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2022.05.27

混雑期のJR特急「ちょい足し」で乗れるグリーン車|「最繁忙期」普通車指定席との差は300円程度


新幹線E7系のグリーン車内。「最繁忙期」なら普通車指定席との差額はわずかだ(撮影:梅谷秀司)

新幹線E7系のグリーン車内。「最繁忙期」なら普通車指定席との差額はわずかだ(撮影:梅谷秀司)

3年ぶりにコロナ禍に伴う行動制限のなかった2022年のゴールデンウィーク。帰省や旅行で新幹線やJRの特急列車を利用した方も多かったことだろう。

その際、久しぶりに指定席を取ってお気づきになった方も少なくないのではないか。指定席の料金が以前よりかなり上がっているということに……。

「最繁忙期」は通常の400円増し

JR各社の指定席料金は、通常期・繁忙期・閑散期の3段階に分けられており、連休や帰省シーズンなどの繁忙期は通常期の200円増し、逆に閑散期は200円引きとなっている。通常期の指定席料金は530円なので、繁忙期だと730円だ。これに区間に応じた特急料金を足したのが「指定席特急料金」だ。

ところが今年の4月1日から、JR東日本の各新幹線と直通先の路線(北海道新幹線と北陸新幹線のJR西日本区間)、また在来線特急の多くに「最繁忙期料金」なるものが設定されて4段階になり、とくに混み合う時期の列車は指定席料金が400円増しになってしまった。つまり930円だ。ちなみに今年のGW期間は4月27日~5月6日が最繁忙期だった。

供給量が一定なら、需要が増えれば価格が上がるのは経済のシステムとして当然ではあるが、座席を取るだけでこんなにかかるのかとがっくりした方も多いだろう。

そこでこんな提案をしたい。どうせ普通車の指定席料金で930円も取られるなら、近距離だったらむしろグリーン車に乗ってもいいのではないか。実は差額がそれほどないからだ。なぜかと思われるかもしれないが、その理由を説明しよう。

実は特急グリーン車指定席には指定席料金がなく、そのため繁忙期などの設定も存在せず、つねに同額で利用できる。利用する場合は乗車券のほか、グリーン料金と特急料金(指定席料金はいらないので、自由席特急料金と同じ)を払えばいい。

一番安い100km圏内なら新幹線・特急のグリーン料金は1300円。一方、最繁忙期の指定席料金は前述の通り930円だ。つまり、わずか370円足せばグリーン車に乗れるのだ!

100km圏というとどのあたりか。主な区間を見てみよう。

【JR北海道】

北海道新幹線:奥津軽いまべつ―木古内間(75km)

【JR東日本】

<新幹線>
東北新幹線:大宮―宇都宮間(79.2km)、仙台―福島間(79.0km)、仙台―一ノ関間(93.3km)、盛岡―八戸間(96.6km)
山形新幹線:福島―山形間(87.1km)
秋田新幹線:盛岡―大曲間(83.2km)
上越新幹線:東京―本庄早稲田間(86.0km)
北陸新幹線:長野―糸魚川間(96.5km)、長野―安中榛名間(98.9km)

<東北・新潟エリア在来線>
「つがる」青森―鷹ノ巣間(99.6km)、「いなほ」新潟―村上間(60.7km)、「しらゆき」新潟―柏崎間(100.0km)・直江津―東三条間(96.2km)

<首都圏エリア在来線>
「わかしお」東京―大原間(96.4km)・蘇我―安房鴨川間(89.5km)、「新宿わかしお」新宿―上総一ノ宮間(89.4km)、「さざなみ」東京―君津間(81.3km)、「新宿さざなみ」新宿―君津間(88.5km)・蘇我―館山間(85.9km)、「しおさい」東京―八日市場間(93.7km)・錦糸町―旭間(98.8km)・千葉―銚子間(81.3km)「草津」赤羽―高崎間(91.8km)

【JR西日本】

北陸新幹線:金沢―黒部宇奈月温泉間(92.4km)

通常期だと差額が大きいが…

これらの区間は、最繁忙期なら普通車指定席料金プラス370円でグリーン車に乗れる。具体的な運賃・料金を示すと、例えば東北新幹線の大宮―宇都宮間の場合、最繁忙期の普通車指定席だと運賃1340円+指定席特急料金2800円=4140円だが、グリーン車の場合は運賃1340円+特急料金1870円+グリーン料金1300円=4510円となる。

通常期だと770円の差があるので割高感があるが、GWや帰省シーズンなど、とくに混み合う時期に400円以下の追加投資でゆったりしたグリーン車に乗れるならお得といっていいのではないだろうか。

ただ、プラス370円といっても実はグリーン料金も値上げされており、以前は1050円であった。しかしそれでは100kmまでの最繁忙期指定席特急料金とグリーン料金+特急料金との差が70円しかなくなってしまう。グリーン料金の値上げはこの点を問題視したことも理由かもしれない。

一方、JR東日本には時期ごとの指定席特急料金の設定がない特急列車がある。「ひたち」「ときわ」「スワローあかぎ」「あずさ」「かいじ」「富士回遊」「はちおうじ」「おうめ」「踊り子」「湘南」といった列車だ。

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これらの列車は、51~100kmまでの特急料金が事前料金で1020円、車内料金で1280円。グリーン車利用の場合は、グリーン料金に事前料金から530円引いた額を足して1790円となる。つまり、最繁忙期の設定がある特急の普通車指定席(1880円)よりも安いのだ。区間が違うので単純比較はできないが「お得感」はある。

ただ、複数の特急料金体系が混在する高崎線では、特急「草津」の最繁忙期普通車指定席1880円よりも、「スワローあかぎ」のグリーン車指定席1790円の方が安いといった逆転現象が起きている。また、「スワローあかぎ」と普通の「あかぎ」は特急料金体系が異なるが、「あかぎ」も繁忙期料金の設定はないので比較の際に注意が必要だ。

【主な100km圏区間】

<中央線方面>
「あずさ」「かいじ」立川―甲府間(96.6km)・八王子―韮崎間(99.6km)、「あずさ」甲府―塩尻間(88.0km)・韮崎―松本間(88.4km)、「かいじ」東京―大月間(87.8km)

<常磐線方面>
「ときわ」品川―石岡間(92.6km)・柏―勝田間(94.2km)・土浦―高萩間(98.7km)、「ひたち」水戸―いわき間(94.1km)・いわき―相馬間(97.6km)・双葉―仙台間(97.6km)

<東海道線方面>
「踊り子」東京―湯河原間(99.1km)・品川―熱海間(97.8km)・川崎―網代間(95.1km)・横浜―伊東間(92.7km)

<高崎線方面>
「スワローあかぎ」赤羽―高崎間(91.8km)

また、200km圏内の場合は100km+100kmに区間を分割して買うとさらにお得だ。特急料金とグリーン料金を合わせて通常は4510円(特急料金1710円+グリーン料金2800円)のところ、分割して購入すると3580円と、930円も安くなる。

これは、特急料金・グリーン料金ともに200kmまでの金額が「100kmまで」の倍額よりも高いからだ。

特急料金は151~200kmまで2240円(グリーン車利用の場合は前述のとおり530円を引いて1710円)なのに対し100kmまでは1020円(グリーン車の場合490円)。グリーン料金も101~200kmまで2800円だが100kmまでは1300円なので、分割することでどちらも200円安くなる。さらに、グリーン車を利用すると指定席料金530円が不要となる回数が1回増えるので530円安くなり、合計930円もお得になるというわけだ。

【区間分割が可能な主な200km圏区間】

「あずさ」立川―甲府間96.6km+甲府―塩尻間88.0km=計184.6km
「ときわ」品川―石岡間92.8km+石岡―高萩間82.5km=計175.3km
「ときわ」「ひたち」柏―水戸間88.4km+水戸―いわき間94.1km=計182.5km
 ※水戸での乗換待ち時間は最短15分

JR九州も「繁忙期」が設定されたが…

JR九州はこれまで繁忙期料金がなかったが、今年4月から設定された。76km~100km区間の繁忙期指定席特急料金は通常期の200円増しで1930円だ。だが一方で、グリーン料金は東日本などと比べて安く100kmまで1050円だ。特急料金を合わせても2250円で、プラス320円でグリーン車に乗れることになる。

【JR九州の主な100km圏区間】

「きらめき」門司港―博多間(78.2km)、「みどり」「ハウステンボス」博多―有田間(96.4km)、「かもめ」新鳥栖―諫早間(97.5km)・佐賀―浦上間(98.7km)、「ゆふいんの森」久留米―由布院(99.1km)

いかがだったであろうか。混雑する最繁忙期にどうせ高い料金を払うならちょこっとだけ金額を足して、普段は手が出にくい新幹線・特急グリーン車の旅を優雅に楽しんでみてはいかがだろうか。ちなみに2022年、JR東日本の夏の最繁忙期は8月10~19日、JR九州の繁忙期は7月21日~8月31日である。

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提供元:混雑期のJR特急「ちょい足し」で乗れるグリーン車|東洋経済オンライン

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