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2022.02.14

「SNSをなんとなく使っている人」が知らない3盲点|「情報のプロ」も恐れる「ヤバい落とし穴」は?


情報があふれる時代、氾濫するSNSに潜む「リスク」と「落とし穴」とは(写真:EKAKI/PIXTA)

情報があふれる時代、氾濫するSNSに潜む「リスク」と「落とし穴」とは(写真:EKAKI/PIXTA)

テクノロジー、政治、経済、社会、ライフスタイルなど幅広い分野の情報を発信し、日本のインターネット論壇で注目を集める佐々木俊尚氏。
「ノマドワーキング」「キュレーション」などの言葉を広めたことでも知られ、2006年には国内の著名なブロガーを選出する「アルファブロガー・アワード」も受賞している。
その佐々木氏が、この度、『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』を上梓した。
情報があふれる時代に、どう「ネット記事」「SNS」などを読めばいいか、スマホで「気が散る」時代に、どう「書籍」を読みこなすかなど、自身が日々実践している「新しい時代の読み方」の全ノウハウを初めて公開した1冊で、早くも大増刷するなど話題を呼んでいる。
佐々木氏が、「何気なくSNSを使っている人」に潜む「3つの落とし穴」について解説する。

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現代は「SNS」こそが社会そのものになっている

私は、毎日およそ1000本のネット記事の見出しに目を通し、その中から「読むべき」と思う記事を10本ほど見つけ出す作業を行っている。

そして、毎朝8時にツイッターとフェイスブックで、さまざまなジャンルの記事を無料でシェアする恒例行事をほぼ10年続けている。

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『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全: 脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

『「ネットに多い陰謀論」うまく見抜く3大秘訣)』で「メディアの落とし穴」を紹介したが、メディアに限らず、みなさんが日ごろ使っているSNSにも「落とし穴」はそこらじゅうにある。

いま、社会で起きたあらゆることは、SNSに流れ込んでいる。それだけではない。逆に、SNSの情報も社会に流れ出す。

一方通行ではなく、相互通行になっている。いや、相互通行どころではなく、「SNSこそがまさに社会そのものである」という時代になってきている。

では、SNSに潜む「リスク」「落とし穴」とはどんなものなのだろうか。

『「ネットに多い陰謀論」うまく見抜く3大秘訣)』 ※外部サイトに遷移します

ネットの情報は「偏り」が大きい。玉と石が入り混じっており、それを見分けるのは非常に難しい。だからデマも流れてくるし、民意もそういうあやしげなものに影響されてしまうことがある。

1つめの「落とし穴」は、「ネットの情報は『あやしげなもの』も含めて『SNSの人間関係』を経由してしまう」ということだ。

【1】ネットのあやしげな情報がSNS経由で入ってくる

そもそも、「SNSとは何なのか」ということを、みなさんは問い直してみてほしい。最初は「人間関係のインフラ」だったはずだ。

2007年に始まった「ツイッター」は2年後ぐらいに日本でブームになったが、そのころはみんな「ランチなう」「今日は休日で楽しいな」など、平和な投稿ばかりをしていた。フォローしたりフォローされたりするのもリアルな友人か、ツイッター上で仲良くなった人たちだった。

「人間関係のインフラ」に「情報のインフラ」が重なる

しかしツイッターはいつのまにか、「情報が流れる巨大なインフラ」になってしまった。「人間関係のインフラ」の上に「情報のインフラ」が重なり、「人間関係」を通じて情報が流れるようになったのだ。

世界をきちんと見るためには、さまざまな分野にアンテナを張っておいたほうがいい。野球好きな人に野球の情報が流れてくるのは嬉しいし、農家さんに農業の知識がどんどんくるのはありがたい。だが、わたしたちは、趣味や専門分野だけで生きているわけではないから、ほかにも知らなければならないことはたくさんある。

ところが、SNSでは「どういう人間関係をつくっているか」で、流れてくる情報が決まってしまう。そのため、人間関係を通して、「あやしげな情報」もどんどん入ってきてしまうのだ。

SNSでは、「友人たちからの情報」などで「情報が偏ってしまう危険性」があることを認識しておかないといけない。

2つめの「SNSの落とし穴」は、「『攻撃』と『擁護』のぶつけ合いで『分断』が広がっていくこと」である。

【2】「攻撃」と「擁護」のぶつけ合いで「分断」が生まれる

この10年のあいだに使われるようになったメディアの用語に「オルタナティブ・ファクト」と「ポスト・トゥルース」がある。

「オルタナティブ・ファクト」は「もうひとつの事実」という意味だ。2017年のアメリカのトランプ大統領就任式で、集まった観衆がかなり少なかったのに、ホワイトハウスの報道官がテレビで「過去最大の人々の数」と称賛した。

報道官の嘘をしれっと「もうひとつの事実」として伝えたことから広まったのだが、そこから「嘘も方便」のように事実を捻じ曲げてでも広めるニセニュースのことを「オルタナティブ・ファクト」と呼ぶようになった。

この「オルタナティブ・ファクト」は、じつは日本のSNSでもそこらじゅうに広まっている。「なんでそんな嘘を信じるの?」というような話がたくさんシェアされ、無数に「いいね」され、拡散しているのを日常的に目にする。

「ポスト・トゥルース」は、直訳すると「真実以後」だ。『オックスフォード英語辞典』の編集部が2016年の「今年の言葉」に選んだことで有名になった。編集部によると、定義は「世論を形成する際に、『客観的な事実』よりも、むしろ『感情や個人的信条へのアピール』のほうがより影響力があるような状況」だそうだ。

SNS社会では「情報」さえも「分断」されている

もはや「事実かどうか」などどうでもよく、「自分の政治信条に沿っていれば何でも信じてしまう」人が本当にSNSでも増えている。そういう人にいくら反論しても、たいてい「黙殺」されるか、逆に「罵倒」されたりする。

日本でも、時の政権をひたすら「攻撃」している人と、ひたすら「擁護」している人たちの2つに「分断」され、毎日無限に続くドッジボールみたいに球をぶつけ合っている。

SNSを通して世界はますます「分断」が進み、分断されているどうしでは「見えている光景」がまったく違うものになってしまう。21世紀の社会は、とくに政治や社会、経済などの判断が難しい分野において、情報でさえも「分断」されてしまっているということだ。こういう世界からは、脱出しなければならない。

SNSでは、「エコーチェンバー」というイヤな用語もある。これは「残響室」という意味で、音が壁などで吸収されずに、いつまでも残りつづける特殊な実験室のことだ。

そこから、同じような信念や考えを持つ人たちが閉鎖的な場所に集まると、お互いに「そうだ! そのとおりだ!」と言い合いつづけて、ひとつの信念だけがどんどん増幅されてしまうことをたとえている。

3つめのSNSの落とし穴は、「『エコーチェンバー』に入ってしまって偏った信念が増幅されること」である。

【3】「エコーチェンバー」で偏った信念が増幅される

自分が信じていたことを「否定」されるのは、つらい。自分が全否定されるように感じてしまうし、それまでの行動がすべてムダになってしまう不安が頭をもたげてくる。

だから、心の片隅で「ひょっとしたら自分は間違っているのかも……」という疑念が生じても、自分のアイデンティティが崩壊する怖さから、「誤った信念」にしがみついてしまうのだ。

この研究によると、「エコーチェンバー」に入ってしまった人には何を忠告してもムダなようである。彼らの信念に反するような記事や動画を教えてあげても、彼ら自身がそれまで信じていたポジションにますます強くしがみつくようになるのだという。

このような人たちは「エコーチェンバー」の外側にいる人の声に耳を傾けることはついぞない。こういう世界に引きずられて呑み込まれてしまうのは、残念ながら愚かなことである。

「人間関係用」と「情報収集用」でSNSを使い分ける

「友人たちからの情報」が偏ってしまわないためには「いい人間関係をつくればいい」という見事に美しい回答もある。しかし、これは現実的ではない。そんなことができる人は、そうは多くないからだ。

普通の人間関係の中で生きている凡人にも可能な方法は、ないのだろうか。答えは、SNSを使い分けて「人間関係用」と「情報収集用」に分離すればいいのだ。「人間関係のためのSNS」と「情報収集のためのSNS」を分けてしまうのである。じつにシンプルである。

SNSをうまく使い分けて「使いこなすスキル」を身につけることで、「偏った情報」に振り回されない「良質な情報」を見極めてほしいと強く思う。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

インターネットが「文化資本の格差」拡大させる訳

「ネットに多い陰謀論」一瞬で見抜ける簡単3秘訣

池上彰、佐藤優の「ネット検索」驚きの6極意

提供元:「SNSをなんとなく使っている人」が知らない3盲点|東洋経済オンライン

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