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2022.06.10

燃油サーチャージも「狂乱的な値上げ」回避する技|「マイレージ」で予約をとる際は注意が必要


コロナによる再入国規制が緩和されたものの、燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が史上最高値を更新した(写真:やえざくら/PIXTA)

コロナによる再入国規制が緩和されたものの、燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が史上最高値を更新した(写真:やえざくら/PIXTA)

2022年6月から、国際線の航空券発券時に課される燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が史上最高値を更新した。

ANAの場合、2022年6月1日~7月31日発券分で日本からアメリカ本土・ヨーロッパ・オーストラリアなどを往復した場合、7万4800円。ウクライナ情勢などにともなう原油価格上昇に加えて、円安も、円建てのサーチャージでは不利に働いている。さらに現地でも円安のため、旅費はかさむ一方だろう。

ようやくコロナによる再入国規制も緩和されたものの、これなら今年の夏も国内でいいか……と思っている人もいるのではないだろうか。

円安による物価高はいかんともしがたいが、サーチャージについては回避したり、安く済ませたりする方法がないわけではない。サーチャージが狂乱的に高いといえるいまだからこそ、その対応策を改めて考えてみたい。

燃油サーチャージの変動は事前に予想可能

燃油サーチャージとは、ジェット燃料の高騰により、費用の一部を旅客に負担してもらうために設定された付加運賃のことだ。貨物では2001年、旅客では2005年から導入されている。

燃油サーチャージの指標となるのはケロシン系のジェット燃料のスポット価格〔IATAのJet Fuel Price Monitorの$/bbl(1バレルあたりの米ドルの意味)で確認できる〕。アジアではシンガポールの市場価格がおもに利用されている。日本発の航空券の場合はシンガポールのケロシン平均価格の2カ月分の平均を算出し、その金額をもとに算出期間の4カ月後の燃油サーチャージを決める。

IATAのJet Fuel Price Monitor ※外部サイトに遷移します

そのため、あらかじめケロシン平均価格を知ることで、航空会社本体が燃油サーチャージの金額を発表するタイミング(約40日前)よりも前から、ほぼ確実にその値上げ・値下げを推定することができる。2022年4~5月の燃油価格から推察するかぎり、2022年8月から燃油サーチャージが下がる要素はまったくない。

利用者としては、値上げしそうなタイミングの前に航空券を早めに購入したり、値下げしたりしそうな場合には、値下がりをするまで待ってから購入することで、多少は燃油サーチャージのダメージを軽減することはできる。とはいえ、焼け石に水の感は否めない。何かほかの方法はないのだろうか。

航空会社によって燃油サーチャージを課す航空会社と課さない航空会社がある。そのため、燃油サーチャージを課さない航空会社を利用すれば、当然のことながら、「サーチャージ地獄」からは逃れることができる。

例えばLCCでは、航空券とは別に燃油サーチャージを課さない航空会社が多い。代表例がJALの子会社で国際線専門のLCC、ZIPAIRである。

ためしにグーグルフライトで安い日を探してみたところ(2022年6月6日調べ)、2022年9月30日(金)成田発 10月2日(日)ロサンゼルス発で往復総額7万4121円(ZIPAIRの公式サイトより購入の場合)となった。これは日系の大手航空会社の「サーチャージのみ」の金額よりも安いことになる。

グーグルフライトのスクリーンショット。ZIPAIR公式サイトより購入の場合7万4121円だ。

グーグルフライトのスクリーンショット。ZIPAIR公式サイトより購入の場合7万4121円だ。

余談だが、7月31日までにアメリカンエキスプレスのカード会員が、事前登録を行い、ZIPAIRのサイトで同カードを利用して決済すると、2万円につき、5000円キャッシュバックを受けられる(先着5万人、詳細条件はZIPAIRのHPの「おトクなキャンペーン情報」で確認してほしい)。上記の航空券の場合、1万5000円キャッシュバック分を差し引くと、ロサンゼルスまで5万9000円台相当で往復できることになる。

ZIPAIRは8月の盆のピーク時でもそれほど高額にならないのが特徴でもある。成田からホノルルやロサンゼルスまで往復総額8万~10万円台で販売している日が多く、燃油サーチャージが高いこの夏、狙い目のエアラインといえる。

マイレージの落とし穴

コロナ禍の間、海外に出られずマイレージが貯まったので海外旅行で一気に消化したいと考えている人もいるだろう。だが、国際線の特典航空券利用者こそ、燃油サーチャージに注意しなければならない。

有償航空券の場合、燃油サーチャージが引き上げられても、客にとっての支払い総額がそのままそっくり値上げになることは少ない。

運賃を大幅に引き上げれば、急激に搭乗率が下落し、結局は収益が維持できなくなるおそれがある。そのため、サーチャージを引き上げると同時に航空運賃そのものを引き下げ、大きな変化をもたせないようにするのが一般的だ。

だが、特典航空券の場合は、元々の航空券代が「ゼロ」なので、こうした弾力性を持たせることが不可能であり、燃油サーチャージの引き上げ分をそのまま上乗せするしかない。

それを回避するよく知られている方法が、日系航空会社のマイレージプログラムではなく、アメリカ系航空会社のマイレージプログラムに加入してマイルを貯め、特典航空券を発券する方法だ。筆者も2016年末にアラスカ航空とJALがマイレージ提携を開始して以来、アラスカ航空のマイレージプランでマイルを貯め、JAL国際線の特典航空券を発券している。

2022年8月上旬の東京からバンコク往復のJALビジネスクラス特典航空券で比較してみたい。

■アラスカ航空マイレージプランで予約・発券

往復50000マイル(片道25000マイル)+諸経費約1万6000円(122.9ドル)

■日本航空JALマイレージバンクで予約・発券

往復80000マイル+燃油サーチャージを含む諸経費4万7160円

アラスカ航空のほうが、必要マイル数そのものが4割近く少ないうえ、諸経費も約3分の1にとどまっている。

複雑怪奇な特典航空券の燃油サーチャージ

ただし、話はそれほど単純ではない。たしかにアメリカ系航空会社のマイレージプログラムでは、特典航空券利用時に燃油サーチャージが課されないことが多い。だが、利用する提携航空会社によっては課されることもあるのだ。

他方、JALやANAのマイレージプログラムでも、利用する提携航空会社によっては、燃油サーチャージを課されない。

そこで、日本人がよく利用するマイレージプログラムにしぼり、日本発着の定期航空路がある航空会社のうち、燃油サーチャージが課されない、もしくは少額で済む会社のみをまとめてみた。

■JALマイレージバンク
マレーシア航空、スリランカ航空、エールフランス航空、フィンエアー、エミレーツ航空、カタール航空、アメリカン航空

■ANAマイレージクラブ
シンガポール航空、スカンジナビア航空、エアカナダ、ニュージーランド航空

■ユナイテッド航空マイレージプラス
ANA、シンガポール航空、タイ国際航空、エバー航空、ルフトハンザドイツ航空、スカンジナビア航空、スイス航空、トルコ航空、ユナイテッド航空、エアカナダ、ニュージーランド航空

■アメリカン航空アドバンテージ
JAL、キャセイパシフィック航空、カタール航空、エティハド航空、フィンランド航空、カンタス航空、アメリカン航空、ハワイアン航空、エアタヒチヌイ など

■デルタ航空スカイマイル
大韓航空、ベトナム航空、ガルーダインドネシア航空、デルタ航空、アエロメヒコ航空、エールフランス航空、KLMオランダ航空

■アラスカ航空マイレージプラス
JAL、コリアンエアー、キャセイパシフィック航空、シンガポール航空、マレーシア航空、スリランカ航空、カタール航空、フィンエアー、アメリカン航空、カンタス航空、フィジーエアウェイズ、エアタヒチヌイ

特定の航空会社を頻繁に利用するような人なら、どのプログラムにすればサーチャージが課されないのかをあらかじめチェックして、そのプログラムに貯めていく選択肢もある。

これらのリストのなかには、もともとの必要マイル数が少ないエアラインとそうでないエアラインが混在している。前述したアラスカ航空のJAL国際線ビジネスクラスアジア内のように、必要マイル数が少ないうえに、燃油サーチャージも課さない特典航空券が最強の組み合わせといえる。

海外発券でサーチャージを回避

燃油サーチャージを課すか課さないかは、利用する航空会社だけではなく、その航空券がどの国を出発地としているのかにもよる。これは、一部の国では、消費者保護などの観点により、燃油サーチャージを課すことを禁止ないし一定額以内に制限しているからだ。

こうした規制を課している国のうち、アジア・オセアニアにあり、日本からの渡航者数が比較的多い国としては以下があげられる。

ベトナム
フィリピン
タイ
シンガポール
オーストラリア
ニュージーランド

そのため、これらの国を出発地とする航空券を購入することで、サーチャージの負担を回避ないし抑えられるケースがある。

例えば、JALの航空券で東京からシドニーまで往復した場合、燃油サーチャージ込みの諸経費は9万0020円となった。しかし、東京からシドニーまでの片道航空券の諸経費は4万4170円なのに対して、シドニーから東京までの片道でかかる諸経費は約9200円(97.2オーストラリアドル)にとどまる。

もちろん実際には片道航空券を購入すると往復航空券よりも割高になることが多いので単純にトータルの費用が安くなるわけではない。また、燃油サーチャージが免除される国から出発する航空券本体が高ければ元も子もない。結局のところ、サーチャージが課されるか、課されないかにかかわらず、その国からの航空券が総額で安いかどうかが最終的に問われることになる。

だが、海外発の特典航空券を発券する場合は、サーチャージの有無が直接的に影響をおよぼす。海外発券を検討するならば、サーチャージの金額にも注目して、出発地を検討してみたい。

2022年6月に最高値を記録した燃油サーチャージはしばらく高止まりしそうだ。原油価格をコントロールすることはできないが、燃油サーチャージを課さない航空会社や発券地を選ぶことで、その影響を最小限にとどめることができるのではないだろうか。

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提供元:燃油サーチャージも「狂乱的な値上げ」回避する技|東洋経済オンライン

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