2022.04.08
65歳以降のお金が超心配な人に知ってほしい心得|足りない金額は月いくら? どうやって稼ぐ?
「長く働く」ことを核にした老後のマネープランをしっかりと作っておくことが楽しく生活することにつながります(写真:jessie/PIXTA)
近年、金融庁のレポートに記載されて大きな反響を引き起こしたのが「老後2000万円問題」です。ウクライナ情勢の影響などで物価もあがり、年金も0.4%減る中で老後の生活に不安を覚えているシニア世代は多いことと思います。
実際に老後資金は月々、どのくらい不足すると考えられているのでしょうか?
ここでは定年後の収入が年金だけの場合に限って考えてみたいと思います。
会社員で働いた後定年退職して、夫婦2人ともが年金生活になった場合に毎月、収入がいくら不足するのかを見ていきたいと思います。
金融庁レポートで示された試算では、毎月の年金収入が夫婦で約20万9000円、支出が約26万4000円で、差引5万5000円が不足するとしています。
毎月5万5000円不足なので年間の不足額が66万円、30年間続くと想定すると合計で1980万円の不足となり約2000万円不足します。
年金だけに頼っていると毎月預貯金から生活費を取り崩していくことになり、定年後の生活を節約に徹して暮らしていかなくてはならなくなるのです。
そして、子供が結婚したとき、孫が生まれたときなどお金のかかるライフイベントが複数あることでしょう。定年後に旅行の計画なども立てるかとも思いますが、資産に余裕があれば、心置きなく旅行を楽しむことができるでしょう。
そういったことも考えると、老後の資産の作り方であるマネープランを考えることはとても大切だということがわかるかと思います。
老後マネープランで大事な3つのポイント
では、老後のマネープランを考える際に何が最も重要なポイントになるのかを考えてみましょう。拙著『定年ひとり起業マネー編 定年後のお金の不安を解消するならこの1冊!』でも詳しく解説していますが、マネープランは収入、資産、年金額、相続見込みやライフスタイル(消費スタイル)などによってさまざまで、100人いれば100通りのプランになります。
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ただ、そこに共通する重要なポイントとして、以下の3点を挙げることができます。
1.何歳まで働くのか
2.何歳から年金を受け取るのか
3.どんなライフスタイルを送るのか
1つ目の「何歳まで働くか」は、言い換えれば、年金以外のフロー収入が何歳まで入ってくるのかということです。これがその他2つのポイントも左右する重要な要素になります。現役の会社員時代にいかに収入が多かった人でも、退職して年金生活者(年金収入のみで生活する人)になれば、収入は低位フラットとなり、ゆとりある生活をしようと思えば、預貯金などの金融資産を取り崩す生活にならざるを得ません。
続いて2つ目のポイントである「何歳から年金を受け取るか」についてですが、1つ目の「何歳まで働くのか」とセットになって決まってくるものです。私自身はできるだけ長く働き、年金受給を繰り下げて年金額を増やすことを推奨しています。年金受給開始の繰り下げについてはよく「どちらが得か」という議論になるのですが、「自分が何歳まで生きるのか」というのが誰にも分からない以上、絶対の正解はありません。
だからこそ年金は保険なのであり、「年金保険」と呼ばれるのです。
今年4月1日より、通常の65歳受給から10年繰り下げて「75歳受給」が可能になりました。これまでは5年繰り下げの70歳受給が限度でしたので、これは大きな改革です。つまり老後マネープランの選択肢も広がったわけです。
75歳まで受給を延ばしても生活に支障がないなら
もし75歳まで受給を延ばしても別の収入があって生活に支障がないという状態を作り出せれば、その後年金生活者になっても不安はほとんどなくなるでしょう。
65歳から受給する場合に比べて金額が184%になり、かつ年金受給開始時点での平均余命も10歳くらいは短くなっているからです。
また、会社員を長くやっていた人は、年金の繰り下げについては基礎年金、厚生年金のそれぞれについて選択が可能です。基礎年金のみ繰り下げ、厚生年金のみ繰り下げ、両方とも繰り下げ、の3つから選べるのです。
私自身はその中でもより長生きする可能性の高い妻の基礎年金を最優先で繰り下げて「理論最高値」を目指すことを推奨しています。基礎年金は40年加入が満額で65歳から月額6万5千円の受給となりますが、これを10年繰り下げて75歳受給にすることで月額12万円の「理論最高値」になります。これに夫が亡くなった際の遺族厚生年金が加わるので、おひとりさまとなってもお金の不安が減るのです。
さらに、65歳の受給開始年齢になった時点で「何歳から受け取る」とあらかじめ決める必要はありません。とりあえず「繰り下げ」を選択しておいて、受け取りたくなったタイミングで、その月に申請をすればいいだけです。
つまり、フロー収入の推移を見ながら、生活費との兼ね合いで、年金が必要になったタイミングで、受給開始を自分で決めることができます。
重要ポイントの3つ目「どんなライフスタイルを送るのか」は、マネープランの支出に関わるポイントです。1つ目、2つ目のポイントで収入を決めたうえで、それを踏まえて支出を伴うライフスタイル(=消費スタイル)を決めていき、家計の収支が決まります。老後のマネープランでは、この「家計の収支バランス」が決定的に重要なのです。
さて、以上3点説明しましたが、ここで、1点目の「何歳まで働くか」について、私がおすすめする働き方をお伝えします。
それは定年前後にひとりで起業し、好きなことをビジネスにして月5万円の不足金額を稼いでいく働き方です。私はそれを「定年ひとり起業」と定義しています。
私が「定年ひとり起業」を推奨する理由
日本の企業は現在、60歳定年としている企業が大半で、そのまま定年再雇用の契約により働いても原則として65歳で再雇用契約は終了します。
定年再雇用の契約条件については、大企業では現役時の収入の2分の1から3分の1になるケースもあります。業務内容も責任のない単純な作業が多く、新しいスキルが身に付くこともほとんどなくなり、人脈も増やせないでしょう。
そのような状況で65歳以降から新しい働き方にシフトするのは、メンタル的になかなか厳しいのと、体力的にも60歳の頃よりは難しいのではないでしょうか?
そこで、私は定年前後で独立し、自分の好きなこと、得意なスキルで顧客にノウハウを提供し、稼いでいく、定年ひとり起業をすすめています。
起業といっても株式公開を目的とするような、またスタートアップ企業を創業するようなものではなく、従業員を雇わず、自宅をオフィスにして活動するリスクのない起業が定年ひとり起業です。
そして、起業をすることで、定年もなくなるので、老後マネープランにおいて必要な「長く働いて年金以外のフロー収入を得る」という柱になります。自宅をオフィスにすることで、水道・光熱費の一部は経費として計上できます。また、ビジネス上のお付き合いも交際費として経費に計上できるようになります。結果、節税につなげることもできるのです。
どんな仕事でひとり起業をするかですが、体力面を考えると、人にものを教える、伝える仕事、最近ですと「コンサルタント」や「セミナー講師」のような仕事で収入を得るのが、長く続けていく上で、望ましいのではないかと私は考えています。
何かを教えるときに重要なのが、経験値。会社員として長く働いてきた定年世代は経験豊富ですから、それを生かしていける点で有利でしょう。
持続可能な働き方で老後の3大不安を解消する
マネープランと働き方について話してきましたが、お金だけでなくなぜ働き方にまで触れるかといますと、老後の不安は3つあると言われるからです。
3つの不安とは「お金」「孤独」「健康」です。
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お金についてはこれまで説明してきました。孤独の不安とは、退職により、会社員時代の人間関係がなくなり、社会とのつながりが絶たれてしまうことです。そして、人との会話や刺激がなくなることにより認知症などの健康への不安が高まってくるのです。
これらの不安を解消するのが、定年ひとり起業なのです。定年のない働き方を継続することで、毎日規則正しい生活を送り、仕事に関わる新たな人間関係ができてきます。さらに、たとえ少額でも稼ぎ続けることで「プロとしての緊張感」を保ち、気持ちの面でも張りが出る、やりがいを感じるなど、健康にプラスに働きます。
月5万円を無理なく、自分の得意なこと・楽しいことで稼ぎ続ければ、社会とのつながりも維持でき、日々活動するため健康も維持しながら生活するようになるでしょう。
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提供元:65歳以降のお金が超心配な人に知ってほしい心得|東洋経済オンライン