2022.05.31
自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果|笑うのが無理なら、軽く微笑むだけでもOK
明るい人は周りを明るくします。では、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのでしょうか(写真:Graphs/PIXTA)
コロナ禍のマスク生活が始まって、すでに2年以上が経過しています。不自由な毎日が長く続いていますから、自分のことを「明るい」と考えている人でも、「最近、ちょっと暗くなっているかも」と感じているのではないでしょうか。
「暗い気持ちでいると、どうしてもネガティブな方向に考えが向いてしまいます」と言うのは、精神科医の和田秀樹氏です。「ネガティブな考え方をしていても、何もいいことはありませんが、明るい気持ちで前を向いていれば、不思議と物ごとがいい方向に動き出します」。
では、しんどいとき、落ち込んでいるとき、気分を上げるにはどうすればいいのか。和田氏の新刊『なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学』をもとに3回にわたり解説します。
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私たちは会社や学校、地域社会で生活していますから、仕事や勉強のことで不安になったり、人間関係に悩んで暗い気持ちになることがあります。
同じような環境で生活していても、いつも明るく、楽しそうに毎日を送っている人もいます。
あなたの周りにも、そういう人がいるのではないでしょうか? そういう人は、ほぼ例外なく「笑顔」でいるはずです。この違いは、どこにあるのでしょうか?
・明るい気持ちでいるから、毎日が楽しくなるのか?
・毎日を楽しくしようとしているから、表情が明るくなるのか?
そのどちらも正解だと思いますが、暗い顔をしている人に比べて、明るい笑顔でいる人というのは、周りの人たちの気持ちを明るくします。毎日が楽しくなるような「いい環境」ができやすいのです。
気持ちが明るい人には人が寄ってくる
いつも気持ちが明るい人というのは、心理的な垣根が下がりますから、自然と人が寄ってきます。部下の人たちに威厳を示そうと「仏頂面」をしている上司より、ニコニコと愛想がいい課長や部長のところには、やはり人が集まってきます。
女性が管理職になると、「部下にナメられたくない」と思って必要以上に厳しい顔をする人がいますが、それでは逆効果です。仕事ができる人というのは、男性でも女性でも意外と愛想がいいものです。
明るい笑顔の人が周囲の人も明るくするというのは、その人が持っている雰囲気とか心理的な影響だけでなく、科学的にも証明されています。笑顔の人と一緒にいると、その人につられて笑顔になる……という経験をしたことがあると思いますが、それは「エンドルフィン」の働きによるものと考えられています。
エンドルフィンとは、脳内で機能する神経伝達物質の1つで「体内で分泌されるモルヒネ」の意味があります。モルヒネの数倍の鎮痛効果があると考えられ、「気分が高揚」したり「幸福感」が得られたりするという作用を持っています。
笑顔の人につられて一緒になって笑うと、周囲の人たちの脳内でもエンドルフィンが放出されるため、一体感や安心感が生まれます。人に笑いかけることは、「私はあなたの敵ではない」ということを相手に伝えるだけでなく、相手を笑顔にして、その人の気分を明るくする効果があるのです。
その相手の笑顔を見ることによって、笑顔の人はさらに明るい気持ちが増幅されて、幸福感を得られる……というフィードバック効果もあります。笑顔の人の周囲に幸せオーラが感じられるのは、こうした明確な理由があるのです。
仏頂面で暗い顔をしていませんか?
人が笑顔でいると、そのほかにもさまざまな「恵み」があります。仏頂面をして暗い気持ちでいるより、明るい気持ちで笑顔でいる方が、何となくいいことがありそうですが、それをハッキリと認識している人は少ないかもしれません。
毎日を明るく過ごすためには、笑顔の効果を知っておくことも大切です。以下に主な5つを紹介しましょう。
(1)気持ちに余裕が生まれる
笑顔になると、人は明るい気持ちになり、心に余裕が生まれます。リラックスして日常を過ごすことで、自然と疲れやストレスを蓄積しにくくなり、何ごとに対しても「やる気」が出ます。
前向きな姿勢で物ごとに向き合えますから、いい結果が出やすくなります。ビジネスの世界に限らず、さまざまな分野で成功している人に明るいイメージの人が多いのは、こうしたことも要因の1つです。
(2)相手に心を開いているサインになる
周囲の人と円滑なコミュニケーションを図るという点でも、笑顔は欠かすことのできない大切な要素です。あいさつや会話の際に笑顔でいると、相手に心を開いているサインになります。相手もリラックスできますから、お互いの心理的な距離を素早く縮めることができます。
(3)生き生きした印象を与える
女性が美しさを維持するためにも、笑顔には大きな意味があります。笑顔の回数が多い人ほど表情筋を使う機会が多くなり、顔のコリがほぐれて血行がよくなり、シワやたるみが目立たなくなります。口角の上がった美しい笑顔でいることは、生き生きした印象を与えることができます。
いつもニコニコしていると、表情筋が発達して表情が若々しくなります。逆に、あまり笑わないと表情筋が緩んでしまい、人に老けた印象を与えます。疲れているように見えたり、不機嫌そうに見えてしまうのです。
(4)免疫力が高まる
笑顔になると、健康面でもいい影響があります。笑うことでリンパ球の一種であるNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化され、免疫力が高まって病気の予防に役立ちます。
(5)精神的に安定する
「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されることで、安らぎや安心感が得られて、精神的に安定することも明らかになっています。声を上げて笑うと肺や心臓が刺激されて、脈拍や血圧が安定してリラックスしたり、自律神経を整えてくれます。全身の筋肉が動くことで、代謝も上がります。
近年の研究によって、こうした健康面のメリットは「作り笑顔」でも同じ効果が得られることがわかっていますから、意識的に笑顔を心がけるだけで、心身共に健康に一歩近づくことができるのです。
明るい気持ちで過ごすには笑顔が大切
明るい気持ちで毎日を過ごすためには、日ごろから「笑顔」を心がけることが大切です。笑顔が無理ならば、軽く「微笑む」だけでもいいのです。非常にシンプルなことですが、明るい気持ちで毎日を過ごすためには、実は最も重要なことであり、最も効果が出やすいことでもあります。
人は誰でも、「暗い顔」になったり、「落ち込んだ顔」になったりすることがあります。そんなときに「あれ、いま暗い顔をしているな」と気づいて、「こんな顔をしていちゃダメだな。笑顔を心がけよう」と思うだけでいいのです。
少なくとも、他の人がいる前だけでも笑顔を心がけて、明るい気持ちでいよう……ということです。あなたが笑顔でいれば、周囲の人も明るい気持ちになります。その明るい気持ちが、あなたを明るい気分にさせてくれるのです。
明るい笑顔になれば、人に与える印象も大きく変わります。普段、難しそうな顔をしている人が笑顔になると、周囲の人もホッとして、和やかな雰囲気が生まれます。
笑顔が無理なら、「こんにちは」というあいさつだけでもいいのです。普段、仏頂面をしている人が「よう!」と明るく手を上げるだけで、印象は確実に変わります。いつも笑顔の人より効果があったりするものです。
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美容整形で二重まぶたにすることは簡単にできても、笑顔がチャーミングな顔にするのは意外に難しいといいます。
男性をハンサム系やイケメン系に変身させることはできても、魅力的な笑顔の持ち主にすることは、至難の業なのです。最新医学を持ってしても難しい笑顔に、そう簡単になれるわけがないと考える人もいるかもしれません。
でも、笑顔が無理ならば、話題の選び方を工夫するとか、物ごとの考え方を改めるなど、何らかの工夫をすることはできます。そうした工夫を繰り返し続けることは、笑顔を心がけることと同じくらい大事な意味を持っています。
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提供元:自分も周りも幸せに!笑顔がもたらす5つの効果|東洋経済オンライン