2022.03.25
ドカ食いで後悔する人を救う「増やす」食事方法|やせたいならむしろ食事回数を一日6回に
ダイエットの挫折を引き起こすドカ食いを防ぐには(写真:オクケン/ PIXTA)
○○するだけ、1日○分エクササイズなど、数々のダイエット法が提唱されていますが、やせることができたとしても体型維持は難しいものです。同様にハードなトレーニングや厳しい食事制限による我慢を強いる減量法も、いくら効果的でも継続が困難。そこで、ボディビルダー「バズーカ岡田」としても知られる日本体育大学体育学部准教授の岡田隆氏が、ダイエットのプロであるボディビルダーの叡智を、誰にとってもわかりやすく、始めやすくて、続けやすいかたちとして「9つのカード」を紹介。ここでは、その一部の「カード」を取り上げます。
※本稿は『最高の除脂肪食 「食べる」を増やして、絞る!』より一部抜粋・再構成したものです。
前回記事:「ダイエット=鶏胸肉」に固執する人が見落とす事
『最高の除脂肪食 「食べる」を増やして、絞る!』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
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一日の食事を「少量」×「高回数」に
昨今、ボディメイク界隈では「やせたければ一日6食」的なことが(私も含めて)よく発信されています。それを聞いて「6食はちょっと……」と反応する方は少なくありません。でも、実は多くの方が、すでに一日4〜5食で過ごしています。
と言うと「え?」と驚くかもしれませんが、そこには「食事」に対する認識の違いがあるのです。私たちボディビルダーにとって、栄養摂取=食事です。だから、皆さんが小腹を満たすために10時や15時にちょっと何かを口にする間食も、一回の食事としてカウントしていくのです。
間食を「おやつ」と捉えると、なんだかお菓子などの甘いものを選択したくなりますが「食事」と捉えるとどうでしょう。選ぶものの質に、目が向きませんか? ということで今回の「カード」は、間食の質を段階的に変えることで一日あたりの食事を「少量」×「高回数」に変えていきます。
現状、一日3食+間食2回の人は、間食における脂質と糖質の同時摂取を避けるだけでカラダは変わり始めます。例えば、菓子パンを選びがちなら、あんパンに変えるなど。脂質と糖質とが合わさりがちな洋菓子と比べて、和菓子は脂質が少なく糖質メインのものが多いです。
甘いものを欲するときは和菓子を選び、あんこが苦手であれば脂質と糖質のバランスを考慮した「シックスパック低糖質プロテインバー」はどうでしょうか。多くのプロテインバーは脂質と糖質が高く太りやすいのですが、私が監修したこのバーなら大丈夫です。これで間食がP補給タイムへと姿を変えます。
高タンパク質低脂肪ヨーグルトもいいですし、「咀嚼を考えて、間食はサラダチキンや蒸したサツマイモにします!」との発想までくれば、もう最高。置き換えの概念を超えて攻めの姿勢に入っている証拠。
菓子パンから飛び級的にサラダチキンに変えてもいいですが、途中で挫折してすべてを放棄する以上に無意味なことはありません。グラデーションをきかせ細かくカードを切っていくくらいで、いいのです。大丈夫、それでもカラダは絶対に変わりますから。
現状、一日1〜2食で間食を入れる習慣がない人は、もしかしたら「食べる」を増やすのが苦痛に感じるかもしれません。その場合は、仕事の合間にプロテインドリンクを飲むなど超少量の栄養摂取を付加するところから始めてみましょう。
こまめな栄養摂取の目的はいくつかあります。Pを増やす過程でもお伝えした通りカラダはつねに生まれ変わっています。ボディメイクの観点で言えば、筋トレによって刺激を受けた筋肉はタンパク質摂取によって成長していくわけで、定期的に材料を届ける必要があるのです。それとは別に、空腹を強めないというのもとても大事な目的です。
ドカ食いのトリガーとなる「強烈な空腹」を防ぐ
ダイエットの挫折を引き起こすドカ食いのトリガーは、強烈な空腹。お腹が空いた状態で買い物に行くと、意志では制御できずに必要以上の食べものを買ってしまう、あの嘆きのルーティンから逃れるためには、こまめに食べることにより空腹を感じさせない工夫が必要となります。
ということで筋肉をつけるためにも、体脂肪を落とすためにも、食事回数を増やしたほうがいいのは明白。ただ、いわゆる「1食」を増やすのは手間も時間も費用もかかって厄介なので、少量の栄養補給を高頻度にして手を打ちましょう、というお話なのです。
間食の質を整えれば、朝昼晩の食事量にも変化が出てきます。が、食間の間隔が空いてしまうことも往々にして起こります。そんなときは仕事の合間に飲むコーヒーやお茶などにMCTオイルを数滴垂らすだけで、空腹を抑える効果だけでなく脂肪燃焼を得られます。
筋トレをする場合、前後の栄養補給が重要になるため、トレ前後どちらかに朝昼晩の食事をあてます。オススメは、トレ後。しっかり栄養補給してリカバリーしたほうが筋肉が発達して代謝能力が上がるため、目先の減量速度は落ちますが体脂肪を狙って落とす本質的なダイエットに得だからです。
夜トレーニングするのなら、朝食を食べて10時に間食、昼食のあと15時に間食、退社してから筋トレをして、夕食。このパターンが筋トレの効果を最大化しますが、どうしても絞りのスピードを優先したいのなら、トレ後はプロテイン摂取をメインにするなど0.5食に抑えておきましょう。
栄養摂取の基本に立ち返る
食事の回数を整えたところで、次のカードではいつ、何を食べるのかについて考えていきます。一日のうち、最も気を配りたいのがトレーニング前後のタイミングで摂る食事の内容です。
なぜならカラダを変える栄養摂取の基本は、「使うために備える→入れたものを燃やし切る→ゼロになったところで補給する」というサイクルだから。トレ前の食事をガソリンとして、筋トレでエネルギーを爆発させて、トレ後の食事で疲れ果てた筋肉に肉体再生の材料である栄養素を補給し、回復させる。この一連をひとまとまりとして考えていきます。
だから、トレ後に急な用事などが入って食事が摂れないときなどは、最悪です。大袈裟でなく、絶望した気持ちになりますし、だったらトレーニングをしなければよかったとしばらく立ち直れません。……と言っても、カラダづくりは一生なので諦めたり放棄したりはしません。せめてものプロテインタイムを確保して、思考を切り替え次に進むだけです。
それほど大切なタイミングなので、筋肉の材料となるタンパク質、使い切ったガソリンの補給として糖質、そして腸の状態を整える食物繊維をまずはしっかり摂れる内容に構成します。トレ後の糖質摂取を嫌がる人も多いですが、筋肉の成長を最大化するためには積極的に摂るべき(ただし、夜にトレーニングする場合や、絞りを加速したい場合に限りプロテインのみにする選択肢も)なので、食物繊維リッチな炭水化物を食べるとよいです。
また脂質摂取も回復手段として有効ですが、絞りのペースと相談を。まとめると、このトレ後のタイミングはカラダの回復や再生のために、栄養素をコンプリートする気持ちで食事を選ぶとよいのです。除脂肪をより優位に進めるには、代謝が高い、いわゆる「食べても太らない」状態にカラダを導いていく必要があります。
なぜなら、代謝が低く「食べたぶんだけ太る」状態のまま除脂肪を続けていくと、のちにカロリー調整に入った際にどれだけ摂取エネルギー量を抑えても絞れない地獄の現象に苦しむことになりかねないからです。
代謝アップの要は、筋肉の発達。筋肉は糖質をガソリンとして動きます。たくさん食べてしっかりトレーニングをして、筋肉を強く大きく育てていくことで代謝は上がります。
簡単に言えば「食べても太らない」カラダとは、食べたものをガソリンとして燃やし、すべて使い切れるだけの筋肉を備えた「食べたぶんだけ燃やす」カラダということ。だから、除脂肪食を始める前や始めてすぐの今の段階から、食べることを恐れずに十分量をしっかり摂って、同時にみっちり鍛えることを習慣化しておくことが望ましいのです。
脳やカラダに「食べたぶんだけ燃やす」をインプットしておくことの利点は、2つ。まずは、カロリー調整のカードを切る際、元の摂取エネルギー量が多いため制限をかけても「けっこう」多い状態をつくれます。摂取量が多いのに絞れる、あの「食べて絞れ!」を体現できるわけですね。
除脂肪を進めるにあたり筋トレは必須
もうひとつは、摂取エネルギーを減らすと連動して消費エネルギーも減るという通例を無視して、摂取エネルギーを減らしても消費エネルギーが保たれるようになります。だからこそ、除脂肪を進めるにあたり筋トレは必須なのですが、世の全員が筋トレを軸に生活をしているわけではないことを、忘れてはいけません。
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そこでトレーニングを抜きでお伝えすると「活動前にバッチリ食べる。食後に活動予定がないときは、食べものの質を見て選び、量を抑える」が基本ルールです。そして、炭水化物の摂取は仕事(脳)のパフォーマンスアップにも力を発揮することにも触れておきましょう。
糖質は脳にとってもエネルギーです。対話への集中力やコミュニケーションの瞬発力が必要な場面に向かう前に、炭水化物(糖質+食物繊維)を入れておくといいパフォーマンスを発揮できます。
私の場合、朝から夜まで大学にいるためトレーニング開始が22時頃。1時間ほど鍛えてプロテインを飲み、夕食が23時。帰宅して就寝したいところですが、カラダを動かしスッキリしたところに夕食で糖質が入ってくることで集中力がグッと高まるのです。なので、0時までの30分集中で仕事をしてから帰宅するようにしています。疲れ果てた一日の最後なのに集中力が高まりつい止まらなくなることもあるくらい、糖質の恩恵を感じています。
そのほか、PとFに関してはすでにお伝えしたとおり。タンパク質は一日を通して定期的に摂取する意識を忘れずに(P摂取目安=体重1キログラムあたり1グラム/日。トレーニングをする人はその倍)、多く摂りたいときはトレーニング後にすると筋肉の成長によいです。
脂質は腹持ちがよいので空腹のコントロールにうまく活用していくこと。食物繊維は一度に大量に摂ると腸に負担がかかるので、P同様こまめに摂って、つねに腸のなかで発酵させておくイメージです。
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提供元:ドカ食いで後悔する人を救う「増やす」食事方法|東洋経済オンライン