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2022.04.29

「最近疲れやすい」に隠れている貧血という病|大量の「氷」を急に食べるようになったら要注意


最近なんだか疲れやすい、こうした症状を放置していませんか?(写真:miSaPhotographer/PIXTA)

最近なんだか疲れやすい、こうした症状を放置していませんか?(写真:miSaPhotographer/PIXTA)

最近なんだか疲れやすい、階段を上るとすぐに息切れする。こうした症状を精神的・年齢的なものと思い込んで医師に相談せず、放置している方が多くいらっしゃいますが、実は治療が必要な貧血が隠れている場合がよくあります。

貧血を正しく理解し、早めの治療につなげるためにも、今回は、日常診療でよくみる「鉄欠乏性貧血」と「二次性貧血」について今回はお伝えしたいと思います。

血液の量が少なくなるのが「貧血」?

貧血は「血液の量が少なくなる」イメージですが、実際は血液に含まれる赤血球の量や質が低下した状態です。したがって、出血で血液が失われて貧血になる、という状態は全身をめぐる赤血球の量が減るため、というのが正しい理解です。

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貧血は、採血でヘモグロビン(Hb)の数値が男性は13g/dL、女性は11g/dL以下に低下していると貧血と診断されます。しかしHbの値は男女差、個人差も大きいため定期的に健康診断を行い、普段の値と比較することが重要です。

貧血の原因としては鉄欠乏性貧血が最多であり、日本人女性の10%程度(男性は2%程度)が罹患しているといわれています。このタイプの貧血は、全身に酸素を運ぶ赤血球の色素(ヘモグロビン)の材料である鉄が不足することで赤血球が小さくなって色も薄くなり、酸素を運ぶ能力が低くなってしまいます。

その結果、身体全体に十分な酸素が行き渡りにくくなり、これを補うために血流のポンプである心臓が頑張るようになった結果、少しの運動でも動悸・息切れするといった症状が現れます。そしてこの状態が続くと低酸素が補いきれなくなり、頭痛やめまい、だるさ、疲れやすさといった症状が出てきます。見た目にも変化が起こり、眼瞼結膜(まぶたを下に引くと見える、通常は赤い粘膜部分)が青白くなることが特徴です。

また、ごく一部の方に氷や土を好んで食べるようになってしまう、異食症といわれる症状が現れることもあります。暑かったり喉が渇いたりするわけでもないのに急に氷をたくさん食べるようになったら、それは鉄欠乏性貧血のサインかもしれません。

この貧血は食事での鉄の摂取不足や、女性では生理による出血が主な原因ですが、中には治療が必要な病気が背景に潜んでいる場合があります。代表的なものとしては消化管からの出血が挙げられ、便に赤黒い血が混じる場合は早めに消化器内科を受診しましょう。

また女性では婦人科疾患に注意が必要です。生理時の出血の多さや、不正出血(生理期間以外に出血すること)に心当たりがある場合はつらさを我慢せず、産婦人科を受診してください。婦人科疾患は自覚症状が少ないため貧血から腫瘍の早期治療につながることがあるほか、ピルなどの薬で重い生理を治療できる場合も多くあります。

治療は原因疾患の治療に加え、薬や食事で鉄分を摂ることが有効です。厚生労働省の国民栄養・健康調査によると、日本人の平均鉄摂取量は7.6mg/日であり、摂取目安の約10mg/日と比べると不足気味であることがわかります。

赤身肉やレバーは鉄分の吸収が特によく、またピーナッツや海苔、ほうれん草にも鉄分は含まれます。さらにビタミンCと同時に摂取すると鉄分が吸収されやすくなるため、果物等と一緒に食べるとより効果アップを期待できます。逆に紅茶などにふくまれるタンニンは鉄吸収を阻害してしまうため、飲み過ぎには注意が必要です。

なお、薬での治療は鉄剤の補充となりますが、数日で効果があるものではないため、数週間程度は根気よく飲み続けることが重要です。

「葉酸」はアルコールの飲み過ぎに注意

栄養素の不足による貧血としてはほかに、巨赤芽球性貧血というものが知られています。この貧血はビタミンB12または葉酸の不足によって引き起こされます。ビタミンB12は動物性食品から、葉酸は緑黄色野菜やレバーなどにふくまれており、どちらも厳格な菜食主義などでない限り、通常の生活では食事による摂取量は十分とされています。

しかし妊娠中や成長期にはとくに葉酸の需要が増えるため積極的な摂取が勧められており、出産を考えている方は妊娠1カ月前くらいから食事やサプリメントでの摂取を意識するとよいでしょう。なおこれらの栄養素は胃から吸収されますが、アルコールの飲み過ぎでは吸収効率が低下するため注意が必要です。

そのほか、注意する貧血として「二次性貧血」があります。名前のとおり背景に何か原因となる疾患があるために引き起こされる貧血であり、前述した婦人科疾患のほか、感染症や悪性腫瘍(がん)、膠原病(関節リウマチなど)、内分泌疾患(甲状腺疾患など)、肝・腎疾患が主な原因となります。症状は鉄欠乏性貧血と似ているため、生活を改善しても治らない身体のだるさや疲れやすさ、動悸などを自覚したら早めに医療機関に相談しましょう。

貧血は「なんとなく」だるい、疲れやすいといった症状がメインのため慢性的に放置されがちですが、重大な病気が隠れていることを知らせる身体からのサインかもしれません。いま一度ご自身の体調や生活習慣を見直すことで、早期の治療のきっかけとなれば幸いです。

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提供元:「最近疲れやすい」に隠れている貧血という病|東洋経済オンライン

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