2022.09.28
「茎が緑のバナナ」がダイエットに大注目なワケ|懐かしい「あの健康法」は結局効果があったのか
バナナには不溶性と水溶性、2つの食物繊維の機能を兼ね備える「レジスタントスターチ」が含まれています(写真:sato81jp/PIXTA)
2008年ごろ大ブームとなった「朝バナナダイエット」。ダイエット法は、はやり廃りが激しく、ほかのダイエット法に追いやられ、最近は当時と比べて聞かなくなった印象がある。しかし、あれだけはやって多くの人が「やせた」と言っていたダイエット法。実際、本当にやせるのであれば、流行など関係なく、試す価値はあるのではないか。そこで今回、腸の第一人者である順天堂大学医学部小林弘幸教授の著者『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由 医師も実践している本気の腸活』の内容を一部抜粋して、懐かしの「朝バナナダイエット」について検証していく。
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ポイントは「レジスタントスターチ」
朝食をバナナと水だけにし、昼食や夕食はいつものままでOK。その手軽さで、一時期、とても話題になった「朝バナナダイエット」。バナナは満腹感が高い割には、カロリーが1本でご飯茶碗半分程度(82g)しかなく、朝食のカロリーは当然減ります。結論からいえば、昼食、夕食でドカ食いをしなければ、「朝バナナダイエット」は、やせる可能性は十分にあります。
何より、バナナは「やせ体質」になる手助けをしてくれています。
ポイントはレジスタントスターチです。レジスタントスターチは、「消化されない(レジスタント)」「でんぷん(スターチ)」という意味で、その名のとおり、食物繊維と同様、消化されずに大腸まで届いて作用してくれます。
そのすごさは、「不溶性と水溶性(発酵性)、2つの食物繊維の機能を兼ね備えている」ところです。善玉菌がすみやすいように腸をきれいにし、なおかつエサとなり元気にさせる、まさに「腸活の二刀流」といった働きをみせてくれます。その効果から、食物繊維を超越しているという意味合いを込めて「ハイパー食物繊維」という異名を持っています。
先ほど、レジスタントスターチは善玉菌のエサになるといいましたが、エサとなって生み出されるものが、「短鎖脂肪酸」です。
「短鎖脂肪酸」とは、ビフィズス菌や酪酸菌などの腸内の善玉菌たちが作り出す成分で、酢酸・酪酸・プロピオン酸などの種類があります。
この短鎖脂肪酸は、体の脂肪組織に作用して、「これ以上、脂肪を取り込まないで」と指令を送ってくれます。
そうなると、脂肪細胞が脂肪の取り込みを抑えてくれます。
また、「GLP-1」というホルモンの分泌を促すことによって、満腹感が持続し、むしろバナナは、やせやすい体質作りに役立つ過食を防いでくれます。
さらに、短鎖脂肪酸によって体温が上がったり、心拍が上がったりすることで基礎代謝が上がり、やせやすくなるともいわれています。
バナナには、先ほど紹介したレジスタントスターチのほか、善玉菌のエサになり、短鎖脂肪酸を生み出しやすくする「フラクトオリゴ糖」も含まれています。さらに、善玉菌が活動しやすい環境を整えてくれる食物繊維も含まれています。
私も実際に研究をしたところ、1日2本のバナナを毎日2週間とった人の約半数に、腸内環境改善効果がみられました。
つまり、「朝バナナダイエット」でバナナを摂ることによって、腸内環境が整い、善玉菌が短鎖脂肪酸を多く生み出しやすくなり、「やせ体質」につながる可能性があるというわけなのです。
バナナの選び方で、ダイエット効果が違う
「朝バナナダイエット」のやせ効果をあげるのであれば、バナナ選びにも気を使いたいところです。
(画像:アスコム)
熟したバナナ、普通のバナナ、緑のバナナの中で、「ダイエット」に最も適したものはどれでしょう。
正解は、茎が緑っぽくなっているバナナです。
このバナナ、業界では「グリーンチップのバナナ」と呼ばれているものです。
岐阜大学応用生物科学部食成分機能化学研究室が行った実験によると、バナナが成熟していくにつれて、レジスタントスターチの含有量が減少したという結果が出ています。全体が青めのバナナのほうが、レジスタントスターチは豊富ですが、おいしさと手に入りやすさを考えれば、グリーンチップのバナナがベストです。
私は、このグリーンチップのバナナを、食物繊維とハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」を毎日摂取するのに適した、「ファイバー(食物繊維)バナナ」と名付けました。茎まで黄色くなったからといって、腸活効果がなくなるわけではないですが、グリーンチップのバナナをスーパーで見かけたら腸を整えて「やせ体質」にするチャンスだといえます。
「朝バナナダイエット」の欠点を補うダイエット法
ここまで説明してきた「朝バナナダイエット」ですが、気がかりな点もあります。1つは、朝食がバナナだけなので、栄養の偏りが心配だということと、朝がバナナだけということで、ついついお昼にドカ食いしてしまう危険性があることです。
そこで、同じバナナを使ったダイエットでおすすめなのが、「バナナファースト」です。
ベジファーストやミートファーストという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。それとやり方は一緒で、食事の前にバナナを食べるというもの。3食きっちりと摂るので、栄養の偏りも、空腹によるドカ食いの危険性も少なくすみます。
バナナは食べごたえがあり、満腹感を得やすく、適度な甘味で満足度も高くなるため、さほど無理なく、カロリーや糖質の高い炭水化物の量が減らせます。
そして、食物繊維を先に摂取することで、食後血糖値の上昇を抑えられます。
なにより、手軽に食べられるので、外出先などでも実践しやすく、さらに効果が最も期待できるタイミングで取り入れやすいのです。
普段の食事でも、食べてから満腹感を覚えるまで、時間がかかると思います。ですから、満腹感を覚えて食べすぎを防止するためには、バナナを食べてから、本格的に食事を摂るまで、できるだけ時間を空けたほうがいいのです。
食事の内容によっても違うでしょうが、もう満腹だと感じるまでには、大体20〜30分かかります。
また、食後血糖値の上昇を抑制する効果も、〇〇ファーストの食材を食べてから、炭水化物などを摂るまで20〜30分ぐらい空ける効果があるといわれています。
ですが、食事を本格的に食べる30分前に、サラダだけを食べるとか、肉だけを食べるというのは、現実的ではないのではないでしょうか。
しかし、包丁も水洗いすらもいらないバナナだと、それが可能です。
バナナを食べてから外食する
たとえば、朝起きてしばらくしてバナナを食べて、朝食の用意をして、食べる。
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ランチで外食する前に、デスクでバナナを食べてから出かけるといったことは、さほど難しくはないのではないでしょうか。
つまり、最も効果が期待できるタイミングで〇〇ファーストを行えるのが、バナナファーストではないかと考えます。
1つ注意してほしいのが、バナナファーストだからといって、ドカ食いしていいというわけではありません。バナナを食べる分、ご飯でしたら、1/2膳程度、食パンなら半分量など炭水化物を減らすことをおすすめします。満足感の高いバナナを食べていれば、さほど無理を感じないと思います。
また、先ほど述べたように、腸活には、1日にバナナ2本がいいという結果が出ていますので、3食のうち、2回、バナナファーストを試してみてはどうでしょう。
バナナは、ダイエット効果、腸活効果だけでなく、体の老化を防いだり、集中力や運動効果を上げる栄養素も含んでいたりしますので、ダイエットにプラスされて、さまざまな健康効果を期待できるのではないでしょうか。
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提供元:「茎が緑のバナナ」がダイエットに大注目なワケ|東洋経済オンライン