすすめの朝ごはんは、次の3つです。
池谷家の定番「簡単×時短」朝ごはん
★池谷家特製野菜ジュース
季節の野菜や果物をスロージューサーで搾り、レモン少々とエキストラバージンオリーブオイルを小さじ1杯ほどたらします。
★大豆フレーク入りヨーグルトあるいは納豆ご飯と味噌汁
市販の「大豆フレーク」をヨーグルトにトッピングしたもの。「大豆フレーク」ではなく、「蒸し大豆」を入れることもあります。流動食ばかりではなく、かみごたえのあるものを入れることで、お腹を満たすことができます。白米控えめの納豆ご飯と味噌汁という和風朝食も近年お気に入りです。
★ブラックコーヒー
この朝食のいいところは、サッと用意できて、しかもビタミン・ミネラル、食物繊維、たんぱく質といった不足しがちな栄養素がとれ、なおかつ低糖質、低カロリーなことです。
血糖値の急上昇(急下降)が生じにくいので、お腹が空きにくいのもいいところです。
朝食をとることは「心臓の健康」のためにも大事。栄養のバランスがとれ、なおかつ「簡単×時短」に用意できる自分の定番の朝食を見つけるのがおすすめ(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
朝食は簡単なものでいいので、不足しがちなビタミン・ミネラルや食物繊維、たんぱく質をしっかりとりましょう。
メタボや血糖値が気になる人は、「糖質控えめの朝食」が理想的です。
「おにぎりだけ」「パンだけ」というのは避け、野菜ジュースを追加する、納豆ご飯にしてみる、豆腐や卵を加えた味噌汁を添えるなどしましょう。シリアルとヨーグルト、牛乳という組み合わせでもいいでしょう。
なかには、「朝は食欲がない」「胃の調子がよくない」という人もいると思います。
私もかつては胃弱に悩んだひとりですから、気持ちはよくわかります。そこで「胃腸のリセット食」として開発したのが 「半熟卵入りのおかゆ」。とても消化にいいのです。温泉卵でもOKですし、塩気が欲しかったら、梅干しを少し混ぜてもいいでしょう。
朝食が食べられないときは、野菜ジュースやニンジンジュースを飲むという人も多いのですが、ジュースは冷たいし、食物繊維も含まれているので、人によっては胃腸に負担がかかることも考えられます。
「朝は食欲がない人」は「夜の食事」を見直そう
また、「朝は食欲がない」「食べられない」という人は、夜食べすぎていたり胃が休まっていなかったりします。
胃腸は 「蠕動(ぜんどう)運動」 といって、食後に伸び縮みすることで消化活動を行っています。
就寝中には「大蠕動」と呼ばれる大きな収縮が繰り返されて、胃の中身を空っぽにします。こうして、胃は朝の食事を快適に受け入れる用意を整えるようになっているのです。
ところが就寝前に食事をすると、胃は就寝中に消化のための「蠕動運動」に追われて、「大蠕動」によるリセットができなくなってしまいます。
夜遅めの食事をした翌朝に食欲がなくなったり、食後に不快感が生じたりするのは、このためです。
そこで私は夕食にも、この「胃のリセット食」をおすすめします。腹持ちはちょっと悪いのですが、夜は早々と寝てしまえば、それほど気になりません。
夕食が低カロリーで済むため、「かなりのダイエット効果」が期待できますが、栄養不足が気になる人は、昼の食事をバランスよく、しっかり食べてください。
「朝食抜き」は、「交感神経の緊張」や病気のリスク、午前中のモチベーションの低下などを引き起こす。「朝は食欲がない」という人は、消化にいい朝食を用意したり、夜の食事を見直したりするなど工夫を(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
ここまで見てきたように「朝食抜き」は、「交感神経の緊張」や「病気のリスク」「血管を傷つける」「午前中のパフォーマンスの低下」など、トータルで考えると、健康には極めてよくないということがおわかりになるかと思います。
結論として、朝食はとったほうが、健康のためにも、仕事や勉強のパフォーマンスのためにも、そして我々にとって大切だけど見逃しがちな「心臓の健康」のためにもいいのです。
無理なく用意できる「自分なりの定番の朝食」を見つけて「心臓の健康」にいい毎日を過ごし、「人生100年時代」を最後まで満喫できる「100年心臓」を、ぜひ手に入れてくださいね。
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提供元:医師が警告!「朝食を食べない人」が超危険な根拠|東洋経済オンライン