2022.02.08
服の色合わせに自信ない人に知ってほしいコツ|クローゼットに眠っていた服が生まれ変わる
スタイリストが伝授します(写真:EKAKI/PIXTA)
同じ服を着ていても「スタイルがよく見えるオシャレな人」と「野暮ったく感じるどこかが惜しい人」と違いが出てしまうことがあります。その差は「何」を「どう着るか」の着こなし力にあります。
前回に続き、『手持ちの服でなんとかなります』の著者で、人気パーソナルスタイリストの杉山律子氏が、新たにお金をあまりかけずに、手持ちのクローゼットにある服でもオシャレに着こなせるプロのコツを紹介します。
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前回:プチプラ服でも素敵に着こなす人が外さない鉄則(1月29日配信) ※外部サイトに遷移します
シャツのボタンはいつもよりプラス1個外してみる
シャツやシャツワンピのボタンをいちばん上か第2ボタンくらいまで開ける人は多いと思いますが、「素敵に見えない」と思ったら、思いきってもう1つ外してみるといいでしょう。3つも開けるのは勇気がいるかもしれませんが、一気に抜け感が出て、襟元の表情が増し、ぐっとセンスアップして見えます。
また、首元の深いVラインのおかげで、小顔効果も抜群。こうして、鎖骨がチラッとのぞくと身体全体まで華奢な印象に映るんです。胸が大きいのが気になる、上半身にボリュームがあって太って見える、という人は、見せインナーを仕込むという手があります。思いのほかスッキリして、目立たなくなります。インナーはプチプラのものでも構いません。色は白、黒がおすすめです。
(出所)『手持ちの服でなんとかなります』(サンマーク出版、以下同)
シャツやVネックのトップスからちらりと見えるブラトップのような「見せインナー」は、小さな面積でいい仕事をしてくれて、顔まわりがパッと明るくなります。ところがちょっとした合わせ方のミスで「惜しい!」という人が結構います。たとえば、Vネックのニットやカーディガンや白シャツにUネック気味のカーブがついているインナーを合わせている場合。VのラインとUのラインが喧嘩してごちゃついている印象になってしまいます。
せっかくデコルテを見せてスッキリを狙ったコーデが、ラインが混在することで、おかしなバランスに。インナーの見えている部分はまっすぐであればあるほどスッキリと見えます。首まわりのラインがダブっていいのは、クルーネック同士だけ。細かいところですが、顔まわりのラインも気にしてみるといいでしょう。
トレンチを着るときは中のコーデを頑張らないのが正解
よく定番アイテムと言われたりするトレンチコートですが、じつはかなりの主役級アイテム。肩や袖のストラップやフロントのボタンなど、思いのほか目立つものがたくさんあるため、合わせにくく、上手に着こなすのが難しいのです。
春・秋には街でトレンチコートを着ている人をたくさん見かけますが、「もっとこうしたらいいのに!」と思うコーデをしている人がほとんど。けっして安くないトレンチコート。たくさん着て元をとるためにも、コーデのポイントを覚えておきましょう。トレンチは主役であることを意識して、主役を引き立てるように他のものは脇役で揃えるとコーデがまとまります。合わせるアイテムは、やっぱりベースカラーで飾りのない、極力シンプルなものを。また、意外とシャツはトレンチと相性が悪いアイテムなので気をつけて。
よかれと思ってやっている同色コーデで失敗しがち
雑誌やネットなどで「同色系コーデ」という言葉を目にしたことがありませんか?
同色のアイテムで合わせる……と書いてありますが、このせいでミスを犯している人がかなり多くいます。カーキとカーキの組み合わせ、ブラウン系、ベージュ系、グレー系、ホワイトコーデ……よかれと思って同系色で色合わせをしているつもりが、じつは「色味」が違っていて、知らず知らずのうちに失敗コーデになっている場合が多いのです!
やや専門的な話になりますが、色には彩度と明度という尺度があります。同じグレーという名前でも彩度と明度によって青味がかったグレー、無彩色のグレーなど、さまざまです。同じベージュという名前でも、黄味がかったベージュと赤味がかったベージュは違う色。これらの似て非なる色味の違いをよかれと思って組み合わせてしまうことが危険なんです。
では、どのように色味を見極めるかというと、たとえば、2つのブラウンの濃いほうに、白い絵の具を足したとイメージしてみてください。白を足したほうと淡色のブラウンが同色になればOK。そうならず、違う色になってしまうようならNGです。同色系コーデは同じ色味の濃い/薄いの濃淡でまとめるのが正解。これは「グラデーションコーデ」とも呼ばれ、確かにおしゃれ感&高見え感が出ます。
そもそも、コーデを組むときの色は「色味」でカウントされます。色味が同じベージュとキャメルなら1色カウントでOK。ところが、色味が違うと同色にはなりません。似たように見える黄色っぽいブラウンと赤っぽいブラウンを合わせると、1色で合わせたつもりでも2色とカウントされます。
全身を3色以内におさえるのが失敗しないコーデの法則の大前提。色味が違うと、じつは4色、5色……と知らず知らずにたくさん色を使ってしまっていて、それがちぐはぐな印象を生んでしまいます。
コーデは似た色同士を合わせるほど難しい。似て非なる色味違いを合わせることほど、難易度の高いことはないのです。知らずに難易度の高いことをやってミスを犯すくらいなら、抜け色、中間色、締め色を意識してまとめたほうが、おしゃれに見えます。
無意識におばさんセットアップをしている可能性大
コーデは似た色同士を合わせるほど難しい。だから、抜け色、中間色、締め色から1色ずつ使うのが一番簡単、というコーデの法則があります。裏を返すと、中間色、締め色、それぞれのグループの色同士を合わせるのは、とっても難易度の高いことなのです。
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特に中間色同士を雑に合わせることで、地味に見えたり、老けて見えたり、手抜き感が出たり……。「ファッションで損している」「疲れて見える」と感じさせる場合は、たいていこれが原因です。グレー、ベージュ、トープ、カーキ、色落ちしたデニム。これらの中間色は地味色なので、安易に合わせがちです。
たとえば、グレーのトップスにベージュのボトムスを合わせたり。じつは、このコーデこそ「おばさんセットアップ」。派手な色を使っていないから、無難な色だから、と一見すると失敗していないように見えるのですが、服選びのせいで実年齢よりずっと老けて見えてしまい、とてももったいないことをしていることになります。
合わせてみて「おかしいかも?」と心配なときは、スマホで白黒写真を撮ってみるとわかりやすいです。白黒写真にしたときに同じ色(同じ濃度)に見えてしまったら、基本的にその色合わせは失敗です。色の濃度にメリハリがついて白黒写真でも濃さが違っていれば、「おばさんセットアップ」問題はクリアしています。
前回:プチプラ服でも素敵に着こなす人が外さない鉄則(1月29日配信) ※外部サイトに遷移します
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提供元:服の色合わせに自信ない人に知ってほしいコツ|東洋経済オンライン