2022.10.25
スーパー「3大おすすめ惣菜」にも"落とし穴"あり|「食のプロ」が厳選!でも「意外な盲点」とは…?
「スーパーの3大OK惣菜」を買う人の超盲点を解説します(写真:node/PIXTA)
「食の裏側」を明かし70万部を突破する大ベストセラーになった『食品の裏側』の著者、安部司氏が開発したレシピ集『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』が8刷6万5000部を突破し、話題を呼んでいる。
『食品の裏側』発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、安部氏が自ら15年かけて開発した膨大なレシピノートの中から、「簡単に時短に作れるレシピ」を厳選した1冊だ。
いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が、「得意げに『スーパーの3大OK惣菜』を買う人の超盲点」について語る。
前回の記事:「平気で『スーパーの残念3大NG惣菜』買う人の盲点」 ※外部サイトに遷移します
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スーパーの「おすすめ惣菜」にも「意外な落とし穴」
前回の記事「平気で『スーパーの残念3大NG惣菜』買う人の盲点」では、私がおすすめしない「スーパーの惣菜ワースト3」を挙げました。
「平気で『スーパーの残念3大NG惣菜』買う人の盲点」 ※外部サイトに遷移します
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「市販の惣菜」は「家庭でつくる惣菜」と違い、つくってから食べるまでにタイムラグがあります。すると、どうしても「向き・不向き」が出てしまうのです。
つまり、「つくりたてが命のもの」と、「時間が経ってからでも、そこそこおいしく食べられるもの」の違いともいえます。
今回は、「これを買えば失敗が少ない」という「OK惣菜」「おすすめ惣菜」を3つ紹介したいと思います。
「市販の惣菜を買うなら、なるべくおいしいもの、ハズレの少ないものを買いたい」というのは誰もが思うところでしょう。
ぜひ購入時の参考にしていただきつつ、そこに潜む「意外な落とし穴」も知っていただければと思います。
【ハズレの少ない惣菜ベスト(1)】フライ物
まず1つめは「フライ物」です。
前回の記事では、おすすめしない「NG惣菜」として「天ぷら」を挙げました。天ぷらの衣は時間とともに素材から出た水分で「ヘタリ」が出るため、ヘニャヘニャしてしまい、食感、おいしさが失われてしまうのです。
しかし、天ぷらと同じ揚げ物であっても、「コロッケ」「メンチカツ」「カキフライ」「アジフライ」「トンカツ」などのフライ物は、時間が経っても、そこそこおいしく食べられます。
いったいなぜか、その「裏側」を考えたことはありますか?
「添加物」を駆使して「バターミックス粉」を使う
そもそも、フライ物はパン粉のおかげでヘタリにくい傾向にあるのですが、「市販の惣菜」の場合はさらにヘタリに強いのです。
「業務用のフライ」は家庭でつくるものとは、ちょっとつくり方が違います。普通、家庭でフライ物をつくるときは、素材に小麦粉をまぶして、卵液に漬けてパン粉をつけるという方法でつくると思います。
業務用では小麦粉、生の卵を使わずに「バターミックス粉」に漬けて、それからパン粉をつけます。
この「バターミックス粉」は、「卵白の粉末」などに加えて、「乳化剤」「乳タンパク」といった添加物をブレンドしてつくったもの。卵を溶いて使うよりはるかに安く、「自動化ライン」で衣をつけられるので、手間もかかりません。
「バターミックス粉」は粘りが強く、「剥がれ防止剤」にもなります。
この「バターミックス粉+パン粉」のコンビが「保護膜」になり、ヘタりにくくなるのです。
ただし、その「裏側」では「添加物の力」が働いているのも事実です。
【ハズレの少ない惣菜ベスト(2)】唐揚げ
唐揚げも、時間が経ってもヘタリの少ない惣菜です。これは天ぷらと違って、衣が薄いので、ヘタリが気にならないためです。
唐揚げは生の鶏肉を切って揚げて店内調理をするところと、仕入れ品を使っているところがあります。
仕入れの場合は「日本人の体を壊す『隠れ油とりすぎ』の深刻問題」で説明しているように、「プレフライ」といって、色のつかない程度に軽く揚げて冷凍した状態で仕入れ、店内のフライヤーで揚げて出すことが多いと思います。
一度油で揚げておくことで「油の被膜」ができて、「冷凍による劣化」を防ぐことができるため、輸入や長期の冷凍保管が可能になるのです。また、「プレフライ」することで、調理の手間も減らすことができます。
「日本人の体を壊す『隠れ油とりすぎ』の深刻問題」 ※外部サイトに遷移します
「唐揚げ粉」にも「添加物」が大活躍
どちらにしても、業務用の唐揚げは「プレミックス」という「唐揚げ粉」を使うのが一般的です。
このプレミックスには「乳化剤」「増粘剤」「膨張剤」「リン酸塩」などの添加物が入っていることが一般的です。
「乳化剤」→べたつきを消してさっぱり感を出し、気泡を安定化させる
「リン酸塩」→味をしみ込ませる
「増粘剤」→調味料をしっかり鶏肉に絡ませる
「膨張剤」→食感を軽くサクッと感を出す
上記の添加物は一般的によく使われており、そのほか「化学調味料」はものによって入っていたり入っていなかったりします。
これらの「添加物の働き」によって、失敗のない、完成度の高い唐揚げができるのです。
「平気で『スーパーの残念3大NG惣菜』買う人の盲点」で述べた「冷凍焼き鳥」と違って、ブラジル産の水っぽい鶏肉でも「それなりにおいしいもの」が出来上がります。
「プレミックス」はメーカーによって味に違いはあるけれど、人気の惣菜だけあって、どこもそれぞれに「添加物」を駆使しながら「工夫」をしています。だから、ハズレが少ないのです。
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【ハズレの少ない惣菜ベスト(3)】寿司
最後の3つめは「寿司」です。
昔は、スーパーで売られている寿司は、冷凍で仕入れたネタを流水などで解凍して、仕入れのシャリに乗せて「寿司ロボット」で握るという方法でつくられることも多かったものです。
やはり解凍品は味が落ちるし、シャリも時間が経てば経つほど固くなり、おいしさが失われてしまいます。
しかし、現在では、こんなつくり方をするところは、かなり少ないと思います。ロボットで握るのは同じですが、多くのスーパーでは、ちゃんと新鮮なネタを店内で切って、シャリにのせてつくっています。
サーモンなど「冷凍が可能なネタ」に関しては冷凍品を使い、アジやタイ、ヒラメなど「冷凍に向かないネタ」は、店内で鮮魚を寿司ネタに回しているところが増えています。シャリも、1日3回ぐらい業者が配送してきますから、新しいものが使われています。
その意味では、寿司は「昔とは段違いにレベルが上がっている」と言えます。なぜそうなったかというと、(スーパーに入っている)魚屋が寿司をつくるようになり、そういう店が増えたからです。
昔は「寿司は寿司屋、魚は魚屋」という区分けがあったけれど、今はそんな区別がなくなって、魚屋も寿司をつくる時代になりました。
「魚屋がつくることのメリット」は、その日に仕入れた新鮮なネタを使えること、それによって「アレンジ」ができることです。
今日はいいマグロが入ったという日は「マグロ尽くし」というのができるし、新鮮なアジが入れば「アジ尽くし」「アジ・イカセット」など、メニューに変化が出ます。日によって目先が変わるから、お客さんは喜んで買います。
これによってスーパーの寿司はグンと伸びました。スーパーの寿司は、完全に「市民権」を得たと言っていいと思います。
ただし「巻物」には要注意
とはいえ、スーパーによっては魚屋がつくっているものではない、「仕入れ品」を売っている店もあります。それは実際に買って食べてみればわかるはずです。
あと、「巻物」は、残念ながら仕入れが多いのが事実です。
仕入れの巻物は「海苔」がヘタっているからわかります。ひどい場合は海苔が口の中でゴムのように伸びて噛み切れないことがあります。
いい海苔ほど「口の中で溶ける」ものですが、それとはじつに対照的です。
この記事では「失敗の少ない惣菜」を挙げましたが、私は決して「市販の惣菜」を積極的におすすめしているわけではありません。
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「『食品の裏側』が70万部のベストセラーになり、『食の安全』や『添加物』と言うけれど、安部司自身は何を食べているのか」とよく尋ねられますが、家では、いたって普通の和食を食べています。
「市販の惣菜や弁当」は、仕事では食べたり、試食をしたりすることもありますが、自ら積極的に買い求めることはありません。
時間がなくても、家で簡単なものを手作りして食べています。
それができるのは「安部ごはん」でも紹介している「5つの魔法の調味料」のつくりおきがあるからです。
もっと5~10分の「簡単✕絶品手作り」を知り、楽しもう
「市販の惣菜」を買う人は「時間がないから買う」というケースが多いと思います。でも「魔法の調味料」さえあれば、5分、10分で調理が完成する料理は、じつにたくさんあります。
そして、5分でつくったものであっても「手作りしたもの」は「市販の惣菜」をはるかに超えるおいしさがあると私は思います。
そもそも「ほとんどの料理は『できたて』がいちばんおいしい」という「当たり前のこと」を、「市販の惣菜」を買う際にはぜひ思い出してほしいのです。
「おいしい惣菜をどうやって選ぶか」という視点ももちろんいいのですが、それ以上に「簡単なレシピ」はいくらでもあるから、「簡単なプロの手抜きレシピ」を知って、料理をもっと楽しみ、自宅で「おいしい手抜き料理」を楽しんでほしいというのが私の切なる願いです。
今回挙げた「フライ」も「唐揚げ」も、そして寿司だって、家でつくることができます。「寿司なんて無理!」と思うかもしれませんが、いつも料理をしないお父さんなんかが、休日に「1日寿司屋」をやってみたら楽しいのではないでしょうか。
私が15年かけて開発した「安部ごはん」には、「混ぜ寿司」のレシピもあります。
安部氏が開発した「魔法の調味料」さえあれば、簡単につくれる「カンタンパーティー混ぜ寿司」。大人も子ども喜ぶ大人気の一品(撮影:佳川奈央)
「寿司酢」なんてわざわざ買わなくても、「魔法の調味料」の「甘酢」に塩を入れるだけで、簡単に自宅でつくれて、「節約」にもなります。
いい刺身を買ってきて、ちらし寿司にしたり、見よう見まねで握ってみたりするだけで十分おいしいものができるし、なにより家族が喜ぶはずです。
それ以外に、「鯛茶漬け」や「牛丼」「親子丼」など「5分でできるレシピ」も、たくさん紹介しています。
「とくに難しく考えなくても、簡単にできる料理」は「工夫次第」でいくらでもあるのを知ってほしくて「安部ごはん」を開発しました。
同じく「魔法の調味料」さえあれば、5分で手軽に簡単につくれる「2度目のごちそう鯛茶漬け」。『安部ごはん』の「絶対おすすめ!ベスト10レシピ」にも選出されている大人気の一品(撮影:佳川奈央)
「市販の惣菜」も、「選んで買えば」もちろんハズレが少ないものもあります。しかし、そこには「添加物の力」が働いていたり「意外に高くつく」など、さまざまな「落とし穴」が潜んでいるのも事実です。
「平気で『おにぎり』を買う人が知らない残念な真実」でも解説したことですが、惣菜は結局、「手間賃産業」であり、食材以上に「手間賃」にお金を払っているのです。
「平気で『おにぎり』を買う人が知らない残念な真実」 ※外部サイトに遷移します
私としては、「市販の惣菜」はたまに取り入れる程度にして、できるだけ手作りを増やして、「料理の楽しさ」「できたてのおいしさ」「節約になる」という3つのメリットを、もっと多くの人に実感してほしい、そしてその過程で「家族の会話」が増えたり「家族団らん」につながったりすることを、心から願っています。
料理には「おいしさ」はもちろん、そういう「人を幸せにする力」があると私は信じています。
(前回の記事:平気で「スーパーの残念3大NG惣菜」買う人の盲点) ※外部サイトに遷移します
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提供元:スーパー「3大おすすめ惣菜」にも"落とし穴"あり|東洋経済オンライン