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2023.02.15

「レジ待ちでイラッ」がなくなる、シンプル思考法|モヤモヤ・イライラの根本原因は「焦り」だった ✎ 1 ✎ 2


日常の何気ない風景の中にも、イライラやモヤモヤはあるものです(写真:xiaosan/PIXTA)

日常の何気ない風景の中にも、イライラやモヤモヤはあるものです(写真:xiaosan/PIXTA)

「明日会社へ行くのが嫌だ」「このSNSは『いいね』がどれだけつくだろうか」「老後は安泰だろうか」……こうした小さな悩みや不安は誰しもが抱えるものです。コロナ禍や、ロシアのウクライナ侵攻などにより、不安や悩みは強まっていると内科医で心身医学専門医の岩田千佳さんは言います。

日常生活の中で生じる小さなマイナス感情が大きな不安につながり、それがストレスとなり、いつのまにか健康に支障をきたす可能性は大いにあります。目に見えない、正体がはっきりしないものに対して人は不安を感じるのです。

この漠然とした不安をあえて岩田さんは「不安ちゃん」と呼んでいます。キャラクター化すると、不安をユーモラスに感じ、さらに根本からの対処法を知れば、むしろゲーム感覚で人生を楽しめるようになります。

『不安ちゃんの正体』を上梓した岩田さんが本書抜粋しながら、不安の対処法を皆様にお伝えします。(3回にわたって紹介。今回は2回目)

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スーパーで隣のレジが早いとイラッ

日常の何気ない風景の中にも、イライラやモヤモヤはあるものです。

スーパーのレジが混んでいるときに、自分の並んだレジよりも隣のレジの進みが早いと、なんとなくイライラしませんか? 買い物に来たのであって、支払いのスピードを競いに来たわけではないのですが、脳はつい何かを比較してしまいます。

そのため、「あちらのレジのほうが早い」「こちらのほうが」と、なんとなく先を越されて負けたような感じがするのです。レジでの勝ち負けでイラつくのも、実はあなたの中の不安ちゃんが関係しています。

「いつも私はついてない」「私って運がない」「なぜ、私ばっかり損をするの?」、そんな考えが頭に浮かびませんか? 人はきっかけさえあれば、自分のアイデンティティーを否定するような言葉が出てくるのです。それは「私は我慢するしかない」とか「私は負け犬だ」といった、無意識の決めつけなのです。それが状況に応じて先述したような言葉となって出てきます。

皆さんも思い当たる節があるのではないでしょうか。そのような言葉が出てきてしまうのは、幼少期の体験・経験による決めつけがあるからです。そして、その後の状況や環境によって強化されていくのです。

不安ちゃんはレジ競争に臨戦態勢ですが、それにあなたが翻弄される必要はありません。「あっちの列のほうが短い」とか、「あの店員さんのほうが打つのが速い」とか、あるいは、前に並んでいる人の買いものカゴの点数までチェックする方もいるかもしれません。

しかし、そこまで吟味しても、並んだレジが一番早いとは限りません。前のお客さんの支払いに時間がかかったり、バーコードの読み取りができなくて店員さんが売り場まで値段を見に行ったりするなど、アクシデントが起こることはよくあります。そしてそれが、さらにあなたのイライラ、モヤモヤを募らせることにもなりかねません。

出典:『不安ちゃんの正体』(イラスト:寺崎愛)

出典:『不安ちゃんの正体』(イラスト:寺崎愛)

結局のところ、あれこれ考えて並ぶ場所を吟味しても、どこのレジが早いのかは誰にもわからないのです。そこに捉われていては、いつまでも不安ちゃんが姿を変えた「焦りちゃん」があなたの心に住み続けることになります。レジに並んでイラつかない方法は、とってもシンプルなことです。自分の無意識に潜んでいる決めつけを自覚することです。

モヤモヤしたり、イライラしたりするのは、自分の決めつけが作り出していると知ることで、状況を客観的に見ることができるようになります。余計なことを考えて、レジで気疲れするようなこともなくなるでしょう。

何事も途中でやる気が失せてしまう

仕事でも遊びでも、計画を立てているときは張り切っているのに、いざ実行となると楽しくなくなり、やる気が失せてしまう。そんな不安ちゃんを抱えている人もいるようです。

Kさんは、体調を崩したことで、私のクリニックに相談に来られました。会社の企画会議でいいアイデアを提案できる力はあるのに、いざ案が採用されると途中から自分で動くのが嫌になり、チームからできるだけ遠ざかりたくなってしまうのだとKさんは言います。その結果、企画そのものが実現しないこともあるのだとか。

当然、Kさんの態度に周囲の士気も下がってしまいますし、Kさんが提案しても「口ばかりで実行しないだろう」と、考えるようになっていきました。もちろん、Kさん自身もこれではいけないと、気持ちを入れ替えようとするのですが、結局、同じことの繰り返しになってしまうのです。うまく気持ちを立て直せない自分へのストレスもあり、それが体にも影響を与えていたのです。

なぜ、Kさんはこのような状況になってしまうのでしょうか。お話をうかがってみると、Kさん自身が自分に対して不信感を持っていることがわかりました。「自分がやることは、どうせうまくいかない」「アイデアを出しても、成功するはずがない」という、不安ちゃんに捉われていたのです。

また、Kさんのお話から、自分に対して否定的になってしまう原因は、小さな頃の体験にあることがわかりました。

知らない町に旅行に行ったとき、デパートで迷子になり、迷子センターの係員に一生懸命に自分のことを説明してもまったく理解されず、お母さんが迷子センターに探しにやってきて、すべてが解決したのだそうです。

大人にしてみれば、無事にお母さんと会えてよかったという話ですが、当のKさんにしてみると、この出来事で自分の無力感を感じ、それ以来、「自分は何もできないのだ」という思い込みを引きずっていたのです。

Kさんはカウンセリングを通して、自分の中の不安ちゃんの存在に気づくことができました。仕事の途中でやる気が失せてしまう原因が、幼い頃の忘れられないような体験に基づくものだとわかってからは、生きていくことが楽になったと言います。

Kさんのように幼少期に無力感を抱くような経験をした方は多くいます。もしあなたが、Kさんと同じでなくても現状に何かモヤモヤを感じているとしたら、その原因は、幼少期の経験にあるのかもしれません。

同じ買い物でも、ほしかったものを手に入れる買い物ではなく、外出先などで見かけたものを、衝動的に「つい買ってしまう」という買い物もあります。「このバッグ、可愛いな」「今はこういうシャツが流行っているんだ……」「これ、セール価格ですごく得だな」などと、その瞬間は「ほしい!」と思って買うのですが、自宅に持ち帰り、品物を袋から出しながら「なんで、買っちゃったのかな」という気分になる。誰でも一度や二度は、こうした衝動買いの経験があるのではないでしょうか。

金融関係の会社に勤めるMさんは、30代の女性です。

体調不良のご相談でクリニックにいらっしゃったのですが、カウンセリングの中で、「最近、衝動買いが増えてどんどんお金を使ってしまうんです」というお話が出てきました。

Mさんは、職場に不満はなく、仕事が楽しいと言います。ただ、時折イライラやモヤモヤを感じることがあり、そういう気持ちになると、つい衝動的に買い物をしてしまうのだそうです買い物をした直後はすっきりして、なんとなくストレスを発散できたように感じます。

でも、本当にストレスが消えたのなら、衝動買いを繰り返すことはなくなるはずです。少なくとも、一度衝動買いをしたらしばらくは止まりそうです。しかしそうならないのは、買い物をする行為では、ストレスを根本からなくすことができないからです。

Mさんの場合、「部長にもっと認められたい」「だからもっと仕事を頑張らねばならない」と自分に高いハードルを課す一方で、「こんな私が認められるはずない」「私なんて、頑張ってもどうせできない」と、それを否定する自分もいて、その矛盾が大きなストレスを生み出していました。一見すると何の問題もなく仕事をしているようなMさんですが、実際は、彼女の中には強力な不安ちゃんがいたのです。

出典:『不安ちゃんの正体』(イラスト:寺崎愛)

出典:『不安ちゃんの正体』(イラスト:寺崎愛)

不安を抱くと何かに頼りたくなる

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『不安ちゃんの正体』(自由国民社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

自分に対する自信が持てず、不信や不安を抱いていると、人はそれから逃れようと、何かに頼りたくなります。Mさんは人に頼るのではなく、買い物をするという行為によって、不安から一時的に逃れようとしていたために、衝動買いを続けることになっていました。

衝動買いを止めるには、買い物をしてしまう自分と向き合ってみることが大切です。自分が気づかないうちにストレスを抱えていて、それが衝動買いという現象に現れます。もしかしたら衝動買い以外でも、お菓子を食べ過ぎたり、お酒を飲みすぎたりすることで、あなたの体に負担をかけているかもしれません。

あなたのストレスは、どこからきているのでしょう? イライラやモヤモヤを引き起こしている、不安ちゃんの存在に目を向けることが大事です。

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仕事中「なぜか機嫌がいい人」がしていないこと

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自己肯定感が低い人が使いがちな「マズい口癖」

提供元:「レジ待ちでイラッ」がなくなる、シンプル思考法|東洋経済オンライン

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