2022.08.23
残暑疲れに火使わず超簡単「トマト冷や汁」作る技|まさに飲むサラダ!ご飯やうどん、そうめんに合う
暑い夏に、火を使わずに簡単に作れておいしい「トマト冷や汁」の作り方を伝授します
在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
今回は郷土料理をアレンジした「トマト冷や汁」です。
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夏にさっぱり!冷や汁は「飲むサラダ」
料理屋さんでは夏と冬で、味の組み立て方を変えます。例えば鰹節と昆布の合わせだしも夏は昆布の量を減らし、すっきりした味わいにしたり、味付けには濃口しょうゆよりもうす口しょう油と塩を使って色も淡めにしたりします。
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今の時代はいつも濃いうま味が尊重されますが、昔から夏は「おいしすぎない」ものが好まれました。
例えば「洗い」という料理があります。スズキやアジなどの薄い切り身を氷水に落とし、身が縮んだころに引き上げ、お刺身のように食べる調理法です。うま味成分は水溶性なので水で洗えば味が抜けますし、脂も落ちます。一見すると不合理な調理法ですが、夏にさっぱりと食べるための工夫なのでしょう。
今回は郷土料理の冷や汁を、現代的に仕立てます。冷や汁は焼いた魚の身をほぐし、あぶったみそとすり鉢で練り上げ、それをだしで伸ばしたりしますが、すり鉢とすりこぎを使うと洗うのも面倒ですし、魚を入れると「おいしくなりすぎる」ので今回は省きます。味の補いとして鰹節を加えていますが、精進仕立てにする場合は昆布だしを使ってください。
代わりに加えたのが「トマト」です。赤いトマトのさわやかな酸味とうま味が味を支えてくれます。言ってみれば冷や汁は飲むサラダ。作り方も簡単です。
トマト冷や汁の材料(4人分)
きゅうり 2個
トマト 1/2個
絹ごし豆腐 1/2丁
みょうが 1本
大葉 10枚
水 400ml
みそ 60g
すりごま 40g
鰹節(かつおパック) 4〜6g
砂糖 小さじ1
通常、この連載では2人前のレシピですが、今回は塩味が安定しやすいので多めの分量にしています。まず温かいご飯で食べ、残りはそうめんやうどんで食べてください。
豆腐は1/2サイズのものが便利です
まず、きゅうりを小口切りにします。以前、ご紹介した「きゅうりの酢の物」(『猛暑乗り切る強い味方「きゅうり」おいしく食す技』参照)と同じ工程です。小口切りはスライサーを使ってもいいでしょう。包丁とスライサーで比較実験をした論文がありますが、味の差は出なかったようです。
『猛暑乗り切る強い味方「きゅうり」おいしく食す技』 ※外部サイトに遷移します
ゆっくりでいいので厚さをそろえること
きゅうりの重量の1.5%の塩を振り、全体に和えます。15分ほど置きましょう。
慣れてきたら塩の分量は目分量で大丈夫
みそ汁の材料(みそ、すりごま、鰹節、砂糖、水)です。鰹節はかつお
パックなどの名称で売られている小分けのタイプを使いました。だしを
とるのに使うような鰹節の場合は600Wの電子レンジに20秒かけ、もむよ
うにして細かくしたものを使います。
すりごまは市販のパックが売られています
米みそを使っている関係で、小さじ1の砂糖で甘みを足しました。甘みのある麦みそを使う場合は省略できます。基本的には材料を計り、それを水で溶くだけです。
水を入れて溶きます
みそ汁の準備ができました。
濃厚にする場合はさらに練ごまを加えます
冷や汁は焼きみそを使うのが王道的な作り方。みそを加熱しない=香りが立たないからだと思いますが、みそを溶くだけでも十分です。
さきほど塩を振ったきゅうりに水50ml(分量外)を足し、手で絞ります。水を加えたのは塩気を抜くためです。きゅうりの酢の物の場合は塩気を生かしますが、冷や汁の場合はみそ汁に塩分があるので、ここで調節しています。
キッチンペーパーなどで絞ってもいいでしょう
角切りにしたトマトを加えます。後は材料を次々と加えていくだけです。
トマトは完熟したものがいいようです
豆腐は手でちぎって加えましょう。包丁で切るよりも風情が出ます。
豆腐は絹ごしが合います
縦半分に切ってから小口切りにしたみょうがと千切りにした大葉を加えたら出来上がり。
みょうがと大葉は香りの役割なので事前に水にさらす必要なし
温かいご飯にかけていただきます。温かいご飯に冷たい汁という組み合わせが新鮮です。冷や汁は宮崎県が有名ですが、類する料理は鹿児島県や愛媛県、埼玉県や山形県など各地にあり、夏の暑さを乗り切るために各地で作られてきたのでしょう。
トマトの赤が入ると華やかになります
アレンジとして冷蔵庫にあった納豆を入れて、納豆冷や汁にしてみました。納豆1パックを包丁でたたき、足すだけです。包丁で叩くのが面倒であればひき割り納豆でもかまいません。
大粒の納豆を使いました
ちなみにひき割り納豆の原材料表記は「ひきわり大豆」と「大豆」があります。「ひきわり大豆」とあればすでに挽かれた大豆を仕入れ、それを蒸して製造したもの。
「大豆」とあれば自社でひいた大豆を蒸して製造していることがわかります。大豆は酸化しやすい食品のため、どちらかという後者の表記の納豆を選んだほうがおいしさに出会える確率は上がります。
納豆とみそは同じ大豆製品なので相性は抜群。発酵食品由来のコクが加わるのでうどんとの組み合わせがおすすめです。この冷や汁は火を使わずにできるレシピ。今の時期ならではの楽しみです。
納豆のとろみが味に厚みを出します
温かいご飯に合います
(写真はすべて筆者撮影)
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提供元:残暑疲れに火使わず超簡単「トマト冷や汁」作る技|東洋経済オンライン