メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2022.11.09

死亡リスク4割増「座りすぎ日本人」の絶大リスク|運動習慣の有無は関係なく、寿命が縮まる現実


日本人が長時間している行動には、寿命を縮めるリスクがある(写真:metamorworks/PIXTA)

日本人が長時間している行動には、寿命を縮めるリスクがある(写真:metamorworks/PIXTA)

季節の変わり目は風邪を引きがち。喉が赤く腫れてしまう人もいるでしょう。

一般に「炎症」と呼ばれるこの症状ですが、実は「急性炎症」のほかに「慢性炎症」が存在します。そして、実はこの慢性炎症はとても厄介なもの。内科医・今井一彰さんは「長く続く炎症は、体のどこでも起こる可能性があり、全身の多くの病気の原因になります」と語ります。

今井さんの新著『名医が教える 炎症ゼロ習慣 ~体内年齢が10倍若返る~』より一部抜粋・再構成してお届けします。

『名医が教える 炎症ゼロ習慣 ~体内年齢が10倍若返る~』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「座りすぎ」が寿命を縮める

日本人は「世界でいちばん、○○している時間が長い」というデータがあるのですが、「○○」には何が入るかわかりますか?

実はなんと、「世界一、座っている時間が長い」でした。世界20カ国で、平日の座っている時間を調べたところ、日本はサウジアラビアと並んで「1日7時間」。

長時間座っている「座りすぎ」は、寿命を短くするのです。

オーストラリアの成人男女約22万2000人が参加した研究によると、平日1日に座っている時間が4時間未満の人に比べて、8〜11時間座っている人は死亡リスクが15%増え、11時間以上になると40%増えるという結果が出ています。それも、これは運動習慣のあるなしにかかわらない結果で、運動をしても、座る時間が長いと寿命が縮まるリスクがあるということです。

京都府立医科大学の6万人を超える日本人を7.7年追跡したデータを用いた研究でも、生活習慣病の有無にかかわらず、日中、座っている時間が2時間増えるごとに死亡リスクは15%増えるという結果に。さらに余暇の身体活動量を増やしても座りすぎのリスクを完全に抑制できないという結果が出ています。

体の70%の筋肉は足にある

なぜ、座りすぎで死亡リスクが高くなるのかというと、体の70%の筋肉がある足を動かさないことで、血流や代謝機能が低下することが影響しているのではと考えられています。また、筋肉を動かさなければマイオカインの量も抑えられるので、慢性炎症も起こりやすくなります。

健康に長生きしたいなら、少しでも座る時間を短くして、体を動かす時間を増やしましょう。

30分座ったら3〜5分歩いたり、ストレッチをしたりして、体を動かすよう心がけて。通勤電車を使っていてなかなか座れない方も、「座れなくてラッキー」という視点をもつとよいかもしれませんね。また、最近は、立ったままデスクワークができるスタンディングデスクが流行しているので、可能なら、立ってできる仕事は立って行うようにしても効果があるでしょう。

炎症ゼロ習慣 「グリーンエクササイズ」で効果倍増!

緑に囲まれた自然の中にいると「気持ちが癒やされる」「疲れがとれる」と感じる人は多いはず。実は、それは気のせいではありません。2019年、ドイツのマックス・プランク人間発達研究所が行った研究では、自然の中で過ごすとストレスが減ることが証明されました。

この実験では、63人の参加者を2つのグループに分け、一方にはベルリンの繁華街を、もう一方にはベルリン市内にある緑地を1時間散歩してもらい、MRIで脳活動の変化を調べました。すると、繁華街を歩いたグループでは脳活動に変化がなかったのですが、緑地を散歩したグループでは、脳内でストレスを処理する「扁桃体」という部分の活動が有意に低下している……つまり、緑地では心がホッとおだやかになり、ストレスが少ないことがわかったのです。

ふつうに生活していれば、だれにでもストレスはあるもの。日常的に自然にふれる機会がない人は、自然の中で過ごす時間を意識的につくることをおすすめします。とはいえ、ただ漠然と自然の中で過ごすと言われても、時間を持て余してしまうかもしれません。そういう方は、「グリーンエクササイズ」を試してみては?

グリーンエクササイズとは、その名のとおり、自然の多い場所で、体を動かすことです。自然のパワーと運動効果を一気に取り入れられる一石二鳥の方法で、心身ともにリフレッシュできますし、高い炎症リセット効果も期待できます。運動の内容はウォーキングやジョギング、サイクリング、ラジオ体操、太極拳やヨガなど、自分の好きなものでかまいません。どんな運動でも効果があります。

自然というと、山や森を想像するかもしれませんが、緑化されている公園や遊歩道などでOK。緑が少ないという印象の都会にも、探せば緑に囲まれた場所があるはずです。運動して「気持ちいいな」と感じられる場所を見つけてみてください。お気に入りの場所を見つけたら、最初は5分でもよいので、自然を感じながら体を動かしてみましょう。

簡単に始められて効果が高い「HIIT」

炎症ゼロ習慣 短時間で効果絶大の「ゆるHIIT」

どんな運動であっても抗炎症効果は期待できるので、まずは始める、そして続けることが重要です。わかっていても、なかなか続けられず挫折する人も多いでしょう。そういう人におすすめしたいのが、「HIIT(ヒット)」です。

HIITは、負荷の強い運動と小休憩を繰り返すトレーニングで、高強度インターバルトレーニングとも言われます。「負荷が高いの? キツそう……」と尻込みする人もいるかもしれませんが、運動時間はたったの4分。20秒間の運動と10秒の休憩を8回繰り返すだけです。

また、必要な道具もなく、家の中でできるので、事前準備や着替えの手間がいらないのも続けやすいポイントでしょう。著者自身も運動が苦手ですが、1日に1回のHIITは無理なく続けられています。

そしてHIITの最大のメリットは、なんと言ってもその効果の高さです。トレーニングの組み合わせによって「有酸素運動」と「筋トレ」両方の効果が得られるのです。また、高強度のトレーニングを繰り返すことで、効率的にミトコンドリアの量や質を高められることがわかっています。

ミトコンドリアとは、酸素から細胞のエネルギーをつくり出す工場のような役割を持っている器官。加齢でその数が減ってはたらきが悪くなるため、年齢とともに代謝が低下し、酸素から効率的にエネルギーをつくり出せなくなって活性酸素が発生しやすくなります。HIITでミトコンドリアが増えて、機能がアップすれば、疲れにくい体、やせやすく太りにくい体になり、活性酸素の発生も抑えられます。

具体的なトレーニング内容はというと、スクワットやジャンプなどの運動を数種類組み合わせて行います。組み合わせ次第で、自分のレベルに合わせた負荷が設定できますし、バリエーションも豊富で飽きずに続けられるのも魅力です。

効果的なウォーキング方

炎症ゼロ習慣 ふつうの散歩より効果の高い「インターバル速歩」

シニアに人気のウォーキングにも、抗炎症効果が期待できます。ただ、同じ歩くのであれば、試してほしいのが「インターバル速歩」。

これは、「速歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返すウォーキング法です。

ふつうの速度で歩くよりも速く歩いたほうが、運動強度が上がり、筋肉への刺激になります。ゆっくり歩きとの交互なので、疲れすぎず、体力に自信がない人にも始めやすいのがポイントです。

信州大学大学院特任教授の能勢博氏によって提唱されたこのウォーキング法は、科学的に効果が実証済み。ミトコンドリアを活性化したり、活性酸素を除去したりする効果があるとか。筋力アップや肥満解消、生活習慣病・うつや不眠・ひざなどの関節痛の改善、認知機能の向上などの効果もありますよ。

炎症ゼロ習慣 筋トレの王様「スクワット」を取り入れる

記事画像

『名医が教える 炎症ゼロ習慣 ~体内年齢が10倍若返る~』(飛鳥新社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

室内で運動をしたい場合は何を選べばよいでしょうか? やはり王道のスクワットがおすすめ。

スクワットは「筋トレの王様」「エクササイズの王様」などと呼ばれ、体の中でもっとも大きな太ももの前側の筋肉をはじめ、体の筋肉の大半がある下半身の筋肉をまんべんなく鍛えることができます。

また、足の筋肉は「立つ」「歩く」「座る」という動作の基本を支える役割があると同時に、年齢を重ねるにつれ衰えやすい箇所でもあります。筋トレ初心者も、慣れている人も、効果の高さを感じられるでしょう。余裕があれば、インターバル速歩とあわせて行うのもおすすめです。

スクワットは足の開き方で、鍛えられる筋肉が変わります。また、間違ったやり方をすると腰やひざを痛めるので、正しいフォームを身につけましょう。

記事画像

【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

日本人がやりがちな「寿命を削る」2つの悪習慣

「疲れが慢性的な人」が知らない運動の新常識

若いのに"老人歩き"する人が全身不調になる訳

提供元:死亡リスク4割増「座りすぎ日本人」の絶大リスク|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

65歳以降も学び続け元気な人と学ばない人の差|記憶力の衰えでなく好奇心の衰えこそが大問題

65歳以降も学び続け元気な人と学ばない人の差|記憶力の衰えでなく好奇心の衰えこそが大問題

【新連載】国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説

【新連載】国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説

視力と聴力が低下、軽視される「帯状疱疹」の恐怖|新年度の疲れに要注意、子どもも無縁ではない

視力と聴力が低下、軽視される「帯状疱疹」の恐怖|新年度の疲れに要注意、子どもも無縁ではない

「歳をとれば脳の働きは弱まる」と思う人の大誤解|新しい情報を入れれば一生に渡り変化し続ける

「歳をとれば脳の働きは弱まる」と思う人の大誤解|新しい情報を入れれば一生に渡り変化し続ける

戻る