2022.02.21
「将来に漠然とした不安を持つ人」がまずすべき事|問題の本質を具体化すれば解決策は見つかる
自分のキャリアに漠然とした不安がある…。そんなときはどうしたらいいでしょうか(写真:Mills/PIXTA)
初めまして。KTと申します。90年生まれで、今年31歳になります。発達障害を抱えており、キャリアについて漠然とした不安を感じていたところ、この記事(発達障害者のキャリア計画、どう描くべきか)と出会い、相談してみたいと思った次第です。
現在、私は障害者枠で採用事務の仕事をしています。年収ベースだと、240万、平均すると月20万の給与で暮らしています。
今年、妹の結婚が決まり、うれしく思う一方で、自分にそういう未来を描くことは難しいのかなと感じています。少なくとも、今の年収では心細いと感じています。社会人になってから発達障害であることがわかったので、履歴書が早期退職で汚れているのを気にしており、ジョブホッパーという印象を与えないためにも、現在の職は3年は続けてから転職活動したいなと考えております。
何かアドバイスがあったらお聞きしたいです。よろしくお願いします。
KT 会社員
(発達障害者のキャリア計画、どう描くべきか) ※外部サイトに遷移します
変わりたい、現状を変えたいと思って本当に変われるか否かは、その夢や目標に対して自分がどれだけ真剣か否かで変わってきます。まずは「漠然とした不安」の具体化を図り、そのうえで必要な対策を練りましょう。課題解決に向けて本質的な課題を知り、それをもって努力や工夫の方向性をまずは知る、ともいえます。
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どんな不安や心配もそうですが、それを解決するためには「自分が抱えている本当の問題は何なのか?」、「なぜ自分は不安なのか?」といった根本を知ることが必要です。
言い方を変えると、そういった表面的ではない問題の根源がわかれば、解決策も見いだせるというものです。
「漠然と」では根本的な解決につながらない
的を射た問題意識や問題提起のみが、的を射た解決につながります。漠然とした不安や問題意識だけでは根本的な解決につながりませんし、それ以前に、具体的な解決に向けた行動につなげることも難しいでしょう。仮に、そのような状態で解決策と思えるような行動を起こしても、根本的な解決に繋がらないということになってしまいます。
これはどんな不満や不安、悩みにも共通します。
例えば、転職。
「現状に不満がある」→「だから転職する」という考え方では、「何に対する不満なのか」という本質を理解できていません。結局、職場という場所を変えただけにすぎず、少し時間がたつとまた同じような不満を抱える、ということになりかねません。
そうでなく、具体的な不満の対象がわかれば、たとえそれが同じ転職という行動でも、より良い解決策に繋がります。
「自分はエキスパートとしてのキャリアを歩みたいが、現在の会社では自分の年齢やキャリアパスからして、マネジャー的な仕事が中心となってしまい、自分が望むポジションも、その機会もない」ということであれば、そのようなポジションを現在の会社に作ることを求めたり、転職という行動を通じてそのようなポジションを探したりすればいいのです。
具体化すれば同じ過程でも得るものは違う
結果としては、前者も後者も同じ転職という行動に落ち着くのかもしれませんが、その過程で得たものは大きく違うはずですし、その後の職業人としての幸福度もだいぶ異なることでしょう。
留学にしても同様です。
「単にMBAを取得します」ではなく、「将来●●業界に行くために、自分に足りない●●の補完を目指してMBAで勉強する」という、根本を押さえた目的意識がしっかりとしていれば、学ぶ内容も濃さも変わりますし、自ずと結果は変わるものです。
転職にせよ、留学にせよ、行動は手段でしかありませんから、目的たる本質部分の把握が、まずもって大切なのです。
さて、KTさんのケースです。
ここにも「漠然とした不安」とあります。一方で、「将来の結婚などを考えた際に現在の年収では心細い」とあります。
仮に、ここではKTさんが現在、ご自身の「年収が低いために将来の見通しが立たない」という悩みを抱えているとしましょう。この段階ではまだ悩みは漠然としています。
「将来の見通し」とは何か。どんな将来をご自身は描いているのか。これはつまり、ご自身が今後どんな人生を歩みたいかであり、ご自身の人生観であり、ビジョンです。そして、「その実現のためにはいくらくらいの年収がいつまでに必要なのか」といったことを、どんどん具体化する必要があります。
そのうえで希望する年収を稼ぐためには、今の自分には何が足りなくて、何をすべきなのか、その年収を稼げる職業にはどんなものがあり、どんな会社があり、自分にとって現実的な選択肢は何か、などを考えます。
そうやってどんどん具体化することによって、「今自分が何をすべきか」が見えてくるはずです。
不安や不満が漠然とし続けている限りは何も変えることはできません。
結局のところ、冒頭で申し上げた通り、行動を通じて結果につなげるためには、「その夢に対して自分はどれだけ真剣か?」、「自分は本当に変わりたいのか?」が問われるのです。
真剣であれば「何が問題なのか」をとことん考え、漠然としたまま放置することはないはずです。具体化したことや、現状の自分自身の置かれた立場や状況を踏まえ、自分にとって現実的な選択肢を絞り込んでいけば、具体的な課題解決としての行動につながるはずです。
要は、自分にとって生きるうえでの優先順位や、職業上の優先順位を明確化し、最も有効と思われる手段に注力していくべく自分を追い込む、ということです。
まずはやるべきことを具体化する
ですから、まずKTさんとしても漠然とした不安や不満の正体を探り、やるべきことをどんどん具体化することが求められます。もちろん、その過程でご自身が抱えている障害を考慮することや、今までのキャリアで積んできた経験やスキルを棚卸しする作業も必要です。
それでも、ご自身の抱える不満の正体がわかれば、その解決のための道筋は見えてくるはずですから、努力しがいがあるというものでしょう。
そうすることで、例えば、頂戴した相談のように「履歴書をきれいにするために今の職場にいる」という漠然とした行動も、「将来●●するために、今の職場で●●を得るまで働く」というように、具体的な目標や努力の方向性に変わるはずです。
その結果、今後の3年間の中身は大きく変わってきます。
目的意識がある3年間(3年間である必要はもちろんありませんが)なのか否かは、履歴書の見てくれではなく、KTさんが本当に職業人として成長できるか否かに大きな違いをもたらします。
もっとも、ここで回答したことはあくまでもたとえですから、あとはこれを参考にKTさん自身の問題意識の具体化と、具体的な解決に向けた行動計画を作っていってほしいと思います。
KTさんが、今以上により自身の人生と仕事の目標に対して真剣になり、しかるべき人生の目標に向かって、正しい努力と工夫の一歩を踏み出すであろうことを応援しております。
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提供元:「将来に漠然とした不安を持つ人」がまずすべき事|東洋経済オンライン