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2022.06.07

悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法|どうすればネガティブにならずにいられるのか


気持ちが落ち込んだり、暗くなったりする2大要因「予期不安」と「ストレス」にどう対応すればいいでしょうか(写真:Claudia/PIXTA)

気持ちが落ち込んだり、暗くなったりする2大要因「予期不安」と「ストレス」にどう対応すればいいでしょうか(写真:Claudia/PIXTA)

コロナ禍のマスク生活が始まって、すでに2年以上が経過しています。不自由な毎日が長く続いていますから、自分のことを「明るい」と考えている人でも、「最近、ちょっと暗くなっているかも」と感じているのではないでしょうか。

「暗い気持ちでいると、どうしてもネガティブな方向に考えが向いてしまいます」と言うのは、精神科医の和田秀樹氏です。「ネガティブな考え方をしていても、何もいいことはありませんが、明るい気持ちで前を向いていれば、不思議と物ごとがいい方向に動き出します」。

では、しんどいとき、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのか? 和田氏の新刊『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』をもとに3回にわたり解説します。今回は2回目です(1回目はこちら)。

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1回目はこちら ※外部サイトに遷移します

気持ちが暗くなる要因には個人差がありますが、多くの人に共通しているのが、「予期不安」や「ストレス」によるものです。予期不安とは、何かよくないできごとがあると、「また同じことが起こるのではないか」と考えて、不安や恐怖に悩まされる感情のことです。

ここでは、この2つの要因を中心として、「どうすればネガティブにならずにいられるのか」をお伝えしていきます。

日本人の特徴の1つ「予期不安」とは?

私たち日本人には、物ごとをつい悪い方向に考えてしまう傾向があります。先々のことを心配して不安になり、気分が落ち込み、暗くなってしまうのです。何ごとにも楽天的なラテン系の人たちとは対象的な国民性といえますが、その原因の1つが、「予期不安が強い」という日本人の特徴にあります。

「がんになったらどうしよう」「この仕事は失敗するのではないか」「このままずっと独身かもしれない」……。老若男女を問わず、世の中には考え始めたらキリがないほどの不安材料があります。日ごろから「どうして暗くなってしまうのだろう」と自分の性格に悩んでいる人は、予期不安に振り回されて、先回りして暗くなっている可能性があります。

私たちは社会の中に身を置いて生活していますから、つねにこれから先のことが心配になります。人間関係にまつわる悩みも、日常茶飯事のようにあります。予期不安というのは、これから先のことについての「過剰」な不安ですから、悩み始めたらキリがないし、実際には起こらないことがほとんどです。

実際に起こらないことに対して、あれこれ考えて不安になり、落ち込んでしまうのですから、完全に「取り越し苦労」です。実際に起こってから悩むようにするだけでも、不安の9割はなくなります。でも、なぜか多くの人が予期不安に悩まされてしまうのです。

予期不安を軽減させる3つのアプローチ

予期不安を軽減する方法には、3つのアプローチがあると考えています。その1つは、何ごとも「やる前から答えを出さない」ということです。世の中は、「やってみなければわからない」ことばかりですから、実際にやってみて、その後に答えを出せばいいのです。

例えば、パニック障害の発作が心配で電車に乗れないという人には、こんな経験をしてもらうこともあります。「各駅停車でいいから乗ってみましょう。もし心臓が止まっても、すぐに蘇生できます。安心して乗ってください」。

まずは電車に乗ってみて、「やってみたらできた」という経験をすることが大事です。その経験を通して、「案ずるより産むが易し」を実感として理解できれば、漠然とした不安は解消できます。不安が解消できれば、列車の旅を楽しむこともできるのです。

「恋人ができない」と悩んでいる人にも同じことがいえます。断られることばかり心配して相手に告白できなければ、ルックスが飛び抜けていいとか、大金持ちでもない限り恋人できません。断られる可能性があっても、こちらから告白しない限り、相手に受け入れられることはないのです。1人目がダメでも、2人目はOKかもしれません。

「何ごとも試してみなければわからない」というのは、「人生がうまくいく明るい人」の考え方と同じです。「やってみなければわからない」とか、「試してみないとわからない」という発想を持つことは、予期不安の解消にも役立ちます。

2つ目は、深刻に悩むくらいなら、あらかじめ「ソリューション」(解決策)を用意しておくということです。

がん検診を頻繁に受けている人はたくさんいますが、自分ががんになったら、どこの病院で治療を受けるのか、その先のことを考えている人はほとんどいません。認知症が不安なら、心配ばかりしていないで、介護保険を受給するための準備を今から整えておけばいいのです。

もしこうなったら、どうするか……を先に考えておくということです。心配事が起こった後の善後策を事前に用意しておけば、不安は軽減されます。前もって準備しておくことで、「安心材料」が増えるのです。
    
3つ目は、不安に思うことが実際に起こる「確率」を冷静に検討してみることです。

予期不安が強い人というのは、確率の計算ができないというか、そもそも確率を考えていません。起こる確率が極端に低いことを、深刻になって心配している人が多いのです。

例えば、墜落事故が怖くて飛行機に乗れないという人がいますが、飛行機の事故は交通事故とは比べものにならないくらい少ないわけです。精神科医としては、あまりにも起こる確率が低いことを心配しすぎる人は、何らかの病気を疑います。人には「無視できる確率」があるからです。無視しなければ生活が成り立たなくなるような確率のことは、心配したところで、どうにもなりません。それを「万が一」と考えていたのでは、何もできなくなってしまうのです。

予期不安から自由になって、やりたいことをやる人は、起業ができたり、恋人ができたりと、楽しいことに出会える確率が上がります。空振りがある代わりに、ヒットも出るのです。まずは、「案ずるより産むが易し」と思って、何でも試してみることです。

物ごとを悲観的に考えるクセがあると、常に不安を抱えることになり、気持ちも沈みがちになります。気持ちが沈んでいれば、自然と表情も暗くなり、周囲の人に陰気な印象を与えてしまうことになります。

デメリットは、それだけではありません。悲観的に考える人は、意外に「地雷」を踏みやすいことも明らかになっています。

社会心理学の実験でわかったこととは?

これは社会心理学の実験によってわかったことですが、「人を見たら泥棒と思え」とネガティブに考える人ほど、詐欺に引っかかる可能性が高くなるそうです。「人を見たら泥棒と思え」というのは、「知らない人は疑ってかかれ」とか「軽々しく人を信用してはならない」という人間不信の悲観的な考え方です。

その対極として、「渡る世間に鬼はない」と楽観的に周囲を見ている人もいるわけですが、楽観的な人に比べて悲観的な人は、「誰が詐欺師か」を見抜けないといいます。多くの人は、「渡る世間に鬼はない」と甘く考える人のほうが、詐欺の被害に遭いやすいと思っていますから、まったく逆の結果なのです。

なぜかというと、人間不信の人は「他人はすべて悪いやつだ」と思い込んでいますから、全員が悪者に見えてしまうため、そのなかから本物のワルを見つけ出せないのです。

それに比べて、「渡る世間に鬼はない」と思っている人は、全員が善人と思っていますから、少しでも不審なところがあれば、「こいつだけ、ちょっと変だぞ」ということに気づきやすいということです。

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社会心理学者の山岸俊男さんによれば、人間不信型の人は「一度、相手を信用すると全面的に信用してしまう傾向が強い」といいますから、「自分は用心深いから大丈夫」という人ほど、まったくアテにならないということになります。

大事なことは、できるだけ物ごとを悲観的に考えないように意識することです。

悲観的な考え方から抜け出せれば、偏ったものの見方をしなくなりますから、視野を広く持つことができます。視野が広くなれば、いろいろな可能性が考えられるようになり、これまでに気付かなかった他の選択肢を持つことができるのです。

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提供元:悲観的に考える人の気持ちを軽くする3つの手法|東洋経済オンライン

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