2022.10.18
苦手な人と話す時に心のダメージをゼロにする策|悪口をよく話す人、反りが合わない家族や友人
悪口は参加してもしなくてもリスクがあります(写真:buritora/PIXTA)
累計250万部以上の書籍を手がける編集者である一方、ドラァグクイーンとして各種イベント、メディア、舞台公演などに出演する村本篤信氏による連載「話しやすい人になれば人生が変わる」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。
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周りが悪口で盛り上がっているときはリスクが大きい
「周りがその場にいない人の悪口で盛り上がっているとき、どうすればいいか」。
その場にいない人の悪口で盛り上がること、しばしばありますよね。
愛が感じられる悪口(?)もあれば、シャレにならないレベルの悪口が飛び交うこともありますが、いずれにせよ、そこでどう振る舞うかは重要です。
たとえば、あなたが悪口を言うのが好きで、かつ悪口を言われている人(仮にAさんとします)のことが好きでなかったりすると、つい一緒に悪口を言いたくなるかもしれません。
しかし、あまり盛り上がりすぎてしまうと、悪口を言っている仲間からさえ、「あの人、ふだんはAさんと仲良さそうにしているのに、陰ではあんなに悪口言うんだ……。私も陰で何言われてるかわからないから、気をつけなきゃ」などと思われてしまう危険性があります。
あるいは、ほかの人の悪口に同意したりうなずいたりしただけなのに、「あの人、Aさんのこと、こんな風に言っていたよ」などと告げ口され、すべての悪口の責任を負わされてしまう……などということも起こるかもしれません。
一方で、あなたが悪口を言うのが好きじゃない、Aさんのことを別に嫌いではない、といった理由から、悪口に加わりたくないと考え、「悪口はやめたほうがいいんじゃないかなあ」「Aさん、そんな悪い人じゃないと思う」など、その場の空気を壊すようなことを言ったとします。
その場合、周りの人から「自分だけきれいぶっている」「本心を見せず、何を考えているかわからない」などと思われてしまう可能性があります。
悪口に参加したくないときは、話題を変えてみる
では、周りが悪口で盛り上がっていたら、どうするべきなのか。
一番無難なのは、聞こえないふりをしてスルーすることですが、一対一の会話の場合は通用しません。
そこでまず考えられるのは、「『へえ』『ほう』『そうなんだ?』など、『それは、私にとっては、今まで見たことも聞いたことも考えたこともない新情報です』というテイで、ひたすら当たり障りのない相槌をうつ」という方法。
これなら、ギリギリ同意したことにはならないし、話し手の気分を損ねることもないでしょう。
とはいえ、相槌を打つだけでも、相手が「この人、ちゃんと聞いてくれている」と感じ、さらに悪口が盛り上がってしまう可能性があります。
また、「あなたはどう思うのか?」と水を向けられたら、返す言葉に困ってしまうこともあるかもしれません。
そんなときに試していただきたいのが、「話題を変える」という方法。
たとえば、相手(仮にBさんとします)が「Aさんって、全然仕事しないんだよね」と言ったら、「いやでもBさん、よくフォローしてるよね。見ててすごいし偉いなと思う」といった具合に、相手を褒める方向に話を持って行くのも手です。
悪口で盛り上がる人は、「自分の大変さを知ってほしい」と考えている可能性もあるからです。
さりげなく話題を変えるのが難しい場合は、多少強引かもしれませんが、悪口が途切れたときにでも、「あ、全然関係ないけど」と前置きしつつ、相手の好きそうなテレビ番組や相手が推しているタレントの話題を出してみたり、自分が困っていることを相談してみたりするのもいいかもしれません。
相手が、悪口と同等もしくはそれ以上に興味を持ちそうな話題、相手がスルーしづらい話題(人は何かを相談されると、たいてい「相手は悩んでいるのだから、ちゃんと答えなければ」という気持ちになります)をふるのがポイントです。
それを繰り返しているうちに、もしかしたら「あの人は、悪口になると話題を変える」「あの人、悪口あまり好きじゃなさそう」と気づかれてしまうかもしれませんが、そうなれば、気の進まない悪口大会に参加させられる機会も減るはずなので、むしろラッキーだと考えましょう。
ちなみに私は、悪口を聞くのは嫌いではありません。
もちろん程度にもよりますが、悪口というのは、とても人間らしい行為だと思うからです。
なので、周りが悪口で盛り上がっているときは、相槌をうちながら、ひたすら聞き役に徹することが多いのですが、同意や意見を求められた場合は、(悪口を言われている人の耳に入ることも覚悟のうえで)ときに一緒に悪口を言うこともあれば、「でもあの人、こういういいところもあるけどね」と、フォローのようなものを入れることもあります。
話したくないけど話さなければいけない相手
どうしてもそりが合わない家族。話していて、ついイライラしたり不愉快になってしまったりする友人・知人。笑えない冗談を連発し、ときには無理難題を押しつけてくる上司や同僚……。
できれば話したくないけれど、いろいろなしがらみがあって、そうもいかない。
できれば塩対応して遠ざけたいけれど、嫌われるわけにもいかない。
おそらくみなさんの中にも、そうした悩みを抱えている人がいらっしゃるのではないかと思います。
「苦手な人」と一口に言っても、怖い人、うざい人、なんとなく嫌いな人、いろいろなケースがあると思いますが、いずれにせよ、苦手な人と話さなければならないとき、まず試していただきたいのが、「話す前に、目に見えないバリアを張る」という方法です。
私は、ある女性に取材をした際に知ったのですが、もともとは、バルバラ・ベルクハンさんの著書『アタマにくる一言へのとっさの対応術』(瀬野文教訳、草思社)に書かれている方法だそうです。
やり方は非常に簡単。
苦手だな、と思う人が近づいてきたり、話しかけてきたりしたとき、あるいはこちらから苦手な人に話しかけなければならないときに、自分の全身が、何か(柔らかい繭や光、あるいは硬いシャッターなど、好きなもの、イメージしやすいものでかまいません)で守られている様子を頭に思い浮かべるだけです。
頭の中でバリアをはる
一度しっかりとイメージできれば、次からは「バリア」と唱えるだけで、瞬間的にバリアをはることができます。
頭の中でしっかりイメージする(絵として思い浮かべる)ことができれば、「自分と相手との間に、目に見えないバリアがあり、自分の心と体が守られている」と感じられるようになり、心が落ち着きます。
そうすれば、苦手な相手から嫌なこと、困ったことを言われても、ある程度落ち着いて、余裕をもって対処できるはずです。
余裕をもって接しているうちに、相手のいいところに気づき、徐々に苦手意識が薄まっていくこともあるかもしれませんし、目に見えないバリアを相手が感じて、必要以上に近寄って来なくなる可能性もあります。
見えないバリアで自分を守るという方法は、苦手な相手と直接対面するときだけでなく、電話やオンラインなどで話すとき、苦手な人から届いたメールを読むときにも有効なので、良かったら試してみてください。
私自身、このやり方を知ってから、「ちょっと苦手だな」と感じる人と話すとき、相手の言動にとげとげしたものを感じるとき、緊張するような場に行き、話さなければならないときなどに、目に見えないバリアを張るようにしているのですが、それだけで心の中に安心感が生まれ、気持ちを落ち着かせることができます。
苦手な人と接する際、もし可能であれば試していただきたいのが、「自分から声をかける」という方法です。
「先手必勝」「攻撃は最大の防御」という言葉がありますが、あなたが相手に苦手意識をもち、避けていると、あなたと相手が接するときは基本的に「相手のほうから近づいてくる」「相手のほうから話しかけてくる」という状況になります。
つまり、必ず相手のペースで会話やコミュニケーションが始まり、あなたは応戦するしかありません。
それでは、いつまでも相手に合わせた対応をするしかなく、苦手意識はますます高まっていきます。
しかし、あなたから話しかければ、少なくとも最初はあなたのペースで会話を進めることができます。
ちなみに私自身、ときどきこの「先手必勝」法を使うことがあるのですが、苦手な人に話しかけられたときよりも、自分から先に話しかけたときのほうが、気持ちに余裕をもって対応できる気がします。
何度か深呼吸してリラックスを
もちろん、何の用もないのに、わざわざ話しかける必要はありませんが、「相手が近づいてきたな」「相手が話しかけてきそうだな」と思ったら、自分から話しかけてみましょう。
アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です
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苦手な人と話していると、どうしても心身が緊張したり、相手のちょっとした言葉にイライラしたり動揺したりしますし、「この人のことが苦手だ」という思いが、表情に出てしまうこともあります。
でもそんなとき、何度か深呼吸をすれば、リラックスして会話ができるようになり、イライラや動揺も落ち着きます。
意識して口角を上げることで、相手には「この人は自分に対して敵意を持っていない」と感じてもらえますし(相手があなたに対して怒っている場合は、逆にもっと怒らせてしまいかねないので、口角を上げるのはやめましょう)、脳が騙されて、あなた自身の中の「この人と話すの嫌だなあ」という気持ちも、少しやわらぐかもしれません。
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提供元:苦手な人と話す時に心のダメージをゼロにする策|東洋経済オンライン