メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2022.08.22

知ると腑に落ちる「天才科学者は少食が多い」ワケ|アインシュタインやニュートンらの食事情


アインシュタインをはじめとした天才科学者たちの食事情を解説します(写真:aKHoy/PIXTA)

アインシュタインをはじめとした天才科学者たちの食事情を解説します(写真:aKHoy/PIXTA)

歴史に名を刻む偉人たちはどんな食事をしていたのか。調べてみると、興味深い事実が次々と浮かび上がってきます。その中から、今回はアインシュタイン、ニュートンなど天才科学者たちの食事について、東洋経済オンラインで『近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体』を連載中の真山知幸氏が解説します。

※本稿は真山氏の新著『偉人メシ伝 「天才」は何を食べて「成功」したのか?』から一部抜粋・再構成したものです。

『近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体』 ※外部サイトに遷移します

『偉人メシ伝 「天才」は何を食べて「成功」したのか?』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

食事の優先順位が低かったアインシュタイン

「一般相対性理論」や「特殊相対性理論」を着想して、「光量子仮説」の研究でノーベル物理学賞を受賞した、 アルベルト・ アインシュタイン。「あかんべー」をした有名な写真は「天才」のシンボル的な扱いを受けており、アパレルブランドがTシャツを作ったりもしている。

当の本人はファッションにまるで関心がなかった。カラーや靴下も着けずに、すり切れたジャケットとスリッパで過ごして、周囲を困惑させていたくらいである。

「できるだけ気楽にしていたい」

そう考えたアインシュタインの姿は、科学者というよりも、芸術家を思わせるものだったという。そして服装と同様に、食事にもこだわりは見られなかった。

アインシュタインは学生時代、下宿の近くのレストランで食べることもあったが、パン屋でりんごパイやぶどうパイの一片を買い、自分の部屋で済ませてしまうこともたびたびだった。

大学教授になってからも食事の優先順位は低く、夕食はいつもソーセージと一切れのパンのみ。昼食もさっさと済ませては、共同研究者で友人のグロスマンに数学的議論をふっかけて、「まだ休みたいのに……」と相手に嫌がられていた。

おやつの時間も自由気まま。お菓子の包み紙が手元にあれば、そこに計算し始めたという。つねに研究のことしか頭になかったのだ。

ただ、年齢を重ねるに連れて、外食時の油で胃腸の調子を崩すことが重なり、やや食事に気を遣うようになったらしい。友人にこんなふうに忠告している。

「どんなに簡単なものでもいいから、家で食事しなさい」

といっても、自宅での料理にこだわったわけではない。知人の家をたびたび訪ねては、一緒に食事を楽しんでいる。あるとき、知人の家で、用意されたミルク、パン、チーズ、ケーキ、そして、果物をのせた小さなテーブルを見てこう叫んだ。

「こんな素敵な食事と、ヴァイオリン、ベッド、机と椅子のほかに何を望むことがあるだろう!」

このころ、アインシュタインの関心は発見した相対性理論のことばかりで、周囲から騒がれることに心底うんざりしていた。

気兼ねなく過ごせる自宅や友人の家で食事をしながら、おもむろに好きなヴァイオリンを弾く。そんな時間が、アインシュタインにとっては、かけがえのないリラックスタイムだったのである。

ニュートンとアインシュタインの違い

アインシュタインと同様に、偉大なる法則を発見したのが、イギリスの科学者アイザック・ニュートンである。ニュートンにまつわる食べ物といえば、リンゴが思い浮かぶが、「リンゴが木から落下するのを見て、万有引力の法則を発見した」という逸話は伝説にすぎず、事実ではない。

「孤独は天才の学校である」

そんな言葉を残したニュートンは1人でひたすら研究することを好み、食事は不規則かつ少量だった。「食事は知的活動において、ただ邪魔な時間」とさえみなしていたという。

もっとも食事だけではなく、研究以外のほぼすべての活動が無意味なものに見えていたらしい。床に就くのも朝の短時間だけで、睡眠時間もろくに取らなかった。

休養という概念がないニュートンは、思考を巡らせながら、ひたすら歩き回った。その姿を見た人は、こんな証言をしている。

「靴のかかとは踏みつぶし、靴下のひもは結ばず、髪はぼさぼさだった」

外見に構わなかったところはアインシュタインと似ている。だが、2人には大きな違いがある。アインシュタインは女性好きだった。食欲の分が性欲にあてられたようにさえ思えるくらいだが、ニュートンは性愛にすら関心はなかった。フランスの哲学者ヴォルテールは、こう評している。

「ニュートンは、長い生涯の間に、情欲を感じたことはないし、人類に共通の意志薄弱とは無縁で、女性との交際もなかった」

ろくに眠りもせず、食事もせず、人付き合いもせず。それでいて84歳まで長生きしたのは「自分にはやるべきことがある」という信念を持っていたからだろう。ほかのことに関心がなかったのは自然なことのようにも思えてくる。

ニュートンの生き方はまるで求道者のようだが、ノーベル化学賞と物理学賞を受賞したポーランド出身の化学者マリー・キュリーも負けていない。

家庭教師のアルバイトで学費を稼ぎ、家庭の貧しさから一時期は断念していた大学進学を果たすと、寸暇を惜しんで勉学に励んだ。ソルボンヌ大学理学部の学生は2000人近くいたが、女性はマリーを含めて20人程度だった。当時の社会がいかに女性を学問から遠ざけていたかがわかるだろう。

通学時間すらも惜しんだマリーは、同居していた姉がきちんと食事させようとすることにも苛立ちを感じていた。

マリーが食べた日常のメニューは、お茶、ココア、パン、果物。貧しさから卵や肉はほとんど食べられず、栄養失調で倒れたこともあった。それでも、マリーは学生生活をこう振り返る。

「生涯最高の思い出の1つだ」

大学にいりびたって、学問に没頭できる環境がただただ嬉しかったのである。家事よりも勉強に励んでいたため料理の経験は乏しかったが、物理学者のピエール・キュリーと結婚後は、そう言ってもいられなくなった。

何しろ、女性が家事をやるのが当然とされた時代である。必要に迫られたマリーは科学を習得した要領で料理も覚えていく。スープの作り方も知らなかったが、スグリのジャムなどを作りながら、料理のレシピを書き留めるまでになった。

夫ピエールも研究に没頭すると食に構わないタイプ

だが、ピエールも研究に没頭したら食に構わなくなるタイプだった。マリーがせっかく作った夕食も何だったか思い出せないこともしばしば。それどころか自分が食事をしたかどうかもわからなくなる始末だった。

やがて「研究だけをしていたい!」夫妻の相乗効果(?)によって、2人とも歯止めが利かなくなってしまう。

「あなた方はろくに食事をしていません。マリーがソーセージを二切れ食べただけで食後のお茶にしてしまったのを一度ならず見ましたよ」

こんなふうに、共通の友人から警告されてしまうくらいだ。さらにこんな忠告まで受けている。

「いくら健康に無関心であろうと、それは言い訳になりません。今のあなたの行動はまるで子どものようです。科学への没頭を生活に持ち込むことはやめるべきです。食事のときにまで、物理の本を読んだり物理の話をしたりしてはいけません」

しかし、聞く耳を持つ相手であれば、最初からそんな生活になっていないだろう。友人の警告に何の効果もなかったことは言うまでもない。

医学者で細菌学者の野口英世もやはり研究第一で、生活はメチャクチャだった。マリー・キュリーと同様に、子ども向けの偉人伝では必ずといってよいほど取り上げられるが、親として子どもが見習ってほしい人物かと言われれば、口ごもってしまう。

お金があればあるだけ使ってしまう野口。食事においても計画性はなく、とにかく手早く済まそうとした。店ではいつも同じメニューを頼んでは、ろくに味わわず、本を読みながらフォークで口に放り込んでいたという。

研究に熱が入れば、食事を抜くこともしばしばだった。夕方になって同僚から「家に帰らないのか」と聞かれると、こう答えたという。

「ここが僕の家だ」

そんな野口もニューヨークで知り合ったメリー・ダージスと結婚することで少しは家庭的になったらしい。妻の料理を手伝うこともあり、日本料理のすき焼きを教えたりもした。それでも相変わらず、いつも慌ただしく、食べている途中から顕微鏡を手元に寄せて、細菌をのぞいたりしたという。小学生のほうが、落ち着きがあるのでは……。

アイデアが浮かぶと仕事優先になったベル

電話を発明したスコットランド生まれの科学者アレクサンダー・グラハム・ベルも、働き出すとその手を止めることができなかった。睡眠時間は3~4時間で、そのほかの時間はひたすら仕事に没頭して、妻のメイベルを困らせている。

子どもが生まれるのを機に、メイベルはベルに何とか規則正しい生活を送らせようと涙ぐましい努力をしている。午前8時30分には朝食を食べさせ、午後7時には夕食を取らせたうえで「夕食後の2〜3時間は仕事をしない」というルールを作った。

ベルもそのルールを守ろうとはしたが、アイデアが浮かぶとやはり仕事優先になり、妻を失望させている。夢中になると歯止めが効かないのが、科学者という人種なのかもしれない。

科学を愛する偉人たちに「食事をいち早く済ませて、研究に没頭した」タイプが多いのは興味深い。もちろん、なかにはグルメな科学者や、大食いの科学者もいるだろう。だが、頭の中は研究のことでいっぱいだとしても不思議ではない。

物理学者の湯川秀樹も行きつけの店で好物のビーフカレーを味わいながら、思考の旅に出ていたようだ。自らの仕事について「平生の仕事は読むこと、考えること、書くこと、話すことなどである」としながら、「考える」はいつでもどこでもできることだとして、こう言っている。

「どんなとき、どんな所ででもできる。ご飯を食べながらでも考えられる。満員電車の中でもよい」

いつもビーフカレーを頼んだのは、決まったものを食べることで、思考の旅に出るスイッチを押していたのかもしれない。 湯川が贔屓にした 「丸太町東洋亭」(京都府上京区) には、 研究者仲間と来店することが多かったという。科学の議論にも花を咲かせたのではないだろうか。

好きなときに好きなものを食べていたエジソン

アメリカの発明家トーマス・エジソンの場合は、若いころには好きなものを好きなときに食べた。糖尿病を患っていたため、医師から食事制限を課せられていても、どこ吹く風で、こんなふうに言っている。

記事画像

『偉人メシ伝 「天才」は何を食べて「成功」したのか?』(笠間書院) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「医者の言うことを鵜呑みにしてはいくら身体があっても足らないよ。自分は化学に詳しいから、薬のことは医者よりよく知っている。身体に最もいいのは、こういった自然の中でもりもり好きな物を食べ、楽しく過ごすことさ」

だが、やがてエジソンは糖尿病とはまったく違う理由で、食事の量を減らすようになる。朝食は少量のラムチョップでトーストを1枚食べて、コーヒーを飲む程度。昼はイワシのフライを2切れに、アンチョビをのせたトーストを食べて、あとはリンゴと紅茶、デザートにアップルパイを食べた。夕食は野菜中心で、毎回、量は少ないがゆっくり、よくかんで食べたといわれている。

エジソンは「より少なく」食べようとした理由について次のように語っている。

「私は余分なガソリンは食わない」

腹いっぱい食べれば眠くなり、思考力も落ちてしまう。感覚としてわからないでもない。いずれにせよ、いつでもどこでも、自分の研究のことに夢中になれることが、1つの才能ではないだろうか。

記事画像

【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

日本人の体を壊す「隠れ油とりすぎ」の深刻問題

平気で「食パン」を買う人が知らない超残念な真実

平気で「エナジードリンク」飲む人が知らない盲点

提供元:知ると腑に落ちる「天才科学者は少食が多い」ワケ|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

みかんの栄養と効能効果〜肌&身体に良い成分・皮や筋についても紹介〜

みかんの栄養と効能効果〜肌&身体に良い成分・皮や筋についても紹介〜

【大満足♡糖質オフ!レシピ】りんごのレンジ煮ヨーグルト[糖質10.7g]

【大満足♡糖質オフ!レシピ】りんごのレンジ煮ヨーグルト[糖質10.7g]

干し柿の栄養は健康と美容に効果的!食べすぎによる注意点も詳しく解説

干し柿の栄養は健康と美容に効果的!食べすぎによる注意点も詳しく解説

ワインは高カロリーで低糖質〜ダイエット中の楽しみ方やおつまみも紹介〜

ワインは高カロリーで低糖質〜ダイエット中の楽しみ方やおつまみも紹介〜

戻る