2022.05.11
心理学者が「9がつく年齢は危ない」という理由|日本では男性42歳・女性33歳が本厄だが…
週末がうれしい理由は「仕事がないから」というだけではないようです(写真:rainmaker/PIXTA)
心理学という学問の研究対象は、私たち人間です。
心理学で明らかにされている法則や公式のようなものは、身近なケースとして「ああ、そういうことってよくあるよな」「なるほど、だから私はよく間違いをしちゃうのか」と、体験的に理解できるものが少なくありません。
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たいていの人は、週末に気分が高揚する
心理学には、面白い名前の用語が多いのですが、「ウィークエンド効果」もそのひとつでしょう。
「ウィークエンド」というのは中学生レベルの英語なのでだれでもわかると思いますが、意味は「週末」。週末になると、たいていの人は気分が高揚する、という現象をあらわす用語です。
「週末になると気分が高揚するなんて、当たり前ではないか」と口をとがらせている読者がいると思います。だれでも、週末に気分がハイになることなど、自分自身の体験として、すでに実感しているでしょうから。
では、どうして週末に気分が高揚してしまうのか、その理由はわかりますか。
単純に「仕事がないから」というのは、ちょっと違うのですよ。
アメリカのロチェスター大学のリチャード・ライアンによると、ウィークエンド効果が起きる理由は、自律性が関係しています。
自律性というのは、自分自身で物事を決めることができるかどうか、ということです。たとえば、夫婦の場合で言いますと、自分で好きなときに外出できたり、自分で旅行先を決めることができたり、自分で好きなものを食べることができるとき、「自律性がある」と見なされます。
ライアンによると、平日に気分が高揚しないのは、自律性が奪われているせい。たいていの人は、上司の都合、お客さまの都合などに振り回されて、「自分の思いどおりに動けない」ということが多いですよね。つまり、自律性が奪われている状態なのです。こういう状態では、人はたえずイライラさせられることになります。
ところが、週末になると、好きな時間に起きても、だれも文句は言いませんし、好きなときに好きな場所に出かけ、好きなことをしていても、まったく問題ありません。完全に自分の好きなようにできるので、だれかにコントロールされているという気持ちにもなりません。こうして自律性が取り戻せるので、人は気分がハイになるのだろう、というのがライアンの分析です。
なお、週末になると気分が高揚するだけでなく、体調もよくなることもライアンは明らかにしています。気分が高揚すると、免疫力も高まるからでしょう。
ちなみに、ウィークエンド効果があまり見られない人もいます。
どういう人かというと、平日から、自分の好きなように行動でき、自分が周囲をコントロールできる人たち。つまりは、会社の経営者ですとか、高給取りのフリーランスの人たちは、平日でも自律性を奪われることはありませんので、ウィークエンド効果は見られません。平日でもずっと気分が高揚しているので、週末だけ上がる、ということはないのですね。まことに羨ましい話ですが、そういう人もいるのです。
人生の節目におかしなことをしないように気をつける
男性は数え年で25歳と42歳、女性は19歳と33歳などが厄年とされています。中でも男性の42歳と女性の33歳は大厄と呼ばれていて、その前後1年ずつに、前厄と後厄があることを考えると、男性で危ない年齢は、25歳、41歳から43歳。女性は19歳と32歳から34歳ということになります。
こういう古くからの言い伝えの正しさはさておき、心理学においても、「こういう年齢は危ないんだよ」ということが明らかにされているのです。その年齢というのは「9 がつく年齢」。
つまり、19歳、29歳、39歳、49歳、59歳、69歳ということです。覚えやすいので、ぜひ9 がつく年齢になる人は気をつけてください。
「9がつく年齢が危ない」と指摘しているのはニューヨーク大学のアダム・アルター。
アルターによると、私たちは、これから次の10年に突入するのだ、という年齢になると、何か新しいことを始めようとするらしいのです。新しい自分に生まれ変わるチャンスだ、と思うのでしょうか。
もちろん、新しいことにチャレンジしようとするのは素晴らしいことだとは思いますが、年齢を考えずに無茶な運動を始めてみたり、いきなり仕事を辞めてみようとしたり、浮気をしようとしたり、家族に迷惑をかけてしまうようなこともしてしまう危険性が高くなるので、その点は注意してください。
「私の能力は、こんなものではない」
「現状の自分は、本当の自分ではない」
「私には、もっと違う可能性があるはずだ」
そんなふうに感じてしまいがちなのが、9がつく年齢のとき。
私自身を振り返ってみても、たしかに19歳、29歳、39歳のときには、何となく気分が動揺したり、不安を感じたり、何か新しいことを始めたい気持ちが高まっていたように思います。といっても、私の場合には、趣味がどんどん増えるくらいですみましたが。
「挑戦」自体はいいのだが…
人生には、いろいろな節目があるものですが、そういう節目に立ったとき、人間はおかしなことをし始める可能性が高くなるのです。
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そういえば、1月1日のお正月には、「今年はこんなことをしよう!」と新年の抱負を決めたりしますが、そういうタイミングというのは、人間に新しいことを始めさせるモチベーションを高めるのかもしれません。
誕生日もそうですね。年齢を重ねるときには、「次の1年はこんなことをしよう」という気持ちが高まりやすいのではないかと思われます。
何かに挑戦しようということには反対しませんが、くれぐれも周囲の人に迷惑をかけるような挑戦はやめましょう。思いつきで行動しようとしても、ロクなことがありませんから。
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提供元:心理学者が「9がつく年齢は危ない」という理由|東洋経済オンライン