2022.05.14
「理不尽に怒る人」がこじらす"残念な感情"の正体|とにかく「同じリングに立たない」が最善の対処
理不尽な怒りを向けられたときにすべきこと。それは同じリングに上がらないことです(写真:Fast&Slow / PIXTA)
人に嫉妬を向けられると、なんとかして誤解を解き、相手に好かれようと努力したくなってしまいます。でも、他人の感情や行動を変えることってじつはとても難しいもの。だったら、あなたの「受け止め方」を変えてみましょう。心理カウンセラー根本裕幸さんの著書『つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本』から、一部抜粋して紹介します。
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仕事でミスをした、相手に失礼なことを言ってしまったといった理由で怒られるのはわかりますが、嫉妬が絡んでいる怒りは、「え? 何が悪かったの?」と疑問に思うようなことがあります。
そこで「何がいけなかったのでしょうか?」と聞いても、怒りの根拠が嫉妬なので筋の通った答えは戻ってきません。怒られた側としては、ますますどうしていいのかわからなくなるのです。
また、ミスなどの原因があっても、必要以上に怒りを向けられたり、「それほど怒られることなのだろうか……」と疑問に感じたりする場合も、相手の背景に嫉妬が存在している可能性があります。
嫉妬される側としては、そんな理不尽な怒りをぶつけられたとしても納得できないですし、何が原因でそこまで怒られているのかわからないため、改善のしようがありません。結果、あれこれと考えて悩んでしまいます。
こんなときは「何に対してかはわからないけれど、どうやら相手は自分に嫉妬しているようだ」と、いっぽう的に解釈することをオススメします。
攻撃は憎しみではなく、「うらやましい」から
嫉妬は心理的な距離が近い人に対して感じやすく、直属の上司や親しい友人、家族、恋人といった関係性の中で起こりやすいものです。
もし、あなたの恋人があなたに対して根拠のない怒りをぶつけてくることがあったのなら、ストレスが溜まっているか、あるいは、あなたに対して何かしらの嫉妬をしているから、と解釈したほうがよいと思います。
相手の嫉妬や感情に巻き込まれずに、「自分軸」を確立すべく線引きをしておくのが大切です。
嫉妬が怒りとなって攻撃的な態度を取られるのは怖いし、とても嫌な気持ちになると思いますが、それについては取り合わないほうが得策です。
理不尽な怒りをぶつけてくる場合、相手も明確な論理や根拠があるわけではないので、真面目に取り合っても何も生まれない可能性が高いでしょう。むしろ火に油を注ぎ、相手がヒートアップするばかりです。
ですからここは、話はほどほどに聞いているふりをしつつ、適当に受け流して距離を置くのが無難といえます。
こうした怒りをぶつけられた結果、相手のことが怖くなったり、傷ついてつらくなったりすることもあるかと思いますが、相手はあなたのことが嫌いなのではありません。あなたを傷つけたいわけでもなく、ただただうらやましくて嫉妬しているだけなのです。そう意識することで、必要以上に悩むことはなくなると思います。
自分を守ることを最優先に、心に一線を引く
とはいえ、このような理不尽な怒りをぶつけてくる人と今後どのように付き合っていくかは、ちょっと考えたほうがよさそうですね。
では、嫉妬を受けた側はどのような心構えでいればよいのでしょうか。
「これはあくまで、相手自身の問題である」
このスタンスでいることです。
アドラー心理学では「課題の分離」といいますが、「嫉妬しているのは相手の問題であり、私には関係のないことだ」と一線を引くのです。
この意識を持つだけで、少しは気分が紛れると思います。
徹底していれば、やがて理不尽な態度を取らざるを得なかった相手が不憫にさえ見えてくることでしょう。その人自身にも素晴らしい価値があるにもかかわらず、自らを「私はちっぽけな存在です」と主張しているわけですから。
注意しておきたいのは、相手からの嫉妬にショックを受け傷ついたせいで、「私の態度がいけなかったのか?」と反省モードになったり、「そういう人であることを見抜けなかった私が悪い」と、なぜか自分を責めたりしてしまうことです。
とくに自己肯定感が低い状態だと思考がそちらに流れがちです。できるかぎり意識的に「私が悪いわけではない!」と、自分を守ってあげてください。
相手の中にある嫉妬は、相手にしか解決できません。嫉妬されていることで、ただでさえ少なからずダメージを受けているのですから、あなたはまず自分の心を守ることを最優先にしましょう。
同じリングに立たない
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先ほども触れましたが、相手があなたに嫉妬するということは、本人の無価値感や劣等感、惨めさ、プライド、競争心が災いして、自ら一段ステージを降りて、あなたを見上げる気持ちになっているということです。階級が違うということはそういう意味です。
そこであなたが反撃のパンチを繰り出すことは、相手のそれらの感情をより強く刺激してしまうことになるのです。
するとどうなるでしょう?思った以上のダメージを受けた相手は、攻撃の手をもっと激しくして、さらに陰湿になっていきます。
リング上であなたに敵わないと思えば、相手は地下に潜ってあなたを狙うでしょう。パンチでは勝てないと思えば、ルール違反とわかっていてもキックを繰り出してくるかもしれません。そうしてどんどん泥沼化してしまうのです。
だから「同じリングに立たない」のがいちばん。それが「引く」ということであり「攻撃をかわす」ことであり、自分軸のあり方です。
「ああ、この人はそういうふうに思っているんだなあ」と、リングを降りて客席から客観的に相手を見つめるのです。そうすることであなたは、「戦わない」という選択肢を手にできるのです。
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提供元:「理不尽に怒る人」がこじらす"残念な感情"の正体|東洋経済オンライン