2022.11.01
料理初心者も実は簡単「甘辛エビチリ」家で作る技|実は日本発祥!エビの代わりにちくわでも美味
おいしい「エビチリ」を家で作る方法を伝授します
在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
今回は材料をそろえて分量を守れば、誰でも美味しく作れる「エビチリ」です。
『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』 ※外部サイトに遷移します
魚介系の料理に挑戦する第一歩としておすすめ
料理のバリエーションを増やしたい、という声を時々、聞きます。そのためには食材の幅を広げるのが最も簡単。スーパーでいつもは手軽に料理できる豚肉や鶏肉ばかり買い物かごに入れている人も、たまには違う食材を手にとってみましょう。
エビは魚介系の料理に挑戦する第一歩としておすすめの食材。冷凍エビを買っておけば流水で30分ほど解凍するだけでいつでも使えますし、すでに解凍された状態のエビも売られています。
今日はそのまま使いますが、パックを開けたとき、においが気になるようであれば水でよく洗ってください。スーパーで売っているエビには有頭や無頭、殻付きや殻を処理したむきエビなどの種類がありますが、価格も安定していて入手しやすいバナメイエビの場合、無頭の殻付きとむきエビの2種類が並んでいます。
同じバナメイエビなのですが、むきエビは手間がかかっている分だけやや割高。エビの殻を剥くのは魚をおろすよりもずっと簡単なので、殻付きを購入するのがベターです。
写真のバナメイエビがおすすめです
今日はバナメイエビを使ったエビチリをご紹介します。エビチリとはエビのチリソース煮込みのこと。おなじみの中国料理ですが、実は日本発祥。
四川料理を日本に伝えた四川飯店の創業者、陳建民さんが四川料理の『乾焼蝦仁(カンシャオシャーレン)』という豆板醤をたっぷり使った料理をベースに、トマトケチャップと甘みを加えることで日本人好みにアレンジしたとされます。豆板醤とトマトケチャップを使った甘辛いチリソースは傑作の1つで、憶えると料理のバリエーションが一気に広がるでしょう。
エビチリの材料(2人前)
バナメイエビ 150g
塩 ひとつまみ
片栗粉 小さじ1
チリソース
生姜 1片(みじん切り)
にんにく 1片(みじん切り)
長ネギ 20cm(みじん切り)
豆板醤 小さじ1/2
サラダ油 大さじ1+1/2
トマトケチャップ 大さじ1
水 100ml
酒 大さじ1
砂糖 小さじ2
しょう油 小さじ1
水溶き片栗粉 小さじ2 (片栗粉小さじ1を水小さじ1で溶く)
エビから処理していきましょう。
エビは背中から包丁を入れ、半分に開きます。このとき、背わた(腸管)があれば取り除きましょう。殻を剥いてもいいのですが、風味が出るので今回はそのまま使っています。
すでに下処理されて売られている場合も多いです
身に薄く塩を振ります。
この状態で魚焼きグリルで塩焼きにしても美味です
エビは表面がつるつるしていて、ソースが絡まないので、片栗粉小さじ1をまぶしておきます。この工程で後からソースで煮たときに絡みやすくなります。
丁寧にするなら片栗粉は茶こしなどを使って振るといいでしょう
サラダ油大さじ1/2(分量外)をひいたフライパンを中火にかけ、身から焼いていきます。すぐに色が変わってくるので、裏返します。
エビは火が通るのが早いので注意
殻があれば身に火が入りすぎる心配は少ないので、殻もじっくり焼きましょう。エビが焼けたら一度、バットや皿などに取りだしておきます。
殻をよく焼いて香ばしさをソースに足します
オリジナルのレシピには酒醸(チューニャン、日本の甘酒に似た調味料)が入るのも特徴。一般的には入手しづらいので、砂糖で甘味をつけています。
豆板醤の量は好みで小さじ1に増やしてもOK
冷たいフライパンにサラダ油とにんにくと生姜のみじん切り、豆板醤を入れ、中火にかけます。
これは中国料理の基本的な工程です
香りが出てきて、にんにくがかすかに色づいてきたらOKです。ここにみそとスープをたせば麻婆豆腐のベースになるわけですが、チリソースなのでケチャップを加えます。
にんにくと生姜は焦がさないようにしてください
ケチャップを加えたらすぐに混ぜましょう。ケチャップの水分で鍋の温度が下がるのでにんにくと生姜が焦げるのを防げますし、ケチャップの酸味が少し和らぎます。
そのままにすると跳ねるので注意
ケチャップが跳ねるので適当なところで水と酒を加えて伸ばします。エビの殻からも出汁が出るので、スープの素などは不要です。
水は一気に加えること。油ハネが少なくなります
しょう油と砂糖で味付けし、長ネギのみじん切りを加えます。これでチリソースの出来上がりです。
豆板醤をはじめに炒めたことで風味がついた赤い油が浮きます
さきほど焼いたエビを加えて、30秒ほど煮込みます。チリソース煮とは言っても日本の煮物とは違い、長時間煮るわけではありません。食材にあらかじめ火を通しておき、合わせてなじませる手法です。
エビから汁が出ていればそれも加えます
火を弱火に落とし、水溶き片栗粉でとろみをつけていきます。片手で水溶き片栗粉を少しずつ注ぎ、もう片方の手で絶えず混ぜるようにすると玉になりません。フライパンのなかに1カ所、水分の多い場所をつくり、そこでとろみをつけてから全体に馴染ませるようにするのがコツです。
水溶き片栗粉は5分前に作っておくと玉になりづらいです
片栗粉が入ったら再び火を強め、濃度を確認します。木べらで混ぜたとき、鍋の底が見えるくらいの濃度になればOKです。
こういった作業には耐熱ゴムベラが便利です
盛り付けましょう。殻から出汁が出るので殻付きで使いましたが、食べるとき殻を外してもいいですし、気にしない人であれば食べることもできます。エビは肉や魚と比べるとやや高価に感じられるかもしれませんが、たまに食べるならいいものです。
殻ごと炒めると立体感が出て豪華に見えます
ただ、チリソースの作り方さえ憶えればエビにこだわる必要はとくにありません。卵を炒めてチリソースをかけてもおいしいですし、エビの代わりにちくわを使ってもおいしいおかずになります。
作り方はちくわ2〜3本を縦半分に切り、さらに斜め半分に切ります。片栗粉小さじ1をまぶし、サラダ油大さじ1/2で焼きます。
写真のちくわは2本分です
香ばしい焦げ目がついたら裏返し、反対側も焼きます。
香ばしさも味のうちです
さきほどと同様にチリソースで短時間煮込み、水溶き片栗粉でとろみをつけるだけです。
ちくわは味がついているので失敗が少ないです
ちくわのチリソース煮込みの出来上がりです。お弁当のおかずにするのであればエビよりもこちらのほうがおいしいかもしれません。白身魚などもさっと焼いてチリソースをかければご馳走になります。
魚肉ソーセージなどでもおいしくできるでしょう
中国料理や日本料理などアジア圏の料理の味の決め手は豆板醤やしょう油などに代表される気候風土が作り出す発酵調味料です。
チリソースはわざわざ豆板醤を購入する必要があるのがネックですが、その価値は十分にあります。小さめの瓶を買い、餃子を食べるとき、いつも入れるラー油の代わりに豆板醤を使ったりすれば使い切れるはずです。思い切って挑戦してみてください。
(写真はすべて筆者撮影)
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提供元:料理初心者も実は簡単「甘辛エビチリ」家で作る技|東洋経済オンライン