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2023.01.23

成長する人ほど「自分に厳しい人を大事している」|トップランナーへの取材でわかった成功の秘訣


一流の結果を出す人の共通点とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

一流の結果を出す人の共通点とは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

著名人や経営者、研究者など、各界トップランナーへの20年超にわたる取材歴で、これまで3000人以上にインタビューしてきた上阪徹さん。取材を通して、一流の結果を出す人には共通するものの見方や捉え方があることに気づいたと言います。思い返せば、自分自身も不遇だった20代に「自分のために働くのをやめて、誰かのために働こう」と意識を切り替えたことで、人生を切り拓いていったそう。

本稿では、新刊『マインド・リセット――不安・不満・不可能をプラスに変える思考習慣』から一部を抜粋し、どんな状況でもうまくいく人に共通する思考法、人生の切り拓き方を3回にわたって紹介します。今回は3回目です。

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フリーランスになったばかりの20代末、取材で年配の経営者の一言にハッとしたことがありました。 「他人は変えられない。変えられるのは、自分だけだ」

人間関係の難しさに直面したとき、つい相手に対して「どうしてわかってくれないんだ」「あそこを変えてほしいのに」と考えがちです。自分は悪くない。きっと正しい。問題があるのは相手で、相手さえ変わってくれればうまくいく、というわけです。

しかし、いくらそれを願ったところで、相手が変わってくれるわけではありません。他人は簡単には変えられない。相手が変わることを期待しても、意味がないのです。

苦手な相手から逃げていたら、リーダーは務まらない

一方、変えられるものもあります。それは、自分です。自分なら心がけ次第で変えられます。何もしないのに会社が勝手に変わっていくはずがない、と語っていた経営者がいましたが、何かが変わるには理由が必要です。人間関係を変えていくにも、理由が必要。文句ばかり言ってじっとしていたところで、何も変化は起きません。自分から変わっていく努力をしなければならないのです。

これも経営者に聞いたことですが、ひとつのヒントは、相手の気に入らないところを見ようとするのではなく、できるだけいいところを見ようとすること。そして、いいところを伸ばしてあげられるようなコミュニケーションをとることです。

とりわけ組織のリーダーになれば、先にも書いたようにウマが合わない、ソリが合わない部下も持たなければいけないことになります。そういうとき、人間関係づくりから逃げていたら、リーダーは務まりません。定められたミッションを達成していくことも、難しくなるでしょう。

だからこそ、相手の持つ、いいところを見るのです。人間誰しも、いいところが必ずある。それを見つけようとする。そして、いいところを見つけたら、それをできるだけ見て、苦手だったり、気に入らないポイントには目をつぶる。

人間は、思っていることが顔に出てしまう生き物です。もし、苦手意識を持っていたら、その苦手オーラが知らず識らずのうちに相手に伝わってしまう可能性がある。 いいところを見ようとすることは、その苦手オーラを弱めることにもなるのです。その姿勢は、仕事以外でも生きてくるはずです。

例えば、自分の子どもの問題点ばかりを指摘してしまう親がいます。それでは、子どもは否定されたような気がしてしんどいでしょう。簡単ではありませんが、いいところも見つけて、しっかり褒めてあげる。子どもが自信をつけるうえでも大切です。

何十年も続く人気レギュラー番組を持っている著名なタレントに取材していて、なるほどなぁと思える意外な言葉をもらったことを今もよく覚えています。「自分に厳しくしてくれる人こそ、大事にしたほうがいい」。

とくに若い頃は、厳しいことを言ってくる先輩や上司は煙たい存在に映ります。どうして、こんなに口うるさく言われないといけないのか。どうして、こんなに細かいことにまで、口をはさんでくるのか。私も実際、そう感じていました。

一方で、そうでない先輩や上司もいます。ややこしい小言は言ってきたりしない。いつも笑顔でやさしく接してくれる。自分のことに理解を示して、励ましてくれる。果たしてどちらが本当のやさしさでしょうか。どちらが本当にいい先輩や上司でしょうか。一見すると後者に見えます。しかしそうではない、と彼女は断言したのです。

厳しくされるから、成長することができる

厳しいことを言ってくれるからこそ、自分は成長することができるわけです。甘い言葉ばかりの先輩や上司のもとでは、なかなか成長はできない。

間違いを指摘し、厳しく指導されることは、そのときは心地よいことではないでしょう。しかし、実はあとで困るのは自分です。もしかすると、抜け漏れが多くて、取引先からの信頼を失うかもしれない。なかなか仕事の成果が出せないかもしれない。すると一見、厳しく、やっかいだと思えた厳しい上司や先輩のほうが、実は愛情を持って接してくれた、やさしい先輩だったということになるのです。

実のところ、上司や先輩とて、部下や後輩に嫌われたくはないのです。小言を言って厳しくするよりも、やさしい言葉をかけていたほうがラクです。もとより叱ることは、本人にとってもツラいこと。打ちひしがれる部下や後輩を見たくはないのです。

それでも厳しく叱ってくれるのはなぜか。自分が嫌われてでも、こいつを成長させてやろう、恥をかかないようにしてやろうと思ってくれている、ということなのです。

むしろ注意をしなければならないのは、一見、やさしく見える先輩です。彼はそのほうが、部下や後輩から嫌われないことを知っているのかもしれないわけです。だから、部下や後輩の成長そっちのけで、自分だけいい顔をしている可能性もある。

それなのに、そういう甘い上司や先輩こそ、いい上司だ、先輩だ、と考えたらどうなるか。さらには、自分もそんな上司や先輩になってしまったら、どうなるか。

本当に愛情を持って、やさしさを持って接してくれている人はどちらなのか、真実を見なくてはいけません。それは、将来を大きく左右する可能性があるのです。

苦手意識は顔に出ると書きましたが、もとより人間はすべてが顔に出ていると私は感じます。明るい人はそういう顔つきをしているし、暗い人はそういう顔つきです。

教養のある人は、教養のある顔つきをしているし、努力家の人は、努力家の顔つきをしている。一方で、怠け者の人は、怠け者の顔つきをしているし、卑屈な人は卑屈な顔つきをしている。意地悪な人、弱気な人も、それは顔つきに表れる。 何となくイメージできる、という人もおられるのではないでしょうか。 人間にはもっと複雑な側面があるのもたしかですが、何となくその人が持つ特徴が顔つきに表れているということに気づいている人は、多いと思うのです。

うまくいく人には、うまくいきそうな顔つき

ありがたいことに、私は何千人も取材をさせてもらう仕事をしてきたこともあって、たくさんの「顔つき」を見てきました。やはり、うまくいっている人にはうまくいっていそうな人の顔つきがあるし、トラブルに巻き込まれている人にはトラブルに巻き込まれていそうな顔つきがある。そんな印象を強く持ちます。

自覚できるようになったのは大人になってからですが、振り返れば、昔から友達も知らず識らずのうちに顔つきで選んでいたように思います。すなわち、直感です。

しかし、結果的にこれは正しい選択だったと思います。なぜなら、幸いにも30年、40年、50年と長く付き合ってくれている友達ばかりなのです。定期的に会ったりするわけではありませんが、連絡をすれば、いつでも会える。そんな関係性の友達が多い。それは、「顔つきで選ぶ」という直感が正しかったからだと思います。

友達とは、極めて大事な存在です。28歳で失業して何もかも失ったとき、何人もの友人が助けてくれました。あからさまに慰めるわけではありません。当たり前のようにやってきて、みんなで大騒ぎして帰っていく。私にとって、それがどれほどの励ましになったか。クヨクヨしている場合ではない、と思い知らされたのでした。

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友達を選ぶとき、見るべきは顔つきであり、大事にすべきは直感。これは裏を返せば、自分も相手から見られている、ということでもあります。

自分がどんな顔つきをしているのかは、自分ではわからないかもしれません。しかし、すべては顔に出ているのです。どんなに取り繕っても、ごまかしようがない。

だからこそ、誰にも恥じるところのないように、きちんと生きなければいけない、ということです。いくら言葉ではきれいごとを並べても、心の中で考えていること、あるいは人が見ていないところでの行動、そういうものは、知らず識らずのうちに、顔つきに出てしまう可能性が高いから。そして自分も、顔つきで選ばれているのです。

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提供元:成長する人ほど「自分に厳しい人を大事している」|東洋経済オンライン

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