2023.03.29
「周りの評価を気にしてしまう」人に伝えたい秘策|「プラスの言葉」をシャワーのように浴びよう
画像:『マンガでわかる!「わたし、発達障害かも?」生きるのがラクになる「話し方」あります』より
発達障害の人やグレーゾーンの人は幼い頃から「どうしてできないの」「他の人と同じようにしなさい」などと叱られる機会が多く、そのため自己肯定感が低い人が多いといわれます。
連載第3回では、発達障害の人が自己肯定感を高める方法などを紹介します。
精神科医・ゆうきゆう氏と漫画家Jam氏のコラボによる『マンガでわかる!「わたし、発達障害かも?」生きるのがラクになる「話し方」あります』から一部抜粋、再構成してお届けします。
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1日1回自分をほめよう
「頼みごとを断りたいのに断れない」「人からすすめられたら、欲しくないモノまで買ってしまう」「好きでもない人でも、グイグイこられると断れない」……自分のキャパシティを超えてまで人に合わせようとしてしまう人は、「自分に自信がない」ことが大きな理由のひとつかもしれません。
自信がないと、他人の評価が過度に気になってしまいます。また、自分の意見や選択にも自信を持てないために、人に合わせてしまいやすくなるのです。
自信をつけるために今すぐ簡単にできるのは、「1日1回、自分をほめる」ことです。どんな小さなことでもいいので、「今日、自分ができたこと」や、「よかったと思ったこと」を手帳や日記、スマホのメモ機能などに書いてみましょう。
毎日、自分に「ほめ言葉」=「プラスの言葉」をシャワーのように浴びせることで、自信が回復するのを感じていただけるはずですよ。
その際には、「今日も私、頑張った」といった漠然とした表現よりも、「書類仕事を1時間で終わらせてすごい!」「今日も笑顔であいさつできて偉かった!」など、具体的な事例を挙げて言葉にするほうがより効果的です。数字を入れてみるのもいいですね。
何か失敗をしてしまっていいことが思いつかなかった日は、「失敗したけど、すぐにフォローできた!」「今回はダメだったけど、前よりよくなってる。大丈夫。また次があるよ!」など、失敗という結果ではなく、できた「自分の行動」に注目して自分を受け入れてあげましょう。
自分をほめ、どんな自分も肯定してあげることが「自己肯定感」を高める秘訣です。ぜひ、試してみてください。
ネガティブをポジティブに変える
「リフレーミング」とは、ネガティブなことをポジティブな枠組みに変え、別の感じ方を導き出すことを指します。例えば、「優柔不断」なら「思慮深い」、「八方美人」なら「コミュニケーション能力が高い」、「太っている」なら「貫禄がある」……といった具合です。
このように、どんなことも「別の見方」をすることができます。
そしてもちろん、自分のことにネガティブな印象を持ったときも、このリフレーミングは使えます。
「引っ込み思案な自分がイヤ」と思うなら、「自分は慎重派なんだ」と考えられますし、「よくミスをしてしまうのがつらい」と思うなら、「ミスをするのは行動が早い証拠」と考え直すことも可能です。
今感じている印象は、視点を変えればいくらでも変わります。一度試してみてくださいね。
もし、自分に関するポジティブな表現が思いつかないという人は、「自分のいいところってなんだろう?」と親しい人に聞いてしまうのはどうでしょうか。自分のことは、なかなか自分では見えないもの。友人や家族は、きっとあなたが気づいていない、いい部分を言葉にしてくれるはずですよ。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある人は、ネガティブな記憶が頭から離れず、とらわれやすいといわれています。過去の経験の記憶が鮮明に再現されて、フラッシュバックのような症状を起こすこともあります。
「PTSD」(Post Traumatic Stress Disorder)という症状があります。日本語では「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれています。これは強いストレス(ケガなども含む)を経験したあとに、それを思い出して日常生活に支障が出ることを指します。フラッシュバックはそのPTSDの症状のひとつで、過去のつらかった経験を何度も鮮明に思い出すことを指します。
また、トラウマは日本語で表わすと「心的外傷」とされ、心に刻み込まれるほどショッキングな経験を指します。
例としては戦争や災害、虐待、事故などの体験が挙げられます。
もともとPTSDやトラウマという概念は、命を脅かされるような大きな出来事や喪失によるものとして定義づけられました。しかし、ASDの人は、口論や叱責など、命を脅かされるような出来事でなくても、長期にわたって繰り返し苦痛をともなってそれが想起されてしまうことがあります。
時間が経過したからといって記憶が薄れるわけではなく、いつまでも鮮明な映像が繰り返されるという人もいて、PTSDやうつ病などの症状が出るリスクが高いと考えられています。また、ADHD(注意欠如・多動症)と、PTSDの共通性も多く指摘されています。
PTSDの患者は、うつ病、不安障害、アルコール依存や薬物依存など、他の精神疾患を合併することが多いとされています。その割合は80%近くにも及びます。
同じような出来事を経験しても、それがトラウマ化するかどうかは個人によって違います。そのため、「自分は他人に比べてメンタルが弱い」などとご自分を責めてしまう人がいますが、そんな必要はありません。そういった特質を持っているということにすぎません。
日常に影響するようでしたら、病院の精神科や心理カウンセラーに相談しましょう。
「ネガティブな暗示」をかけてない?
発達障害の方に、PTSDのような症状が出るリスクが高いということは、おわかりいただけたと思います。
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しかし、ここでひとつ注意したいことがあります。近頃はさまざまな場所でPTSDやトラウマ、フラッシュバックといった言葉が用いられるようになり、認知度も上がってきました。それと同時に、言葉がひとり歩きしているという印象もあります。
私個人としては、日常生活で起こったストレスに対してこれらの言葉を用いるのはあまりおススメできません。
確かに、「仕事で失敗して怒られた」「恋人にフラれた」などの出来事はつらいことです。しかしそれを思い出して「フラッシュバックする」「トラウマだ」などと強い言い方をしてしまうと、ネガティブな気持ちも強まってしまいます。
これらの言葉は、自分自身を苦しめるためにあるのではありません。そういう言葉があるんだなと思う程度にして使い過ぎないようにしましょう。
自分の心を守るためにも、そのネガティブなイメージにいかにとらわれないようにするかが大切です。
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提供元:「周りの評価を気にしてしまう」人に伝えたい秘策|東洋経済オンライン