2022.10.08
糖尿病と下痢には関係がある?〜特徴・原因・治療をシンプルに解説〜
糖尿病と診断されて何年も治療をしてきたあなた。
「最近、下痢になることが増えたな」と感じていませんか?
それはもしかしたら、糖尿病が原因かもしれません。
そこで本記事では、糖尿病と下痢の関係について、わかりやすく解説していきます。
編集&執筆者情報:こちらをご覧ください ※外部サイトに遷移します
糖尿病で下痢が生じるのはなぜか
まず、糖尿病と関係する下痢の特徴やその原因をご紹介しますね。
症状の特徴
糖尿病と関係して起こる下痢の特徴は、「下痢はしているけれど、お腹は別に痛くない」「下痢と便秘を繰り返すことがある」の2つが多いです。
全員が当てはまる訳ではないのですが、このような特徴があることは覚えておいて損はないと思います。
消化管への合併症
ではなぜ、お腹は痛くないのに下痢になったり、下痢と便秘を繰り返したりするのでしょうか?
それは糖尿病の合併症が関係しているからです。
糖尿病の三大合併症の一つに、神経障害があります。
神経障害の中でも自律神経障害が起こると、自律神経は全身にあるため消化管への合併症を起こす可能性があります。そして消化管への合併症が起こると、下痢を引き起こすのです。
便秘も消化管への合併症で起こるため、糖尿病の方が下痢と便秘を繰り返すことにも繋がります。
参考記事:その痛みは糖尿病性神経障害の可能性 ~治療から予防までわかりやすく解説~
参考記事:糖尿病患者さんに慢性的な便秘が多いのはなぜ?〜原因・治療・対策を解説〜 ※外部サイトに遷移します
参考記事:血糖値が高いと吐き気が起こる?〜糖尿病でよく見られる症状も紹介〜 ※外部サイトに遷移します
薬の副作用
実は、血糖値を下げるために飲んでいる薬の副作用でも下痢になることがあるのです。
血糖値を下げる薬にも色々な種類がありますが、その中でα-グルコシダーゼ阻害薬(※1)やGLP-1受容体作動薬(※1)という薬は、頻度は低いですが下痢を生じることがあります。
※1…糖の吸収を遅らせる働きをする薬
※2…インスリンの分泌を促進するインクレチンというものに似た物質の薬
その他にも下痢が副作用として挙げられる薬があります。
いつも飲んでいる薬がどの種類かわからない場合は、主治医や薬剤師に聞いてみるとよいかもしれませんね。
糖尿病以外の下痢の原因
糖尿病以外でも、下痢が起こる理由はたくさんあります。
例えばお酒やストレスの影響で起こることもありますし、感染性胃腸炎(ノロウイルス)や消化管の病気が原因で起こることもあります。
なお原因が分からない下痢が続く時は、近くの内科(できれば消化器内科)のクリニックで検査をしてもらうことがおすすめです。
参考記事:糖尿病とストレスの関係~適度にリラックスして生活しよう~ ※外部サイトに遷移します
下痢による低血糖に注意
下痢の症状が辛くてあまりご飯が食べられない…となったあなた。そのような時は、低血糖に注意です。
ご飯が食べられない時に、いつも通り血糖値を下げる薬を飲んだりインスリンを打ったりすると、血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。これがシックデイです。
シックデイになった時の対応を主治医と決めているときは、それに従ってください。
また、シックデイになった時にどうしたらよいのか分からないというあなたは、かかりつけの病院に相談しておきましょう。
逆に下痢が続いて脱水の状態になると、血糖値が上がることもあるので注意が必要です。
参考記事:シックデイとは?糖尿病との関係と対策をシンプルに解説 ※外部サイトに遷移します
糖尿病による下痢の治療や対策を紹介
糖尿病が原因で下痢が続くときは、下痢を止める薬を使ったり腸の働きを整える薬を使ったりすることがあります。
また、先ほどお伝えしたように下痢によって脱水になりやすいので、対策としてはこまめに水分補給をすることが必要です。
下痢が止まらない時はすぐに医療機関に連絡
下痢が止まらないので、ドラックストアで売っている下痢止めを飲もうとしているあなた。
自分で判断して薬を飲む前に、一度医療機関に連絡してみてください。
もし神経障害が原因で下痢が起こっているのであれば、これ以上症状が悪化しないように血糖コントロールを見直す必要があります。
また、血糖値を下げる薬の副作用で下痢が起こっているのであれば、薬の調整が必要かもしれません。
いずれにせよ、下痢が止まらないなと感じたら、まずは主治医に相談するのがおすすめです。
まとめ
それでは本日のまとめです。
・糖尿病による下痢の原因としては、合併症と薬の副作用が考えられる
・下痢の時はシックデイに注意が必要
・下痢が止まらない時は自己判断せずに病院を受診する
以上です。
下痢は辛いですよね。本記事が、あなたの症状が1日でも早く治るためのきっかけになれば嬉しいです。
■参考文献
医療情報科学研究所(2021):病気がみえるvol.3 糖尿病・代謝・内分泌第5版,メディックメディア.
執筆者:副編集長 白石香代子
山口県立大学家政学部栄養学科卒業後、人材業界を中心にセールスやコンサルタントとして交渉力・語彙力など幅広いコミュニケーションスキルを培う。その後、中国大連にて日系企業のフードアドバイザー、日本人学校の食育セミナー講師として活動。現在、H2株式会社とクリニックでの栄養士業務、特定保健指導を兼任。その他、中国高齢者施設の栄養監修なども手掛けている。管理栄養士、東京糖尿病療養指導士の資格を保有。
記事提供:H2株式会社
【合わせて読みたい】
ダイエットにさつまいもが良いって本当?〜効果・やり方・レシピをポイント解説〜
ニンニクの芽の栄養成分と効果~実はダイエットにぴったり!?~
提供元:糖尿病と下痢には関係がある?〜特徴・原因・治療をシンプルに解説|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】