メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2022.04.25

妻がもらえる「遺族年金」の条件、知ってますか|女性の7割が90歳、2割が100歳まで生きる現実


女性の7割は90歳まで生きる。夫に先立たれたとき、遺族年金は重要だ(写真:8x10 / PIXTA)

女性の7割は90歳まで生きる。夫に先立たれたとき、遺族年金は重要だ(写真:8x10 / PIXTA)

「お金のことが心配で仕方がない。ゼロから教えてほしい」━━。

子どもが生まれたばかりで出版社の書籍編集者、高木一郎君(33、仮名)が、筆者のところに訪ねてきました。彼は開口一番、少し怒ったように、「あの『老後2000万円問題』ってどうなったんですか?」と言いました。

理由を聞くと、子どもが生まれてお金のことが心配になり、ネットでいろいろ調べると、「老後2000万円問題」やら「年金破綻」やら「老後貧乏」など、不穏なワードがたくさん見つかったそうです。

「教育費もめちゃくちゃかかりそうだし、僕たちの未来、子供たちの未来は大丈夫なんですか?」。そう言う高木君の不安はよくわかりました。実は、あの老後2000万円問題以来、20代や30代の方からのお金の相談が増えていたからです。

結論から言えば、「必要な老後資金は2000万円」なんて、平均値で考えても意味はなく、一人ひとりのライフプランに合わせて、合理的に資産形成をしていくことが必要です。

公的年金である遺族年金をまず知ろう

4月18日発売の『週刊東洋経済』4月23日号では「年金の新常識」を特集。年金制度の改正が老後にどんな影響を与えるか、さまざまな視点で取り上げています。筆者も「パートなど短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大」について執筆しました。

『週刊東洋経済』4月23日号では「年金の新常識」を特集 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

『週刊東洋経済』4月23日号(4月18日発売)の特集は「年金の新常識」です。

『週刊東洋経済』4月23日号(4月18日発売)の特集は「年金の新常識」です。

『週刊東洋経済』4月23日号(4月18日発売) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

話を戻しますと、特に20~40代の方は、65歳以降100歳まで生きる確率は、女性は約20%、5人に1人です。90歳までだと、男性は約4割、女性は約7割が生存します。誰にとっても、1日も早く資産形成を始めることが重要なのです。

ここからは、高木君にも実際に登場してもらい、お金の心配事を解決したいと思います。

「人生100年時代って、さすがに100歳までは生きないだろうと思っていましたが、ひょっとしたらひょっとしますね」(高木君)

長生きするのは幸せなことですが、お金が足りなくなったらどうしようと心配ですね。老後は、一生受け取れる公的年金と、それまでに貯めた貯蓄を取り崩して生活する人が多いでしょう。

今後、長い期間をかけて合理的に資産形成をしていくことで、老後の安心も教育費などの人生に必要なお金は作れます。

「これから資産形成していきたいと思いますが、老後はまだずっと先なので、まずは、僕にもしものことがあったときに、家族が経済的に困らないようにしたいです」(高木君)

働き手が死亡したときのリスクに備えるのは大切ですね。基本的な考え方は「公的保障で不足する分を民間保険で補う」こと。お金の心配をなくすのにまず大切なのが、公的年金保険制度を正しく知ることです。

年金は「公的保険」です。自分だけでは準備し切れないことを、社会全体で支え合い、備えていく制度です。たとえ何歳まで生きようが、亡くなるまで「老齢基礎年金」や「老齢厚生年金」を受け取れます。また、ケガや病気になって一定の障害状態になったときには、「障害基礎年金」「障害厚生年金」が、働き手が死亡した場合には、残された家族は、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」を受け取ることができます。

「へぇ。公的年金って、人生のリスクを丸ごとカバーしているわけですね。僕、結婚したとき、妻を受取人にして死亡保険に入ったんです。その後、子どもが生まれたので、もう1つ入ろうかと思っていたんですけど、入らなくてもいいってことですか?」(高木君)

民間の死亡保障保険が不要ということではありません 。貯蓄は一気に増やせませんから、子どもが社会人になるまでは、もしものために生命保険に入ることは必要です。公的保障で不足する分を民間の保険でカバーします。

ただし、保険に入りすぎて貯蓄ができないというのは、本末転倒です。なるべく安い保険料で、必要な保障額を、必要な期間持つことが大切です。高木君にはいくら死亡保障が必要なのかを考えてみましょう。

まず、遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。

遺族基礎年金は「月77万円強+子の加算」

「遺族基礎年金」は、亡くなった人から生計を維持されていた「子のいる配偶者」、または「子」が受給できます。子というのは、18歳の年度末まで、つまり高校卒業までを想定しています。障害等級1級2級に該当する20歳未満の子も含まれます。婚姻をしていないことも条件。生計を維持されていたといえる遺族の収入は年850万円未満です。

金額は一律で「年77万7800円+子の加算」です。1人目と2人目はそれぞれ年22万3800円、3人目以降は年7万4600円が加算されます(2022年度)。

高木君の場合は、妻と子ども1人なので、遺族基礎年金は年100万1600円となり、子どもが高校を卒業するまで受け取れます。

また「遺族厚生年金」は、亡くなった人が会社員や公務員だった場合、遺族基礎年金と合わせて受給できます。遺族厚生年金の金額は、死亡時までの平均年収と加入期間で変わります。基本的に、亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3ですが、厚生年金の被保険者期間が300カ月(25年間)未満なら300カ月とみなして計算します。

では、高木君がいくら受け取れるのか、計算してみましょう。毎年、誕生月に届く、「ねんきん定期便」から計算できます。

圧着式のハガキを開くと、50歳未満の「ねんきん定期便」には、1.これまでの保険料納付額(累計額)、2.これまでの年金加入期間、3.これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額、が記されています。50歳以上は、今後も同じ働き方を60歳まで続けた場合、65歳以降の受給額が示されています。

遺族厚生年金は、(これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額)× (300カ月/加入月数)×3/4 、で計算できます。加入月数は、ねんきん定期便にある、2.これまでの年金加入期間にある、(b)厚生年金保険計の月数、です。

高木君の場合、この式にあてはめて計算すると、遺族厚生年金は年37万7941円ですので、遺族基礎年金の年100万1600円と合わせると、年137万9541円を受給できます。月約11万5000円です。

また、夫婦とも会社員などで厚生年金に入っていると、夫と妻とでは受給する年齢要件等が違うので注意が必要です。

例えば、会社員の夫が亡くなった場合、妻が夫に生計を維持されていたら、年齢には関係なく、妻は再婚しない限り、終身で受給できます。ただし、30歳未満で子のいない若い妻は、夫の死亡時から5年間しか受給できません。

一方、会社員の妻が亡くなった場合、55歳未満の夫は、遺族厚生年金を受け取れず、55歳以上なら60歳から受給できます。夫が遺族基礎年金を受給する場合、55歳未満で受け取れますが、その際は、夫が遺族基礎年金を、子が遺族厚生年金を受給する仕組みです。

「じゃあ、子どもが高校を卒業したら、妻が受け取れるのは、遺族厚生年金だけになるってことですか?」(高木君)

子どもが成長し、遺族基礎年金がなくなり生活が困窮するのを防ぐため、40歳以上の妻には、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」が加算されます。末子が18歳の年度末を過ぎたときに40歳以上か、夫を亡くしたとき子のいない40歳以上の妻が、65歳まで受給できます。

加算額は、老齢基礎年金の満額の4分の3である、年58万3400円(2022年度)です。妻が65歳になると、自身の老齢基礎年金を受給できるため、中高齢寡婦加算はなくなります。

結局、民間の保険は必要か、必要でないか

「なるほど。遺族年金が受け取れるのは助かりますね。で、結局いくら、民間の生命保険に入ればいいんですか」(高木君)

保険金額の考え方をお伝えしますね。夫の死亡後は妻も働くでしょうから、子どもとの2人の生活費の不足分と、子どもの教育費をどのくらいかけたいかを考えます。

高校までは、国の「高等学校等就学支援金」などの制度がありますので、授業料は実質無償化になっています。考えなくてはならないのは、主に大学資金ということになるでしょう。入学金を含む大学4年間の学費は、国公立で約450万円、私立文系で約660万円、理系だと約780万円と、進路によってさまざまです(日本政策金融公庫「2021年度教育費負担の実態調査結果」より筆者が算出)。

必要になる生活費や教育費の合計額から、受け取れる遺族年金と貯蓄や収入を引いて、必要になる保障額(=保険金額)を決めます。あくまで万が一のために入る保険ですから、”必要最低限の保障をなるべく安い保険料”で持ちます。ネットの生命保険会社では、保険料の試算ができるので、自分の事情を考慮して、シミュレーションしてみてください。

豊かで安心した生活を送るためには、自分の必要貯蓄額を堅実に貯めて増やしていくことです。今の収入は、現在の生活費を賄うと同時に、将来の自分を支えるお金ですので、一定割合を貯蓄していく必要があるのです。いくら貯めていかなければならないかは人それぞれですので、まずは、自分の必要な貯蓄額を求めましょう。

資産運用の仕組みをつくり、お金も増やしながら、自分自身も、なるべく収入を上げてなるべく長く働き、将来受け取れる公的年金額を増やすことが大切です。ある程度の資産ができれば、民間の保険は卒業してもかまいません。

これら保険や年金については、拙著『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』においても触れています。人生100年時代の安心と豊かさは、「公的年金を増やす」と「自助努力の資産形成」は両輪で実行することで作れるのです。

『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

記事画像

【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

年金改正!遅くなるほど「もらう金額」が増える

お金持ちに「手ぶら」がやたら多い本当の理由

日本人がやりがちな「寿命を縮める」3大悪習慣

提供元:妻がもらえる「遺族年金」の条件、知ってますか|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

老後には2000万どころか「4000万円」は必要なワケ|月15万円あれば十分という人でこれくらい必要

老後には2000万どころか「4000万円」は必要なワケ|月15万円あれば十分という人でこれくらい必要

がんで200万円も「ペットの医療」高額化の現実|ペット医療も専門化、細分化、高度化している

がんで200万円も「ペットの医療」高額化の現実|ペット医療も専門化、細分化、高度化している

貯まったお金の使い道に困るというまさかの事態|稼ぐのも大変だが「ちゃんと使う」のも難しい

貯まったお金の使い道に困るというまさかの事態|稼ぐのも大変だが「ちゃんと使う」のも難しい

リボ払い借金残高80万、完済するにはボーナス全部繰り上げ返済すべき?/30代女性相談

リボ払い借金残高80万、完済するにはボーナス全部繰り上げ返済すべき?/30代女性相談

戻る