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2023.04.04

今こそ危険「コロナ後→心臓病リスク急増」怖い訳|「最近、心臓病の急死の報道も多く…」理由は?


コロナ収束で「心臓病リスク」が増える、その理由とは?(写真:takeuchi masato/PIXTA)

コロナ収束で「心臓病リスク」が増える、その理由とは?(写真:takeuchi masato/PIXTA)

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生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで「血管の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。

テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。

過去15キロ以上の減量に成功し、その減量メソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』に続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』を上梓した。

「人生100年時代」を最期まで元気に満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなどなどあらゆる観点から解説し、「100年もつ心臓」を作るための秘訣を全公開した1冊だ。同書は発売わずか6日で3刷2万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいる。

その池谷氏が、「コロナ収束で『今こそ心臓病リスクの増加』が懸念される怖い理由」について解説する。

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「心不全パンデミック」がすでに起こっている

2023年に入り、コロナも収束の気配を見せてきました。厚生労働省は今月、「マスク着用は個人の判断を基本」としたうえで、新たなガイドラインを発表。また、政府は新型コロナの感染症法上の位置づけについて、5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げる方針を明らかにしました。

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こうした流れに伴って、全国各地でマラソンなどのスポーツ競技や各種イベントが数年ぶりに開催され、賑わいをみせています。

これまで在宅時間が長かった人も、外に出る機会が増えることでしょう。自粛していたスポーツ、山や海などへのレジャーを楽しむ人もいると思います。

もちろんそれはいいのですが、こういった状況は、じつは「心臓にとっては要注意の側面」があるのです。

というのも、コロナにより私たちを取り巻く環境や生活習慣が大きく変化したことで、「心臓の健康」が危うくなっている状況が懸念されます。

そのような状況において、急に運動をしたり、心拍数を上げるような行動をとってしまったりするのは心臓に「大きな負担」となってしまうからです。

いままで静かな生活をしていたのが急に活動的になることで、心臓が適応できず、最悪は「心筋梗塞」などの血管事故を起こすこともありえます。

以前から、アフターコロナの「心不全の発症率の増加」を危惧する声があったのですが、残念ながら、そのような悲劇はすでに現実に起こっています。

今回は、コロナ収束で「心臓病リスク」が増える、その理由について私の実体験も交えてお話しします。

【1】急に活動すると血圧が急上昇し「心臓の負担」に

新刊『「100年心臓」のつくり方』を脱稿する直前のことです。

私が院長を務める池谷医院の患者さんの家族や近隣の人など、1週間で8人が急性心不全を起こすということがありました。

残念ながら、そのうち7人が命を落としてしまいました。7人のうち4人が「心筋梗塞」、3人が「大動脈解離」 でした。

大動脈解離は心臓から全身に血液を流す大動脈が裂けてしまうことですが、心臓の近くで起こると非常に危険です。

「心タンポナーデ」といって、心臓を取り巻く膜と筋肉の間に血液が入り込んでしまい、これが心臓を強く圧迫し、結果的に血圧が下がって急死してしまうこともあるのです。

先日、落語家でタレントの笑福亭笑瓶さんが「急性大動脈解離」で命を落としてしまうという悲しいニュースが報道されました。突然発症し、命にかかわるケースも多い非常に危険な病気です。

過去にない寒波と「8人のある共通点」とは?

それにしてもこんな短時間にこれだけの人数が急性心不全になるとは、当院でも過去に経験がありません。

考えられる原因は10年に1度という寒波です。私のクリニックのある東京西部でも非常に寒い日が続きました。

そして不思議に思ったのは、不幸な転機をとった7人全員が女性だったということです。みなさん70代でしたが、それまでは元気に生活されていたのです。

考えてみて思い当たったのが、女性は朝いちばんに起きて、部屋がまだ暖まっていない寒いところで、朝食づくりや洗濯などの家事を行う人が多いということです。8人が急性心不全を起こした時間はすべて朝でした。

寒いところで急に活動をすると、血圧が急上昇して、動脈や心臓に過度の負担がかかり、このような不幸な心血管事故が起こってしまうのです。

しかし、ここで注意したい点があります。これらの血管事故は一見、寒波によるヒートショックで起こったように見えますが、その大もとにはやはり心血管事故の原因となる「動脈硬化の進行」があったはずです。

【2】コロナで一変した生活習慣により蓄積された「心臓ダメージ」

その原因こそが「生活習慣」です。

コロナにより拍車のかかった「過食」や「運動不足」などの生活習慣が、「内臓脂肪の蓄積」とともに、「高血圧」や「糖尿病」「脂質異常症」などの「動脈硬化の危険因子の悪化」につながります。このことは、「“太っている人”が知らない『心臓病』超怖いリスク」で詳しく解説しています。

さらに、一変した生活は「心の乱れ」を引き起こし、ストレスとなって自律神経に「よからぬ影響」 をもたらします。

「“太っている人”が知らない『心臓病』超怖いリスク」 ※外部サイトに遷移します

「心臓の健康」にとって大きなマイナス

これらは すべて「心臓の健康」にとって大きなマイナスです。

ここ数年のコロナ禍で、「動脈硬化を引き起こすような生活習慣」が根付いてしまったところに、急激な温度差などが起こると、このような「心不全の発症のきっかけ」となってしまうのです。

アフターコロナの日本において、超高齢社会も相まって「心不全の発症率の増加」を危惧する声が高まっています。「心不全パンデミック」ともいわれる事態が起こってしまうかもしれないといわれています。

高齢者の増加に伴って「高齢心不全患者」が大幅に増えることが予想されている。これは「心不全パンデミック」とも呼ばれる(図表『100年心臓のつくり方』より)

高齢者の増加に伴って「高齢心不全患者」が大幅に増えることが予想されている。これは「心不全パンデミック」とも呼ばれる(図表『100年心臓のつくり方』より)

これはなにも、高齢者だけの問題ではありません。その危機はみなさんの近くにも迫っているかもしれないのです。

「心不全」の要因となる「動脈硬化」は老化現象のひとつといえますが、背景には生活習慣が大きく関係するため、実年齢にかかわらず、個人差が非常に大きいのです。

つまり、血管力を低下させ、心臓に負荷をかけるような悪しき生活習慣が、「動脈硬化」を進行させて「心不全」のリスクを増大させ、その発症時期を早めることになるのです。コロナ禍でその懸念が高まっています。

先述したように、新型コロナウイルス感染症が収束に向かいつつあるいま、レジャーやスポーツなど活動の機会も増えつつあります。そのときにいきなり心拍数・血圧が急上昇して、心臓や動脈がダメージを受け、恐ろしい心血管事故を起こしてしまったら大変です。

悲しいことに、今年2月、5年ぶりに福島県いわき市で開かれた「第14回いわきサンシャインマラソン」で、20代の男性ランナーがレース中に倒れて救急搬送され、その後死亡したことがニュースで報じられました。死因はわかっていませんが、「心臓のダメージ」は、このような「突然死を引き起こす原因」ともなりうるのです。

起こってしまってからでは遅いのです。だからこそ、今日から生活習慣を見直し、「『心臓の健康』にいい生活」を心がけて、あなたの大切な心臓を、ぜひとも思いやってください。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

医師が警告「"悪い睡眠"は心臓にも悪影響」4大NG

"太っている人"が知らない「心臓病」超怖いリスク

「40代でもお腹が凹む!」内臓脂肪を落とす5習慣

提供元:今こそ危険「コロナ後→心臓病リスク急増」怖い訳|東洋経済オンライン

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