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2022.10.14

糖尿病性ケトアシドーシスとは〜症状・原因・治療を分かりやすく解説〜


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『糖尿病性ケトアシドーシス』、あまり聞きなれない言葉ですよね。

少し難しくも聞こえますが、当記事では思い切りわかりやすく解説いたしました。

最後まで読めば、『なるほど、そういうことだったのか』と納得できる内容ですので、ぜひお付き合いください。

編集&執筆者情報:こちらをご覧ください ※外部サイトに遷移します

糖尿病性ケトアシドーシスはどんな病気?

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一言で説明すると、体内で作られる血糖値を下げるインスリンが不足し、血糖値が非常に高くなり体内のバランスが崩れ、死に至ることもある危険な病気です。

血糖値が高い状態では、体の細胞内の水分は血液中に移動していきます。血液中に移動した水分は尿として排出されてしまうため、水分不足から脱水状態になっていきます。

また、インスリンが無いと細胞は糖分を取り込むことができず、エネルギー不足で活動できません。そのため、脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。

そのとき、一緒に『ケトン体』という物質も作られるのです。ケトン体は酸性の物質ですので、ケトン体が多くなるにつれて体も酸性になっていきます。

人間の体は、酸性が強くなると呼吸や心臓がうまく働かないようになっているため、先程の脱水状態とのダブルパンチで、危険な状態になっていくのです。

飢餓性ケトアシドーシスについて

糖尿病性ケトアシドーシスとは別に、『飢餓性ケトアシドーシス』という状態があります。

飢餓性ケトアシドーシスは、拒食症などの理由で食べ物を食べられないなど、文字通りの飢餓状態により細胞が糖分を得られず脂肪を分解してエネルギーを得ようとした結果、体内で作られたケトン体によって体が酸性になってしまうことです。

一般的な症状

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吐き気、やたらとのどが渇く、多量に尿が出る、だるい感じ、などが一般的な症状です。

症状が進むと、意識が朦朧(もうろう)として、脳にも悪影響がでることがあります。

ケトアシドーシスとケトーシスの違い

ケトアシドーシスと似た言葉に、『ケトーシス』という言葉があります。

ケトーシスとは、体内のケトン体が何らかの原因で増加している状態です。激しい運動や糖質制限でもケトーシスになることはあります。

ケトアシドーシスとは、ケトーシスがかなり進んだ状態になり、体内が酸性になった重症の状態をいいます。似た言葉ですが、重症度は天と地ほどの差があるのでご注意ください。

死亡することもあるのか

糖尿病性ケトアシドーシスは、治療が遅れると意識が朦朧とし、やがて死に至ることもあります。

ほかに病気を抱えている人や高齢の方では、より死亡率も高まるといわれており、早期発見・治療が重要な病気です。

なぜ起こる?原因について

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インスリン注射の減量・中止やインフルエンザなどの感染症、大きなストレス、暴飲暴食などが引き金となり、血糖値が大幅に乱れることにより発症します。

1型糖尿病の場合

1型糖尿病の場合、インスリンが作られる膵臓の細胞が破壊されているため、インスリンが絶対的に不足している状態です。そのため、1型糖尿病の方は、糖尿病性ケトアシドーシスを発症しやすいといわれています。

また、糖尿病性ケトアシドーシスの発症をきっかけとして、1型糖尿病が発見されることもあるのです。

2型糖尿病はどうか

2型糖尿病の方でも、ケトアシドーシスになることがあります。例えば、夏場に甘いジュースやスポーツドリンクのような糖分の多い飲料を飲みすぎた際に、発症することが多いです。

この症状は、医学的に『清涼飲料水ケトーシス』と言われており、2型糖尿病の方でも注意が必要です。

なお一般的に糖尿病性ケトアシドーシスは、太り気味かつ糖尿病と診断を受けていない方がなりやすい、といわれています。ただし糖尿病の治療中であっても、風邪を引いたり大けがをしたりすることで血糖値のバランスが崩れて発症することもあります。

参考記事:炭酸飲料と糖質~「糖質ゼロ」の「カロリーゼロ」の違いも詳しく解説~ ※外部サイトに遷移します

治療法を紹介

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まずは、かかりつけの内科がある場合は、すぐに受診や電話相談をしてください。

難しい場合は、救急外来の受診が必要となります。すでに意識が朦朧としているようなときは、救急車を要請したほうがいいでしょう。

主な治療は、基本的には点滴となります。点滴して脱水状態を治しながら、インスリンを補っていきます。治療に伴って合併症も起こしやすいため、入院して全身状態を診てもらう必要があります。

併せて医師や看護師と、再発予防のための生活習慣の改善について振り返りをすることがとても重要です。

まとめ

糖尿病性ケトアシドーシスは、糖尿病のさまざまな合併症の中でも、特に危険度が高いものです。

しかし、糖尿病の治療を受けていれば、予防することのできる病気です。

糖尿病治療は毎日の飲み薬や注射が必要で、とても億劫なものだと思います。しかし怖い病気を予防するためにも、きちんと治療を受けて生活習慣を整えていきましょう。

参考文献

・糖尿病療養指導ガイドブック2018 糖尿病療養指導士の学習目標と課題 日本糖尿病療養指導士認定機構編・著 メディカルレビュー社 2018年発行
・慢性期看護論第2版編集 鈴木志津枝 藤田佐和 ヌーヴェルヒロカワ 2013年発行
・見てできる臨床ケア図鑑 糖尿病看護ビジュアルナーシング監修 平野勉編集 柏崎純子 学研メディカル秀潤社 2015年

執筆者:副編集長 白石香代子

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山口県立大学家政学部栄養学科卒業後、人材業界を中心にセールスやコンサルタントとして交渉力・語彙力など幅広いコミュニケーションスキルを培う。その後、中国大連にて日系企業のフードアドバイザー、日本人学校の食育セミナー講師として活動。現在、H2株式会社とクリニックでの栄養士業務、特定保健指導を兼任。その他、中国高齢者施設の栄養監修なども手掛けている。管理栄養士、東京糖尿病療養指導士の資格を保有。

記事提供:H2株式会社

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提供元:糖尿病性ケトアシドーシスとは〜症状・原因・治療を分かりやすく解説〜|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】

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