2023.01.19
身近な病気で失明も意外と侮れない「目の不調」|失明の原因は「緑内障」が4分の1とトップだ
目の寿命を延ばす工夫とは?(写真:elise/PIXTA)
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人生100年時代といわれるようになり、健康に気遣って運動したり、食事に気をつけたりしている方は増えてきていると思います。ですが、意外と”目”に関して無頓着な方が多いのではないでしょうか。
眼科外科医の深作秀春氏は、「いまや100歳の長寿の時代といえども、目の寿命は60~70年とずっと短いために、私たちは目の寿命を延ばす工夫が必要です」と言います。深作氏の著書『視力を失わないために今すぐできること』より一部抜粋し再構成のうえ、本稿では目の構造や働き、早期発見のためにできることをお伝えします。
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健康な目の構造を知っていますか?
視力について気になっていても、目の構造については意外に知らないのではありませんか? 光は角膜で屈折し、さらに水晶体で屈折して、フィルムの役割をする網膜で像を結びます。これが電気信号となって視神経経由で脳へ伝達されます。
屈折率を調整するのは毛様体筋とチン小帯と水晶体。毛様体筋が緊張してチン小帯がゆるみ、水晶体が自分の弾力でふくらむことによりレンズの厚みが増し、近くに焦点が合います。
光の量を調整するのが虹彩です。眼球の大部分を占めるのは、ほとんどが水分の無色透明のゼリーのような硝子体で、線維組織によって網膜に固定しています。網膜に酸素や栄養を供給するのが脈絡膜血管などの眼底組織です。
(出所)『視力を失わないために今すぐできること』
これらのどこに不調が起きても視力に異常があらわれます。さらに、脳や心臓が頭蓋骨や肋骨で厳重に守られているのに対し、目はとても大切な臓器なのにむき出しです。外傷など外からの障害を受けやすいので、注意深く守らなければなりません。
POINT! 目は唯一むき出しの大切な臓器。つねに危険にさらされている
失明の原因は緑内障が4分の1とトップ
目が見えている人は、自分がある日、失明するなどとは考えてもいないでしょう。病気や事故で視力を失った人を気の毒には思っても、自分には起こるはずもないことだと考えているのではないでしょうか?
しかし、失明の危険性はだれにでもあります。しかも、緑内障、白内障、網膜剝離などの身近な目の病気が原因です。下記に日本で失明により身体障害者認定を受けている人の、失明の原因の順位を紹介しました。
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どれも「年をとったらしかたがない……」と思うような、よく知られている目の病気ではないでしょうか? 逆に言えば正しい治療を受ければ失明しないですむということです。
目の不調を見のがさず、早く適切な治療を受ければ、目の寿命は延ばせます。自分の見え方に関心をもち、何かあれば、できるだけ早く信頼できる眼科外科医を受診しましょう。
POINT! 糖尿病性網膜症も甘く見てはいけない。白内障で失明することもある!
(出所)『視力を失わないために今すぐできること』
上の画像を、できるだけ画面を持った手をのばし、目から離して見てください。アインシュタインが見えたら、あなたは遠くがよく見えるということです。ハリウッド女優のマリリン・モンローが見えたら、近視で遠くが見えない可能性が高いです。
目に近づけるとアインシュタインが見えるなら、近眼の可能性が高く、遠くでアインシュタインに見えていたのに近づけてモンローが見えるなら老眼の可能性大です。
モンローの画像が優先的に見えた人は…?
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この画像は細い線ではっきりと描いたアインシュタインと、ぼんやりと濃淡でぼかして描いたモンローを重ね合わせたもの。
屈折視力が合っている人は細部が確認できるのでアインシュタインに見え、焦点が合っていないか、網膜機能が悪い人は細部が見えないので、ぼんやりとしたモンローの画像が優先的に見えます。
これには網膜などの目や脳の機能も関係します。網膜が情報をこまかく分析し、脳にも問題なければアインシュタインが見えて、焦点や網膜などの目や、脳に異常があれば、モンローに見えてしまうわけです。
POINT! きちんと見えているかどうか簡単にチェックできるおもしろ画像
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提供元:身近な病気で失明も意外と侮れない「目の不調」|東洋経済オンライン