2022.11.29
「朝から機嫌がいい人」が毎朝2分間だけやること|必要なのは紙とペンだけだから試してみたら?
毎朝2分間、ある3つの文章を考えることで悩みや不安を手放し、メンタルの安定につながる習慣を紹介します(写真:asaya/PIXTA)
日常の中で悩みや不安がたまっていくと、ある日それが大きなストレスとなり、心身をむしばんでしまうことも。カナダ出身の大人気ブロガーのニール・パスリチャ氏は、毎朝2分間3つの文章を考えることでメンタルが安定したと言います。本稿では同氏の新刊『9ルール 自分を変える「黄金の法則」』より、その方法について詳しく紹介します。
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悩みや不安を抱えていると、メンタルが弱る
毎日の仕事で疲れ切った心を癒やすためには、悩みや不安を外に出さなくてはならない。昔から人はそうやって心の整理をし、自分自身に「大丈夫だ」「ちゃんと前に進んでいる」と伝えてきた。
思いを解放して心を癒やす──それは、脳の奥に抱えている不安をすべて吐き出したときに起こる「心の解放」にほかならない。抱えているままではストレスでどんどん弱ってしまう。
離婚してセラピストに相談し始めた頃の僕は、セッションのあとは毎回、元気いっぱいになった。筋が通っていようがいまいが、自分の不安な気持ち、突飛な考え、とんでもない感情をすべて吐き出してスッキリしていたからだ。身体的にも、大きな解放感を味わった。
だから、僕はそれを毎日の習慣に変えた。セラピーはすばらしい。でも、利用しやすいとは言いがたい。公的なセラピストは長く待たされるし、民間のセラピストは料金が高い。
では、プロのセラピーよりも身近な選択肢とは何だろう? 不安な気持ちをどうやって吐き出せばいい? 現代版の「懺悔室」のようなものが必要だ。ただし、絶対に安全な形で告白できるような場所で。
『サイエンス』誌に掲載された神経科学者ステファニー・ブラッセンと同僚たちによる興味深い研究は、思いを解放することでどれほど心が癒やされるかを裏づけている。「怒って振り返るな!:幸福な老いと不幸な老いにおける、逃したチャンスへの反応」というタイトルの彼らの研究は示している。年を重ねるごとに後悔を減らしていけば、満足感と幸福感が高まる、と。
また、この研究によると、後悔を手放さずにずっと握りしめていると、将来さらに攻撃的で危険な行動に走りやすくなるという。だから、誰よりも健康で幸せな人たちは、自分が抱えている後悔の念に気づいたら、進んで手放すことを選んでいる。
3つの文章を完結させるだけ
では、ここで僕の「2分間の朝の習慣」を紹介しよう。
毎朝、僕はカードか日記帳を手に取り、次の3つの文章を完結させる。
私は……を手放します。
私は……に感謝します。
私は……に集中します。
たとえば最近なら、こんなことを書いた。
私は……ティム・フェリス〔アメリカの起業家・作家・ポッドキャスター〕と自分を比較することを手放します。
私は……玄関の外の濡れ落ち葉のにおいに感謝します。
私は……本の次の章を編集することに集中します。
これだけ。たった2分しかかからないのに、僕の人生に起こった変化ときたら、迅速かつ驚くべきものだった。3つの簡単な文章を完結させることが、「すばらしい朝を過ごす」助けになり、ひいては「すばらしい1日を過ごす」力になったのだ。
どんな人だって、起きている時間は1日約1000分だ。それでおしまい。そのうちの2分を使って、残りの998分をなるべくよいものにする価値は大いにある。これは自分のレベルアップに使える、驚くべき方法だ。
小さな心配事を紙切れに打ち明けるたびに、心配事が消えていく。
僕のお腹には、2キロほどのぜい肉がついている。
僕は、うちの子が来年、どの学校に入るのかを心配している。
僕はきのう、大事なメールでまずいことを言ってしまった、と感じている。
何週間かあとに書いたものをさかのぼってみたら、何が起こるだろう?
おそらく僕は首をかしげる。「心配してたメールって何だっけ?」。時間がたてば、心配のタネが何だったかすら、思い出せないことが多いのだ。
では、大きな不安についてはどうだろう? たとえば、母親が病気で重篤な状態にあって、もう長くなさそうだとしたら? そんなときも「2分間の朝の習慣」はもちろん、役に立ってくれる。思いを外に出して整理し、自分がどう感じているかを認めれば、重苦しい状況を外から観察し、認められるからだ。
「僕は……腕の毛深い痣のことで悩むのを手放します」
「私は……エクササイズのクラスを5分で息切れして退出した恥ずかしさを手放します」
「私は……3歳の子どもを怒鳴りつけて靴をはかせてしまったことを、くよくよ悩むのを手放します」
簡単な習慣だけど、すばやく心を癒やす効果があって、つい未来に向きがちな心を一瞬で「今」に戻してくれる。心を解放してくれるので、気分がよくなるうえに、心が癒やされる。
感謝で幸福度が増えるワケ
次に書くのは「私は……に感謝します」という文だ。つまり、かなりネガティブな状況にあっても、脳に無理やり小さな幸せを探させる習慣なのだ。「子どもの頃にママが読んでくれた本を、ママに読んであげられた」「看護師のジャスミンがコーヒーをくれた」「週末、今年初めて子どもたち全員が家に帰ってきた」。
ソニア・リュボミアスキー、ローラ・キング、エド・ダイナーによる「頻繁な肯定的感情の利点:幸せは成功をもたらすか?」というすばらしい調査から、わかったことがある。ポジティブな心で1日を始めたら、年齢や社会的地位がほぼ同じ集団と比べて、生産性は31%、売り上げは37%、創造力は3倍も高くなる。
また、ロバート・エモンズ教授とマイケル・マクロウ教授の研究によると、週に5つ感謝を書き出すと、10週間も経てば、明らかに前より幸せに、身体も健康になるという。書き方は、具体的に書くほどいい。「家族、食べ物、仕事」のようにあいまいな書き方をしても、幸せが大きく増すことはない。具体的な経験を追体験できないからだ。
たとえば、次のように書いてみてほしい。
「私は……トルーパーが『お手』の仕方を覚えてくれたことに感謝します」
「僕は……駅のシナモンパンのにおいに感謝します」
「私は……ロドリゲスが便器のふたを閉めてくれることに感謝します」
だいたいつかめただろうか。
「できることリスト」と「やることリスト」は違う
そして最後に、その日、集中することを書く。思いを解放して心が癒やされたら、そろそろ際限のない「できること」リストを手放して、「やること」に集中するべきなのだ。
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そうしなければ、心の中で1日中「できることリスト」の周りをうろつくことになるからだ。そんなことをしても、「決断疲れ」を招くだけ。「意思決定」は脳のとくに複雑な部分を使うから、やるべきことが定まっていないときは必ずエネルギーを無駄にすることになる。
フロリダ州立大学の社会心理学部教授ロイ・バウマイスターとニューヨークタイムズ紙の記者ジョン・ティアニーが『WILLPOWER 意志力の科学』で話しているように、「決断疲れは、なぜ分別ある大人たちが同僚や家族に腹を立てたり、洋服に散財したり、スーパーでジャンクフードを買ったり、「新車に防錆塗装を!」というディーラーの申し出を拒めなかったりするのかを説明してくれる。
どれほど合理的で意識の高い人間でいようと努めても、生物学的代償を払わずに次々と物事を決断することはできない。決断疲れは、普通の身体の疲れとは違う。疲れているという自覚がないのに、心のエネルギーが落ちてしまう状態なのだ。
この方法で早朝にストレスを手放すことで、僕は、1日中心配事の周りをうろつかずにすんでいる。感謝していることをいくつか書き出すことで、毎日ポジティブな気持ちでいられる。そして、その日の大きな目標に集中することで、実際に目標を達成している。心を整えて、思考をすっきりさせれば、再び軌道に乗れる。
便利な現代を生きるのに最も重要なスキルの1つは、メンタルを安定させることなのだ。
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提供元:「朝から機嫌がいい人」が毎朝2分間だけやること|東洋経済オンライン