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2022.10.06

「キーボードをバンバン」職場の苛立つ人の扱い方|アドラー心理学では原因ではなく目的を考える


人がイライラしているとき、アドラー心理学では「原因」を考えるのではなく「目的」を考えます(写真:horiphoto/PIXTA)

人がイライラしているとき、アドラー心理学では「原因」を考えるのではなく「目的」を考えます(写真:horiphoto/PIXTA)

価値観の多様化と上下関係のフラット化が進んでいます。これに伴い、現場のリーダーには、「価値観の違うメンバーをチームとしてどうまとめるか」、「それぞれの価値観を尊重しつつ、どうチームとして成果を出すか」など、新たな悩みが生まれています。このような悩みを抱えるリーダーにおすすめなのが「アドラー心理学」の考え方・メソッドです。

『みんな違う。それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと。』では、「ビジネスの場面」でのアドラー心理学に精通した著者が、これからのリーダーが取り入れたいアドラー心理学の考え方・メソッドを解説していきます。※本稿では同書より一部を抜粋しお届けします。

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人が不機嫌なのには「目的」がある

職場で仕事をしていると、キーボードを強く叩いたり、「はぁ」と大きなため息をついたり、会話の声がとげとげしていたり。職場には、イライラしている人、不機嫌な人がいます。すると、「あれ、何か悪いことがあったのかな」とか「私のさっきの言い方がよくなかったのかな」などと、「原因」を探す人がいます。

しかし、このように人がイライラしているとき、不機嫌なとき、アドラー心理学では、「原因」を考えるのではなく、「目的」を考えます。

「目的ってどう意味だろう?」と思った人もいるでしょう。「イライラする」という態度をとることで、「達成したいこと」「伝えたいこと」(=目的)があると考えるのです。

例えば、イライラしている人は、「イライラする」という態度を通して「自分は忙しいことをわかってほしい」とアピールする「目的」があります。あるいは「ものごとがうまくいっていないことを伝えたい」という「目的」もありえます。

「不機嫌」という感情についてアドラーはこういう言葉を残しています。

<ADLER WORDS>

「この子が社会的なつながりを取れないこと、その結果、不機嫌であることが彼女に残された活動のほんの数少ない領域の一つだということを示しています。不機嫌であることは、彼女の母親を拒む最良の手段でもあり、だからこそ、不機嫌であることを好んでいるのです」
『アドラーのケース・セミナー』

つまり、「不機嫌でいること」は「母親を拒む」という「目的」を達成するための最も良い手段だということです。

不機嫌な人を見ると、多くの人は「彼・彼女に何があったのだろう」と「原因」を探ろうとしがちです。しかし、先ほどもお伝えしたように、人間は、同じ状況・環境であっても、同じ行動をとるわけではなりません。

「◯◯だから、必ず××になる」「◯◯する=××になる」という、因果関係が成立しているわけではないのです。であれば、「なぜ少女は不機嫌なのか」と「原因」を考えるのではなく、「何の目的があって不機嫌でいるのか」と「目的」を考えたほうが適切といえます。

必要以上に人の言動に「原因」を探す必要はない

例えば、製造業などの「モノ」の世界では、「なぜ」は効果を発揮します。それは、「因果関係」があるからです。

「ボタンを押す」と「動き出す」といった仕組みがモノにはあります。

あるいは、自然界の法則も、同様です。

「水が氷になる」のは「氷点下になったから」です。

こういうモノや事象の世界は、因果関係があるので、「なぜ」と「原因」を考えることは有効です。ミスやトラブル、不具合があった場合にも、「なぜ」と、原因を追求するのは重要なことといえます。しかし、人間は、「原因」を探したところで、みんながみんな同じ行動をとるわけではありません。だから「原因」を考えてもしかたないともいえます。

ならば、人の言動に必要以上に「原因」を探す必要はないのです。それよりも、「目的」を考えたほうが建設的です。

「不機嫌になる」のは、「他人を遠ざけたい」という目的がある。「怒る」のは、「相手を思いどおりに動かしたい」という目的がある。「落ち込んでいる」のは、「他人に気づいてほしい」「もう少し注目してほしい」という目的がある。

「不機嫌」も「怒り」も「落ち込む」という感情も「目的」のためにつくられている。その感情を使って、なしとげたい「目的」は何か。

一度、職場の部下・メンバーの言動に対して、「この人は、どんな目的があるのだろう」と考えてみてはいかがでしょうか。原因を探すより、解決策を見つけやすくなるでしょう。

同僚にはイライラしがちでも、家では穏やかな人も

例えば、こんな場面に出くわしたことがありませんか。

チーム内で不機嫌そうに仕事していた部下の一人が、同僚のミスに声を荒らげて指摘していたちょうどそのときです。携帯に取引先から電話がかかってきました。そのとたん部下は、「いつもお世話になっています!」と元気よく、機嫌よさそうな声で応対します。

「同僚」が相手のときは不機嫌になる。

「取引先」が相手のときには元気に明るく接する。

このように「相手」によって行動や態度が変わるのです。アドラー心理学では、人間の行動には必ず「目的」があり「相手役」がいると考えます。人間は「特定の誰か」を想定して、行動していると考えるのです。

いつも仕事を急いでいて、イライラしがちな部下が、家庭では穏やかでおおらかということもありえます。「急いでいる」「イライラする」のは、「早く家に帰りたい」が目的だからです。

けれども、誰に対しても「急いでいて、イライラしがちになる」わけではありません。同じ環境であっても、相手が「取引先の人」であれば、とたんに「機嫌のよい人」にもなれるのです。

同じく、家に帰り、相手が「妻と子ども」だった場合には、「穏やかでゆっくり話す」のが普通だったりするのです。「相手」によって、人は「目的」が違うものです。そのため、「人によって態度を変える」ということが起きるのです。

リーダーになってみると、どうしても部下にイライラしてしまう、上司と部下の間に挟まれて「なんでわかってくれないんだ」と腹が立ってしまうなど、「怒り」という感情がわいてきてしまうことがあります。

それを相手に思わずぶつけてしまったり、あるいは、ぐっと我慢したとしても、なんとなく不機嫌オーラを職場で出してしまったりして、自己嫌悪につながる。そんな経験のある人もいるのではないでしょうか。

ただ、「部下」が相手のときだけ、イライラしやすい、不機嫌になりやすい人は注意が必要です。「怒り」は、相手役が「弱い立場」のときに向かいやすい傾向があるからです。親なら子、教師なら生徒、上司なら部下という具合です。

これが固定化すると、「一方が支配し、一方が支配される関係」になります。人間として健全で健康とはいえないので、修正したほうがいいでしょう。

怒りの目的を知る

しかし、「怒り」という感情そのものは、時々は、「それはそれでしかたがないときもある」と私は思っています。「怒り」が100%悪いもの、とも思っていません。

人間ですから、不機嫌になってしまうことも、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。

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『みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) ※外部サイトに遷移します

そんなとき、私は、「怒りの目的を知りましょう」とアドバイスします。

ここまでお話ししてきたように「怒り」には「目的」があり、そして「相手役」が存在します。よくある目的の1つが、「部下」を「思いどおりに動かしたい」という支配欲があげられます。あるいは「上司」に「自分の尊厳を大きく傷つけられたくない」という防御の目的があったりもします。

不満に思ったり、イライラしたり、カチンときたときは、それを誰かに出す前に次のように考えてみてください。

「怒りの相手役は誰で、何が目的なのか」

これだけでも、自分の感情が整理されて、無駄に怒りに振り回されることは少なくなります。

さらには、「目的」の底には、何の気持ちがあるのかを考えてみてください。「部下を思いどおりに動かしたい」の底には、「私は不安に思う」「私は心配だ」などの気持ちがあったりします。「上司に自分の尊厳を大きく傷つけられたくない」という目的の裏には、「私は悲しい」「私は失望した」などの気持ちがあったりするものです。

この心の底にある気持ちに自分で気づくと、その後の対応が違ってきます。職場や仕事のことで、つい、イライラしたり、カチンときたら、「その目的の底にある本当の私の気持ちは何なのか」を考える習慣をもってみてはどうでしょうか。

ただ、相手に怒っているだけで終わらず、自分の本当の気持ちに向き合い、気づくほうが有益で、建設的な習慣といえます。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

仕事中「なぜか機嫌がいい人」がしていないこと

子どもにガミガミ言う親に訪れる数年後の苦難

「すぐあきらめる子」の親がかけがちな言葉4つ

提供元:「キーボードをバンバン」職場の苛立つ人の扱い方|東洋経済オンライン

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