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2022.01.25

日本人の寝室「ダニの楽園」になっている衝撃実態|多い場合はふとんから100万匹以上のダニが検出


ふとんの中にはどれほどのダニが潜んでいるのでしょうか(写真: Fast&Slow/PIXTA)

ふとんの中にはどれほどのダニが潜んでいるのでしょうか(写真: Fast&Slow/PIXTA)

家の中でもダニがもっとも多いのは、寝室の寝具類です。なぜならダニのエサとなる人間の皮脂やフケ、毛髪などが豊富にあるから。寝具をしまう押し入れでもダニは大量に繁殖している。まさに「ダニの楽園」ともいえる寝室において、アレルギーの原因やきっかけとなるダニをいかに減らして、アレルギー疾患を改善していくか。ダニ研究50年の髙岡正敏氏が著した『お父さん、お母さんが知っておきたい ダニとアレルギーの話』から、前回記事「布団の天日干しで『ダニが死滅』という大きな誤解」に続き、寝室でのダニ対策を紹介します。

『お父さん、お母さんが知っておきたい ダニとアレルギーの話』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

「布団の天日干しで『ダニが死滅』という大きな誤解」 ※外部サイトに遷移します

寝具の中にはどれくらいダニがいる?

家の中でダニがいちばん多くいるのは、ふとんやマットレス、枕などの寝具です。寝具にはダニのエサとなる皮脂やフケ、毛髪などがふんだんにあります。適度な湿気と温度も保たれ、中にもぐりこんでしまえば、掃除機などで吸引されることもありません。ダニにとっては天国のような場所です。

さらにやっかいなのは、寝具の中でダニの死骸やフンなどアレルゲンが年々蓄積していくことです。私たちはこの中で1日7~8時間は睡眠し、アレルゲンを吸い込んでいるわけです。

ひとたび寝返りを打とうものなら、細かなアレルゲンが舞い上がり、さらに多量に吸い込んでしまいます。人は夜中に何度も寝返りをくり返します。とくにお子さんは寝ている間も動きが活発ですから、そのたびにアレルゲンを吸い込みます。ひと晩中、アレルゲンを吸い続けて、明け方にぜんそくの発作が起きたり、寝ている間にアトピーがひどくなったりするのもうなずけますね。

寝具の中にはどれくらいダニがいるのでしょうか。私はいろいろな家のふとんの中の綿の中のダニを数えました。その結果、敷きふとんの場合は、1枚にだいたい30万匹、多いふとんだと100万匹を超えるダニが検出されました。その上で寝ているのだと思うとぞっとします。

参考までに私が埼玉県の山あいの村で調べた寝具のダニの調査結果をあげておきます。ダニがいちばん多いのはやはり敷きふとんやマットレス、その次が掛けふとん毛布などの順番になっています。

また、ある家庭の寝具の調査では、チリやほこり1グラムあたりのダニの数は、敷きふとんが2138匹、掛けふとんが1664匹、枕1536匹でした。

寝具の表面から採取した、たった1グラムのほこりの中にこれだけのダニがいるのです。私たちはその寝具に包まれて、毎日7、8時間もすごしているということをお忘れなく。なおこれらのダニの種類は99%がチリダニで占められていました。

敷きふとんは中央に、掛けふとんはエッジ部分にダニが多い

掛けふとんより敷きふとんにダニが多いのは、人間の体により密着しているため、エサが豊富で、湿度や温度も高いからです。

敷きふとんについて、ふとんの中綿を検査してダニ数の分布を調べてみると、人体が接している中央部分に集中して多いことがわかりました。

この部分は、先に述べた理由で、ダニの繁殖には適しているからだと思われます。さらに詳しく調べると、綿の中心部分にはあまりダニがおらず、表層部にダニが集中していることがわかりました。

昔はよくふとんの打ち直しとして、ふとんの表層部の綿を交換していました。ダニやダニの死骸が多い部分を中心に取り除いていたわけで、この方法が非常に理にかなっていたことがわかります。

一方、掛けふとんのほうは、人の寝返りに応じてあちこち動くので、ダニは四隅のエッジの部分に寄せ集められていました。ほこりがたまりやすいところに「ダニだまり」ができやすいというわけです。

新しいふとんと古いふとんで、ダニのアレルゲンの量を調べた報告もあります。その結果、新しいふとんでは、敷きふとん、掛けふとんともにダニアレルゲンはほとんど見られませんでしたが、すぐにダニアレルゲンが増え始め、何と1年後にはアレルギーを起こす閾値(いきち)に達してしまいました。そして使用5年後でピークに達したのです。

5年を過ぎたあとは、ダニアレルゲン量は横ばいになりますが、その理由について、私の推測では、ダニの死骸やフンが増え、さらにカビやバクテリアなどが増殖してくるため、ダニの繁殖に適した環境ではなくなるからだと考えています。

ただし、ふとんの中にはダニ物質が大量に残っているため、ダニの繁殖のペースが落ちたからといって、アレルギーを起こすリスクが減るわけではありません。

とにかく、ふとんは新品で購入しても、1年たてばアレルギーを起こすのに十分な量までダニが増え、5年たつとダニでもっとも汚染された状態になります。ですから、ふとんのダニ対策は、新品で購入した直後から始めないといけません。

なお、さまざまな報告の中には、新品のふとんにもすでに大量のダニがいた例もあるようです。ふとんは信用できる業者から購入し、使用する直後から、寝具のダニ対策を積極的に行う必要があるでしょう。

ふとんの素材はポリエステルか? 綿か?

「ふとんの内部の素材がダニの増殖と関係するか」についてですが、私の調査では、綿ふとんはポリエステルふとんより、1.5倍のダニが見つかりました。

また、羊毛ふとんや羽毛ふとんの調査はしていませんが、自然素材であることを考えると、化繊のふとんより、ダニは多いかもしれません。

いずれにしても、どのような素材のふとんを使おうとも、ふとんの管理をおこたっていれば、ごみは蓄積しダニは増えるのは間違いありません。

また、ふとんのつくられ方や、家庭での使用のしかた、使用年数などによっても差がみられるため、化繊だから大丈夫、綿だからダメと考えるのは早計で、断定的な結論は出さないことにしたいと思います。

なお、ふとん内部の上層、中層、下層でダニの分布を調べてみましたら、綿のふとんでは人が寝ている側、すなわち上層部に、ポリエステルのふとんではふとんの下側にダニが多く集中していることがわかりました。

掃除機でダニを吸い取るときは、こうしたことを考慮にいれて、ダニの多い側をより丁寧に掃除をするのがいいと思います。

4重にした寝具にダニはどれほどいたのか

畳の上にカーペットを重ねると、ダニが爆発的に増えます。同様に重ねると寝具においても起こります。

ひどいアトピーで悩まれている、ある一人暮らしの成人の患者さんのお宅に訪問したときのことです。この方は職場で仕事をしているときは症状が出ませんが、家に戻ると皮膚がかゆくなって、あちこちが赤くただれてしまいます。

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私は患者さんの寝室の寝具を見て、「ああ、ここが原因だ」とすぐにわかりました。その方はベッドで寝ていましたが、(1)ベッドのマット、(2)その上に敷きクッション、(3)その上に敷きふとんを敷いて、(4)さらに敷きふとんの上にベッドパットを敷いていた、からです。つまり寝具を4重にして寝ていたのです。

私はそれぞれの寝具のダニの数を数えてみました。アレルギーが起きるダニの最低数は40匹/㎡です。それを頭に入れて、この家のダニ数を見てみましょう。

(1) ベッドマットには21714匹/㎡

(2) 敷きクッションには14125匹/㎡

(3) 敷きふとんには10288匹/㎡

(4) ベッドパッドには1948匹/㎡

いずれもアレルギーを起こす最低数をはるかに超えるダニが生息していることがわかります。

寝具を何重にも重ねたことで、ダニの居住空間が広がっただけでなく、適度な温度、湿度が保たれ、さらに人のフケや皮膚などエサも豊富にあることから、ダニが爆発的に増えてしまったのです。

こんなにたくさんのダニに囲まれながら、毎日このベッドで寝ていたら、アレルギーにならないほうが不思議です。

ちなみにこの患者さんは寝具をすべて廃棄し、新しいベッドにマットだけで寝るようにしたところ、アトピーの症状が劇的に緩和しました。この方は寝室以外にも、床をフローリングにしたり、さまざまなダニ対策を行ったりした結果、見違えるようにすべすべの肌を取り戻しています。

寝具はなるべく重ねない。とくに人の体がつねに接する敷きふとんにはあまり寝具を重ねないほうが、ダニを増やさないという点ではおすすめです。

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提供元:日本人の寝室「ダニの楽園」になっている衝撃実態|東洋経済オンライン

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