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2022.01.06

布団の天日干しで「ダニが死滅」という大きな誤解|どこを対策すべき?「ダニが多い場所ベスト10」


ダニ対策の基本とは(写真:asu0307/PIXTA)

ダニ対策の基本とは(写真:asu0307/PIXTA)

子どものアレルギーに悩み、自身もアレルギーで悩んでいるという人は少なくありません。ダニ研究50年の高岡正敏氏によると、ダニは薬品や熱にも強いタフな生き物。対策のポイントは、ダニが繁殖しにくい環境をつくること。ダニの数が増えなければ、ダニのアレルゲンも減っていくといいます。高岡氏の著書『お父さん、お母さんが知っておきたい ダニとアレルギーの話』よりダニ対策の基本について解説します。

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ダニ対策は「殺す」と「増やさない」の2通り

お子さんのアレルギーを防ぐには、ダニ対策がたいへん重要です。ダニ対策には大きく2つのアプローチがあります。

(1)ダニを殺して、死滅させる(=殺滅法)

(2)ダニがすみにくい環境をつくる(=環境対策)

結論から先に言ってしまうと、アレルギーに有効なのは「(2)の環境対策」です。私たちはダニを殺す①の方法に目を向けがちですが、ダニをいくら殺しても、ダニの死体やフンなどアレルゲンは残ります。

ダニの死体は時間がたてばバラバラになってより細かな粒子になり、空中を漂って、人間が吸い込んでしまいます。

アレルギー対策としては、(1)の「殺すだけ」ではあまり意味がなく、もうこれ以上ダニを増やさない。つまり、(2)のダニがすみにくい環境をつくることが大切です。そのうえで、こまめに掃除し、ダニとダニの死骸やフンなどダニ物質を除去することが重要になります。

とはいえ、増えすぎたダニを殺す必要も出てくるでしょう。ダニを殺すにはどんな方法があるでしょうか。

熱を加えれば、たいていの生物は死んでしまいます。ダニも例外ではありません。しかしアレルギーの原因になる「チリダニ」という種類のダニは意外に熱に強いのです。私が行った実験でも、チリダニは50℃の温度で1時間以上生きていました。50℃といえば、お風呂なら熱くてとても入れないレベルです。

そんな熱さで1時間も生きられるのですから、ダニは本当にタフな生き物です。熱でダニをやっつけようと思ったら、55℃以上の温度で30分以上加熱する必要があります。家庭でこれができるのは、衣類乾燥機かふとん乾燥機でしょう。これらを使えば、衣類やふとんのダニは殺せますが、畳やじゅうたん、ソファーや床にいるダニには使えません。

日光に干す方法もありますが、表面は55℃以上になっても、ダニは日光が当たらない裏側や中側に逃げてしまうので、ほとんど殺すことができません。駆除業者は熱を使った特殊な方法で、ダニをやっつけます。彼らはマイクロ波(電子レンジに使われています)と高周波を組み合わせた誘電加熱装置を使います。

この装置で加熱すると、数分で内部まで一気に70℃以上に上昇させられます。ふとんや畳、カーペットなどはこれで加熱すれば、ダニは確実に死にます。ただし家具など障害物があると、うまくマイクロ波が行き渡らないようです。

一般家庭で行うには、コストがかかるわりには、効果が期待できないこともあるのが難点です。

アレルギーには「殺す」より「増やさない」

ダニを殺しても、ダニの死骸やフンは残ります。つまりアレルゲンは残り続けます。ですからアレルギーという観点から見ると、ダニを殺すだけではあまり意味がありません。

もちろん、ダニを死滅させたあと、死骸やフンなどアレルゲンを掃除機できれいに吸い取れば、しばらくはアレルギーの発症をおさえられるでしょう。

でもダニがいたということは、ダニが生息できる環境があったということですので、いずれまたダニは増えて、元に戻ってしまいます。何しろチリダニの雌が1匹いれば、3カ月後には100万匹に増えているのですから。ダニが増えない環境にしない限り、永遠にいたちごっこは続きます。

ということは、お父さん、お母さんが、お子さんのアレルギーを予防または改善させたいなら、ダニを殺すより、ダニが生息しにくい環境をつくることに力を注ぐべきです。

つまり環境対策を行うことが、抜本的な解決策になります。アレルギーを改善するダニ対策はダニを殺すことではなく、ダニが増えない環境をつくること、すなわち環境対策だと理解してください。

環境対策を行うには、ダニの発生源はどこなのか、彼らが生息、繁殖している場所を知っておく必要があります。ダニは家の中のどこにでもいます。私はアレルギーのお子さんがいるお宅で、寝具や畳、カーペット、押し入れ、ソファー、玄関マット、引き出しの中など、さまざまな場所のほこりやごみを採取し、ダニの数を数えました。

ほかにもたくさんの家庭で、ダニの生息場所の調査をし、その結果を整理したところ、家庭よってバラつきがありますが、ダニが多く生息するのは、だいたい次のような場所になることがわかりました。

■ダニが多い場所ベスト10

1位 ふとん、ベッド、枕などの寝具類
2位 床面:畳、カーペット、各種マット類、階段
3位 押し入れ、クローゼット、タンス
4位 衣類、衣類収納容器
5位 ソファー、椅子、クッション
6位 ぬいぐるみ、人形
7位 キッチンの食品類、食品棚
8位 カーテン
9位 家具
10位 その他(家電、チャイルドシート、掃除機の中など)

まず、「1位の寝具類」です。どの家庭でも例外なくダニが多いのは、寝具類です。寝具といっても、敷きふとん、掛けふとん、ベッドのマットレス、ベッドパッド、毛布、枕などさまざまなものがあります。

その素材にも綿、化繊、羽毛、羊毛、絹など多種類にわたり、それぞれに特徴があり、ダニの増殖に影響します。

また、寝具には人間のフケや皮膚の破片、毛髪が付着しやすいので、ダニのエサが豊富にあります。

さらに寝具の中は程度に温かく、湿度もあるため、ダニにとってはまさに楽園のような場所です。ダニが多いのもうなずけます。

「2位のカーペットや畳」もダニの生息地としては最適です。床面にはフケや食べかすといった、ダニのエサになるさまざまな有機物が落ちています。

また、床面のすみっこやすきまにはハウスダストがたまりやすく、ダニの住処としては最適でしょう。

さらに厚みがあるカーペットや畳の中にもぐりこんでしまえば、ダニにとっては安全地帯です。とくに、畳の下やカーペットの裏側は普段掃除もしないのでダニの温床となっています。

床面で忘れてはならない重要な場所は階段です。階段は掃除がしづらく、角が多いため、ごみがとりにくい場所なので、ダニの温床となります。とくにじゅうたん敷きの階段は要注意です。

クローゼットは「ダニのるつぼ」

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3位の「押し入れ」は、ダニが一番多い寝具をしまう場所なので、必然的にダニが多くなります。また、冬の時期は夏用のふとん、夏の時期は冬用のふとんが長い間保存されているので、そこでダニが繁殖します。とくに押し入れは、湿気の多い場所でもあるので、ダニが繁殖するのに最適な場所といえます。

同様にクローゼットにダニが多いのは、衣類にダニがついているからです。衣類には人間の皮脂が付着していますし、繊維に付着したごみはダニのエサになります。

クローゼットはさまざまなダニが集まる「ダニのるつぼ」のような場所といってもいいでしょう。タンスもクローゼットと同様のことが言えます。

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提供元:布団の天日干しで「ダニが死滅」という大きな誤解|東洋経済オンライン

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