2022.04.01
「資格試験に落ち続ける人」がやりがちな勉強法|スポーツなら映像や本だけで学んでいる状態
資格試験の勉強で多くの人がやりがちな、インプット偏重型勉強法の問題点とは(写真:PanKR/PIXTA)
勉強には、インプットとアウトプットがありますが、多くの人はインプットこそが勉強だと考え、インプット偏重型の勉強をしがちです。本稿では多くの試験に一発合格してきた資格試験の達人、鬼頭政人氏が著書『資格試験に一発合格する人は、「これ」しかやらない 忙しい社会人のための「割り切る勉強法」』より、「インプット偏重型」の人が陥りがちなワナについて説明します。
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合格できない人が言いがちな「あるセリフ」
資格試験においては、参考書や教科書がインプット教材、問題集がアウトプット教材です。説明するまでもないと思いますが、自分の頭脳に知識などをインプットするための教材が参考書や教科書で、頭脳にインプットされた知識などをアウトプットして問題を解くための教材が問題集という意味です。
インプットは「読む」「聞く」「覚える」などで、アウトプットは「書く」「話す」「解く」などだと言えます。
インプットしなければ、アウトプットできません。だから、インプットの勉強から始めるのは当然です。ただ、多くの人は、インプットをひたすら続けて、アウトプット勉強をするのは試験の1カ月前からなどと言います。
こうした人たちに、「問題集を解いたほうがいいですよ」とアドバイスすると、次のような答えが返ってきます。「いや、まだ参考書を全部読み終わっていないので、それが終わったらやります」。
この考えが間違っている理由がわかるでしょうか? スポーツで考えてみましょう。たとえば、ゴルフを始めるとして、いきなりクラブを振ってもボールに当たりませんので、まずは正しいフォームがどういうものなのか、本や映像などを通じてインプットすると思います。本や映像で正しいフォームを知識として得たら、次にやることは何でしょうか。おそらく、実際にその通りにクラブを振ってみるのではないでしょうか。それも、何度も、何度も。
つまり、インプットが終わったら、すぐにアウトプットに移行するのです。ゴルフクラブにはいくつもの種類がありますが、ドライバーの打ち方、アイアンの打ち方、パターの打ち方など、すべての打ち方を本や映像でインプットしてからクラブを振り始める人はおそらくいないと思います。
先ほどの考え方が間違っている理由は、もうわかりましたね。ある分野のインプットが終わったら、次にやるべきは、その分野のアウトプット、すなわちその分野の問題を解くことです。そうすることで、勉強の効率が上がるのです。
問題を解くのはスポーツで言えば「練習」
受験生の多くは、インプット対アウトプットの比率が3対1ぐらいです。私は逆に、1対3になるように勉強します。インプットよりも、アウトプットを多くする。つまり問題集を何度も解くことが、勉強の中心になります。
インプットの比率が高い人ほど、合格から遠ざかります。何度も資格試験に落ちている人の中には、10対0なんじゃないかと思うほど、インプットばかりしている人がいます。こうした人たちは次のようなことをよく言います。「過去問がまだ解けないんで、テキストをもっと読みます」。
一見、理にかなっているように思えますが、勉強とは間違うことですから、問題を解いて間違わない限り、解けるようにはなりません。
ちょっと強い言い方で恐縮ですが、インプットばかりやる人は、プライドが高いのかもしれません。間違いたくない。間違ってばかりの自分を認められない。だから、インプットに固執してしまう。気持ちはわかりますが、そのプライドは封印しましょう。
100点がとれるようになるまで、参考書を完璧に覚えるまで問題を解かないのだとしたら、こんな非効率な勉強のやり方もないでしょう。
ゴルフで言えば、「振りかぶった時の肘の角度は何度で、頭が動かないように……」などと知識をいくら覚えたところで、練習なしにそれを体現できることは絶対にありません。畳の上で水泳の練習をする「畳水練」でしかないのです。
インプットばかりしている人も、畳水練ばかりしているのと同じです。問題集を解くというのは、スポーツで言えば「練習」です。練習をしないで上達できるスポーツがないように、問題を解かずに、得点がとれるようになる資格試験もないのです。
スポーツの練習が、勉強の問題を解くことだとしたら、練習試合が模試に当たるでしょう。そして、公式試合が本番の資格試験です。こう考えると、問題を解かないことが、いかに合格率を下げるかがわかるのではないでしょうか。
問題を解くアウトプットの重要性がわかってもらえたでしょうか。インプット対アウトプットの理想は、1対3だと述べましたが、もう少し詳しく説明すると、この割合は勉強を始めたばかりの初期と試験直前では変わります。
試験期間を大きく4つに分けると
試験までの期間を大きく4つに分けるとしたら、
第1クールはインプット7:アウトプット3
第2クールはインプット5:アウトプット5
第3クールはインプット3:アウトプット7
第4クール、つまり試験前は、インプット2:アウトプット8から1対9へ
これが理想です。こうなれば、全期間では平均してインプット対アウトプットが1対3ぐらいになると思います。
ただ、これらはあくまでもイメージであって、細かく勉強時間を計測して、この通りにする必要はまったくありません。
形式的にインプットとアウトプットを2つに分けましたが、実際の勉強ではアウトプットがインプットになり、インプットがアウトプットになります。両者は、試験が近くなるにつれて、徐々に不可分一体になっていきます。
どういうことかと言うと、アウトプットして間違えることで、インプットする量が増えます。そして、インプットが増えた分だけ、アウトプットできる幅も広がるのです。
これが、「間違えることが勉強だ」という言葉の重要なポイントです。インプットばかりしても、実際には、それほどインプットされません。アウトプットするのはインプットのためであり、アウトプットを繰り返すことでインプットの量が増えていくことを忘れないでください。
「全体を4分割」して、勉強の配分を
「合格への最短コース」を知るために、過去問を読み、参考書と問題集を1冊ずつ書店で買ってきたら、勉強の全体スケジュールを把握しましょう。そこで肝になるのが、試験までの期間を大きく4つに分けることです。
資格試験の試験日は決まっていると思いますので、まずは、今日から試験日までを大きく4つに分けます。1年間あるのであれば、3カ月ずつになりますし、半年間ならば、1.5カ月ずつになります。
数カ月から1年ぐらいで合格を目指す資格試験であれば、4つに分けた、それぞれの期間の勉強配分は次のようになります。
これが「合格への最短コース」の大ざっぱな道のりです。これを頭に入れてから勉強を始めるのと、いきなり勉強を始めるのとでは、のちのち差が生まれてきます。
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全体スケジュールで大切になるのは、第3クールが終わるまでに合格最低点がとれるようになること。これが実現できれば、合格はもう目の前。第4クールをバッファとして使え、気持ちの余裕も生まれますし、仕上げの勉強もできるからです。
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提供元:「資格試験に落ち続ける人」がやりがちな勉強法|東洋経済オンライン