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2023.03.07

定年後「15年」のお金の使い方で幸福度が決まる訳|元気でいられる60代は人生の「黄金期」になる


人生の「黄金期」に楽しむための「前厚マネープラン」を紹介します(写真:nonpii/PIXTA)

人生の「黄金期」に楽しむための「前厚マネープラン」を紹介します(写真:nonpii/PIXTA)

人生100年時代に物価高が重なり、年金だけでは将来の生活費が賄えないかも……と、老後のお金の不安は募るばかり。しかし、長い老後をなんとか乗り切るためにと、つつましく暮らす努力をしたり、慣れない投資にチャレンジしたりすることだけが、正解なのでしょうか。生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんが、親の介護を終えたご自身の経験から、定年後のセカンドライフの幸福度を上げるマネー戦略を提案します。

『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』から一部抜粋・再構成してお届けします。

『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

60歳からの自分中心の人生は「前厚」で

寿命というのは誰にもわかりませんが、平均的な90歳の生存割合は、男性で27.5%、女性で52%です(厚生労働省「2021年簡易生命表」より)。

仮に90歳まで生きるとすると、定年後は30年間あります。しかもこの30年間を元気で過ごせるかというと、実際には健康寿命(※)の平均は、男性72.68歳で、女性は75.38歳。健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間のことを健康寿命といいますから、長寿の女性であっても、誰の手も借りずに自分1人でやりたいことをやれる期間は、意外と短いということがわかりますね。元気に動ける体じゃないなら、遠くへ出かけていくことや、おいしく食事を楽しむことが難しくなります。

(※厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」による)

私自身も親の介護経験や、周りの友人などの話をきいて、「自分が自由に動ける時間は意外と短い」ということを強く思うようになりました。その思いをきっかけに、老後の30年を前半と後半に分けて、60~75歳までの15年間を、より充実したものにするライフプランニングを考えるようになりました。それは、老後資金を「前半に」「厚く」見積もる、「前厚マネープラン」です。

お金も「前厚」に使えるように計画して、60~75歳に思いっきり楽しむ!(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

お金も「前厚」に使えるように計画して、60~75歳に思いっきり楽しむ!(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

元気でいられる60代は人生の「黄金期」

現役時代は、家族のため、組織のためにと働いて、自分のことは後回しで頑張ってきた人がほとんどだと思います。たとえ配偶者やパートナー、子どもがいない人でも、自分のことより会社や社会に貢献することを優先して過ごしてきたのではないでしょうか。

ですから定年後は、「自分のやりたかったことを中心に考えられる時期がやっと回ってきた!」と考え方をシフトチェンジするのはどうでしょうか。考えてもみてください。「やりたかったこと」とは、この年齢になっても「まだやれていないこと」なのです。

私も現役時代は、全力で仕事に集中してきましたし、親の介護がはじまったときも自分のことを考えている余裕はありませんでした。だからこそ、今まで頑張ってきた分、自分軸で楽しむ時間を60~75歳にあてることができたらと思い始めたのです。現役時代と違って、そんなにバリバリ働く必要もありませんから、この時期は人生の「黄金期」といえるでしょう。

60歳からは「自分軸」への気持ちを切り替える時期に突入!(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

60歳からは「自分軸」への気持ちを切り替える時期に突入!(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

とはいえ、インフレ時代です。自分軸の暮らしのためには工夫が必要です。

対策の1つは60歳以上になるとサービス利用料金が安くなる「シニア割」の徹底活用です。例えば旅行好きな人におススメなのが、JRグループの「ジパング倶楽部」。年会費が3840円(個人の場合)かかりますが、1年に20回まで日本全国のJR運賃・料金が2~3割引に、日本全国のJRホテルグループの宿泊料金も割引になります。ほかにもJR各社ごとに割引サービスを実施しています。全日空でも「スマートシニア空割(※)」を使うと国内線が搭乗当日から予約・割引可能になります。

※:満65歳以上、ANAマイレージクラブカードまたは、ANAカード(年会費2200円~)会員が対象

余裕ができた時間と割引を活用

定年後は、現役時代と比べて時間に余裕ができますから、平日の安いタイミングを狙うことで、さらに交通運賃やホテルなどの宿泊費をおさえることができます。また、ほとんどの映画館ではシニア割があり、一般料金より700円割安に。スーパーやドラッグストアでも曜日は限定されますが、5%割引に。どのサービスも、身分証明書の提示が必要になりますが、60歳以上から利用できるので、普段利用するお店やサービスで使える割引を活用すれば、ずいぶんとおトクになります。

ほかにも工夫次第で、お金をやりくりする方法があります。私の場合は、年に一度はハワイへ行きたいという希望があるので、アメリカドルの外貨預金をして、旅行資金を確保しています。外貨預金は、外貨ベースであれば、元本とその利息が保証され、円預金より利息が有利という特徴があるからです。

ただし、円から外貨へ、外貨から円へ交換すると「為替手数料」がかかることと、為替リスクがあるという点に注意が必要で、このため、私の外貨預金の活用法は、円高にふれるたびに「アメリカドル預金」をすることと、預けたアメリカドルを預金口座から外貨のまま使えるデビットカード利用です。外貨のまま使える金融機関は限られていますので、私は、「ソニー銀行」のデビットカードを利用して、ハワイでのお買い物は、外貨口座から直接決済しています。現地では、食事はハッピーアワーを活用したり、洗剤や調味料を持参したりと無駄なお金をかけないようにしています。

日本の普段のお買い物でも、マイレージが貯まるクレジットカードを利用して航空運賃を浮かすなど、ハワイへ行くためのいろいろなお金の準備法を意識して行動しています。

そして、いずれ収入に余力がなくなったら、年に一度を2年に一度と回数を減らしながら、一方で滞在日数を増やして航空運賃を節約しつつ満足度が落ちないようにするなど、折々の状況に合わせて、計画を変えていくつもりでいます。

このように、自分のやりたいことに合わせておトクなサービスを使うことを意識していれば、支出の無駄を減らしながら、実現しやすくなると思います。

ちょっとした工夫でもかかるお金を減らすことができる!(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

ちょっとした工夫でもかかるお金を減らすことができる!(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

本当にやりたいことを見つける方法

ところで、そもそも「自分がやりたいこと」とは何か? どんなことで充実感を感じるのか? と、突然いわれても、なかなか難しいところもあると思います。そんなときは、子どもの頃や学生時代に夢中になったことからヒントを得てみてはいかがでしょう。

まずは付箋を用意して、1枚に1つずつ、思いつくままにやりたいことを書き出してみてください。できることなら10個以上考えましょう。昔やっていたバンドを復活させたい、子どもの頃習っていたピアノをまた始めたい、離れて暮らす親の顔を2カ月に一度は見に行く、夫婦で共通の趣味をはじめるなど、現役時代には時間がとれなくてなかなか実現できなかったことをやってみるのもいいでしょう。

趣味や旅行などに限らず、地元のボランティアに参加して社会貢献することや、プログラミングの勉強をはじめて、新しい分野の仕事にチャレンジしてみたい方もいらっしゃるかもしれません。あくまでも自分にとっての幸福度があがることなので、自分の気持ちに向き合ってみてください。

「満足度が上がる」優先順位をつける

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『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』(KADOKAWA) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

いくつか自分の希望の候補が出たら、次は優先順位をつけていきます。やりたいことを書いた付箋を2つならべて、実現させると満足度が上がるほうを選択していきます。

優先順位が高いほうからリストに書き出していきましょう。ある程度リストがまとまったら、「やりたいこと」が、どうして今まで実現できていないのかを考えてみます。

時間がとれないから、お金がないから……その理由を考えていくうちに、本当にやりたいことが見えてくるはずです。

そして、実現できていない原因が、「お金」であれば、実現させるまでに、いくら必要なのか、それをどうやって工面するのかというふうに考え進めていくと、先にお話ししたシニア割の活用などの解決法も見えてくると思います。

大切なことは、最初からインフレだからとあきらめないこと。人生の黄金期の時間を、どうか大切に過ごしていただきたいと思います。

やりたかったことをリストに書き出す。そして、実現させるための対策も考える(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

やりたかったことをリストに書き出す。そして、実現させるための対策も考える(出所:『定年後のお金、なんとかなる超入門 インフレ時代のセカンドライフ』)

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提供元:定年後「15年」のお金の使い方で幸福度が決まる訳|東洋経済オンライン

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