2022.10.24
平気で「スーパーの残念3大NG惣菜」買う人の盲点|「それだけは避けたほうが…」あなたは大丈夫?
スーパーの惣菜で「ハズレ」が大きいと思われる、おすすめしない残念なNG惣菜編をご紹介します(写真:node/PIXTA)
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いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が、「平気で『スーパーの残念すぎる3大おすすめしないNG惣菜』を買ってしまう人の盲点」について語る。
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「買ってはいけないスーパーの惣菜」とは?
以前に出した記事「平気で『スーパーの惣菜』買う人の超残念な5盲点」が私自身も驚くほど大きな反響を呼びました。
「平気で『スーパーの惣菜』買う人の超残念な5盲点」 ※外部サイトに遷移します
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スーパーの惣菜がどうつくられるか、その「裏側」を知ると同時に、やはり「手作りの良さ」を忘れないでほしいというのが、この記事の趣旨でした。
しかし、みなさんから寄せられた意見の中には「そうはいってもスーパーの惣菜は欠かせない」「そんなことをいうなら、選び方を教えてほしい」というものが多くありました。
そこで今回と次回で、私なりの「スーパーの惣菜の選び方」について「おすすめしない編」と「失敗しない選び方編」に分けてお送りしたいと思います。
今回は「私が『ハズレ』が大きいと思われる、おすすめしない残念なNG惣菜編」です。
【「ハズレ」の多い惣菜ワースト(1)】「天ぷら」
まずスーパーの惣菜で「ハズレ」が大きいと私が思うのが、「海老天」「かき揚げ」「野菜天」などの「天ぷら類」です。
天ぷらは180度の高温の油で揚げることで、衣がサクサクになり、なおかつ衣の小麦粉が焦げることで「香ばしさ」が出るのです。さらに、揚げることで素材に含まれる水分がほどよく飛んで、よりおいしさが引き出されます。
「衣のカリカリ感」と「素材のフンワリ感」という食感のコントラスト、そして「衣(小麦)の香ばしさ」を楽しむのが天ぷらの醍醐味なのです。
そして、それは「揚げたて」だからこそ、なせるワザです。
「時間が経つと、おいしくなくなる理由」は?
揚げてから時間が経つと、素材から水分が出て衣がヘニャヘニャになってしまい、サクサク感が失われ、「油っぽさ」も感じるようになります。
業界では「ヘタる」という言い方をしますが、時間が経てば経つほど、衣は水っぽくなってヘタッてしまうのです。
スーパーの店内で揚げて出すところもあるけれど、やはり家に帰って食べるころには、どうしてもヘタリは免れません。業者のほうでも「膨張剤」「乳化剤」「加工デンプン」などの添加物を駆使して「サクサク感を保つ衣」を出しているのですが、これを使っても解決できない問題です。
買う側にしても「衣のヘナヘナ問題をなんとかしたい」と思っている人が多いようで、ネットなどで「買ってきた天ぷらをサクサクに復活させる方法」という記事をよく見ます。
ただ、オーブントースターやグリルで焼けば、多少は衣のカリカリは戻ることは戻りますが、それでも素材から一度出てしまった水分は戻りません。
たっぷりの油を使って揚げ直せばいいのですが、そもそも「自宅で揚げ物をしたくない」から「市販の天ぷら」を買っているはず。揚げ直すのなら、「惣菜の天ぷら」を買う意味がなくなってしまいます。
天ぷらは「市販の惣菜」には不向きと言わざるを得ません。
添加物を駆使しても、「サクサク感」が失われ、「油っぽさ」も感じるようになり、本来の「天ぷらのおいしさ」を感じられないのであれば、はたして「惣菜」として買う必要があるのか、そういった意味で「残念な惣菜」と言えるでしょう。
【「ハズレ」の多い惣菜ワースト(2)】焼き鳥
2つめは「焼き鳥」です。
スーパーの焼き鳥はカチカチに固まって、タレが「不自然な粘状」になっていることが多いものです。これは多くが「冷凍の仕入れ品」だからです。
「仕入れ品はどこでつくられるのか」というと、多くが東南アジアなどの海外です。
海外の工場で肉をさばいて串打ちして、加熱までしたものを「冷凍」し、持ってきているのです。それを国内で「解凍」して、タレをつけて焼いて完成させるわけです。
「(日本の)焼き鳥を食べない国で、本当においしい焼き鳥がつくれるのか」という疑問はおいたとしても、この焼き鳥には「いくつかの問題」があります。
焼き鳥に潜む「問題」とは?
まず、肉自体が、やはり国産に比べて、おいしくないことが多いものです。
それを、つくってから海を越えて運び込んでくるわけですから、かなり時間が経ってしまい、そこでさらにおいしさが損なわれてしまいます。それに加えて「二度加熱」になってしまうから、「ジューシーさ」が損なわれて、肉が「パサパサ」になりがちです。
もちろん「店内調理」で生の鶏肉を切って串を打って焼いているところもありますが、残念ながら少数です。
最近では、焼き鳥も「冷凍品」が圧倒的に多くなってきています。コンビニではこちらが主流で、スーパーでも増えてきているようです。
空気を含んでいる四角いパックに入っていて、他の惣菜とともに展開されています。串差しにはなってなくて、バラです。これは単純に串打ちしないほうがラクだからでしょう。
この「パック品の冷凍焼き鳥」ですが、あくまで私の感想では、水っぽくて「本来の焼き鳥のおいしさ」がありません。
なぜ水っぽくなるのかというと、パックに入れて冷凍するときに、パックの天井に水滴がついて凍ってしまい、それが解凍するときに垂れてきてしまうことが多いからです。また、そもそも解凍すると、鶏肉から水が出ます。
鶏肉から出た水分に容器の水分が混じって、より水っぽくなり、おいしさが失われてしまうのだと思います。
【「ハズレ」の多い惣菜ワースト(3)】根菜類の煮物
最後の3つめは「根菜類の煮物」です。
「筑前煮」「五目煮」などの煮物の根菜(ごぼう、れんこん、にんじんなど)が、ビックリするほど食感が悪かったということがありませんか?
あれは、冷凍品を仕入れてきて解凍して使っているから。根菜類は一般的に冷凍すると、スカスカになって「歯ごたえ」がなくなり、てきめんに食感が落ちるのです。
とくに、にんじんは「冷凍に弱い素材」です。水分が抜けることで、うま味も抜けてしまい、食感もフニャフニャになります。
根菜は「歯ごたえを楽しむ食べもの」です。煮物の根菜が「スカスカ食感」だと、いっきにテンションが落ちてしまうのは私だけでしょうか。
冷凍品を使うのは「中国産野菜」を輸入するから
なぜ冷凍品が多く使われるかというと、中国産野菜を輸入するからです。中国で加工して冷凍して持ってきたほうが、国産品を使うよりはるかに安くつくのです。
素材だけでなく、煮物そのものを中国でつくって、それを凍結して持ってくる場合もあります。
しかし、「安く仕入れたいけれど、冷凍の根菜がおいしくない」というのはスーパー側の悩みでもあるわけです。
中国産野菜も、煮物用の根菜だけでなく、たまねぎ、キャベツ、白菜など非常に多く流通しています。しかし最近では「焼きそば用」「野菜炒め用」など「国産のカット野菜の詰め合わせ」を使おうという動きもあります。
某大手スーパーチェーンでは、全店で焼きそばや野菜炒めの野菜を「国産カット野菜」に切り替えています。これは称賛されるべき決断だと思います。
スーパーで「おすすめしない惣菜」についていろいろ述べてきましたが、これは「この3つの惣菜がとくに悪い、つくり方が悪い」という話では終わらないのです。
決して「スーパーの惣菜」を否定しておしまい、という話ではなく、「消費者の側も考えなくてはいけない問題」があるのです。
スーパー側もお客さんをなめているわけでも何でもなく、多くのスーパーは「よりよい惣菜」「おいしい惣菜」を出そうと必死に頑張っており、その努力は認めるべきだと思います。「それでも解決できない問題が惣菜にはある」ということです。
「おいしさ」と「賞味期限」は二律背反の原理
そもそも「賞味期限」と「おいしさ(手作り感)」は二律背反のところがあります。乱暴な言い方をすれば、「賞味期限」を延ばそうとすればするほど、「手作り感・おいしさ」が犠牲になるわけです。
たとえば、「筑前煮」を店内調理でつくって「チルド」で売ったら、「賞味期限」は3日ほどです。
これを「平気で『コンビニの惣菜』買う人の超残念な6盲点」で述べた、「二次加熱殺菌(90度)」を行って「真空パック」にすれば「賞味期限」は30日になります。
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さらに「高温殺菌(120度)」で「レトルト」あるいは「冷凍」にすれば「賞味期限」は1年以上に延びます。
「チルド⇒真空パック⇒レトルト・冷凍」の順に「賞味期限」は延びるけれど、逆に言えば「賞味期限」を長くすればするほど、「素材の風味」「食感」は失われるわけです。
スーパーも「おいしさ」と「賞味期限」の狭間、ジレンマで悩んでいるのです。
本音でいえば、スーパー側も、すべて「真空パック」「冷凍」で売るのが一番ラクです。言うまでもなく「賞味期限」が短ければ短いほど在庫のリスクがあるからです。
コンビニなどはそこを割り切っているから「真空パック」を採用しているのだと思います。
しかし、最近では一部ではあるけれど、この動きに逆行して、リスクをとってでも「おいしさ」を提供しようとする動きがあります。
いま述べた大手スーパーチェーンの「国産カット野菜」もそうですし、ポテトサラダを食感の失われる「真空パック」ではなく、「チルドのカップ」で出すコンビニも出てきています。
これも「平気で『コンビニの惣菜』買う人の超残念な6盲点」で書いたことですが、マヨネーズを使ったサラダを「真空パック調理」すると、どうしてもマヨネーズが油と水に分離してしまい、おいしさが損なわれてしまうのです。
いずれにせよ、「市販の惣菜」を買うのであれば、こうした「裏側」を知ったうえで買ってほしいというのが、私の思いです。
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そしてもうひとつ言いたいのは、「市販の惣菜」に求めすぎないということです。
そもそも、市販の惣菜には「限界」があり、多くの食品は「できたて」から時間が経つほど味が劣化していく、そして「安さ」と「簡単」「便利さ」を求めるには「代償」も伴うという「当たり前のこと」を忘れてしまっている消費者が多すぎるように思います。
「安さ」「簡単」「便利さ」には「代償」も伴う
天ぷらがヘタるのは「自然現象」です。それを「惣菜」に求めること自体に無理があります。
それに、「安さ」を求めるなら「中国産野菜」をはじめとした「輸入食材」を、「常温販売」のリスクがあるからには保存料をはじめとした「添加物」を使わざるを得ないのです。
「もっとおいしい惣菜を、できるだけ安く食べたい」
「自分でつくるのは面倒だけど、添加物や安価な輸入食材はいやだ」
「すぐに腐るものは困る」
「品数も豊富なほうがいい」
などと要求が高い消費者も、一部には多いと思うのです。
そこには「スーパーにあれこれ求めすぎている」「スーパーの惣菜の限界」を認めない「消費者側のわがまま」もあるように思えてなりません。
「市販の惣菜」には限界があります。「添加物」や「中国産野菜」が嫌なのであれば、「自分で食材を買ってきて、手作りすればいいだけ」の話です。
「平気で『お弁当』を買う人が知らない超残念な真実」でも解説したように、「安さ」「便利さ」ばかりを追い求めず、「簡単にできるレシピ」を知ったうえで「手軽に時短でできる、手作りのおいしさ」を見直し、味わってほしいというのが、「食の裏側」を知る人間としての切なる願いです。
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惣菜を買いに行く5分、10分の時間で簡単につくれる「おいしい時短料理」はたくさんあります。
「安部ごはん」も、「おいしいものを食べたいけど、手作りする時間がない」という消費者の声を受けて、私が15年かけて開発した「時短&絶品&無添加レシピ」です。
もし「市販の惣菜」を取り入れるなら、「ある程度の寛容さ」をもって取り入れる、「裏側」を知ったうえで「きちんと選んで食べる」ことが大事ではないでしょうか。
人がつくったもの(市販の惣菜)を食べるというのは、そういうことだと私は思います。
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提供元:平気で「スーパーの残念3大NG惣菜」買う人の盲点|東洋経済オンライン