2021.10.19
コロナ禍で爆売れ「本格的コーヒーメーカー」3選|新発売「バルミューダ」5万9400円の実力は?
話題のコーヒーメーカー3製品をご紹介します。左からサンコー「おうち純喫茶」、バルミューダ「BALMUDA The Brew」、ラッセルホブス「グランドリップ 8cup(7653JP)」(筆者撮影)
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コロナ禍で在宅時間が増え、売れた家電のひとつにコーヒーメーカーが挙げられる。緊急事態宣言が解除されたものの、「家で本格的なコーヒーを飲みたい」というニーズは今もなお高く、人気の製品は品薄状態になっているものもある。そこで今回は話題のコーヒーメーカー3製品をご紹介する。
独自の制御でハンドドリップを再現したバルミューダ
バルミューダから10月7日に発売された、話題の「BALMUDA The Brew」(実勢価格5万9400円)を試した。バルミューダといえば、二重の羽でやわらかい風が特徴の扇風機「The GreenFan」や水を入れてパンを焼くスチームオーブントースター「BALMUDA The Toaster」など、革新的な家電を次々と発表してきたメーカーだ。コーヒーメーカーは同社にとって初めてのジャンルだが、独自のテクノロジーに注目が集まっている。
バルミューダの「BALMUDA The Brew」。オープン式なので香りが部屋に広がる(筆者撮影)
同製品は綿密な温度制御を行うことが特徴。100℃のスチームでサーバーを温めてから、96℃の湯でコーヒー豆を蒸らす。その後、92~91℃で苦みと酸味を抽出し、次に91~90℃で甘みを抽出し、89~82℃でコクを抽出。この温度変化はハンドドリップと似ている。お湯が少しずつ冷めていく過程でコーヒー豆を引き出す味や香りが異なるため、豊かで複雑な味を表現できるのだ。
「レギュラー」モードでは、コーヒーサーバーに直接注湯する「バイパス注湯」方式を採用。全体の4分の1はコーヒー豆を通さず、お湯をそのまま注入する。これは仕上げの加水で豆の香りとコクを残し、雑味を残さないようにするためだ。実際に飲んでみたところ、コーヒーの香りを存分に楽しみつつ、クリアな後味を堪能できた。「苦いコーヒーが苦手」という方も飲みやすいだろう。
しっかりとした力強い後味を楽しみたいということであれば「ストロング」モードがおすすめだ。「バイパス注湯」は行わず、一般的なコーヒーメーカーと同じく最後までコーヒー豆を通して淹れるため、豊かな風味や甘みも感じつつ、後味に苦みが残るコーヒーとなる。
場所をとらないスリムなサイズ感で、抽出中には「カチカチ」というやわらかい時計のような音がするのもバルミューダらしい演出だ。
また、オープン式のドリッパーなので、抽出中の様子もよくわかる。香りも部屋中に広がるので、抽出中も五感で楽しむことができた。価格はドリップ式コーヒーメーカーとしては高価だが、丁寧にハンドドリップで淹れたような味を再現できるものは少ないので妥当だろう。
本体の水タンク容量は最大約490mlで、一度に3杯分まで抽出可能。魔法瓶と同じ構造なので、ドリップ後1時間ほどはコーヒーを温かいまま保温できるが、フタは一部開いている状態なのでアツアツの状態を保つことはできない。短時間で飲みきることが前提となっている。
発表からコーヒー好きの間で話題となっており、公式の販売サイトによると売り切れている。今注文しても手元に届くのは12月頃になりそうだ。
家でサイフォンコーヒーが楽しめるサンコー
サンコーの電気式サイフォンコーヒーメーカー「おうち純喫茶」(実勢価格9800円)を試した。サイフォンコーヒーとは、熱湯で抽出する方式。フラスコ(下のガラス容器)を加熱して起きる蒸気圧を利用し、コーヒーの粉を入れたロート(上のガラス容器)に湯を押し上げ、抽出する。香りがよく苦みの少ない、まろやかな味が特徴となっている。
一般的にはアルコールランプなどを使う場合が多いが、電気式なので手軽に使える。サイフォン式は理科の実験のような見た目と雰囲気が魅力。器具が特殊なため、「店で飲むコーヒー」という印象だが、同製品があれば家でも自分で淹れることができる。
サンコーの「おうち純喫茶」。抽出中、目でも楽しめる方式だ(筆者撮影)
使い方は一般的なサイフォンコーヒーと同じで、電気式といっても抽出中はつきっきりで見守る必要がある。湯が沸騰したらガラスロートをセット。ガラスロートに湯が上がってきたことを確認したら「攪拌ボタン」を押す。次に別途用意しておいた竹ベラで粉を上からおさえるようにしてほぐし、全体に粉が行き渡るようにする。ある程度時間が経つとガラスサーバーにコーヒーが落ちてくるので、ガラスロートを外して出来上がりだ。
ドリップコーヒーメーカーのように粉と水をセットしてボタンを押せば出来上がるといったタイプではなく、部品も多いのでお手入れも手間がかかる。それでも、サイフォンコーヒー特有の華やかなコーヒーの香りと甘さが楽しめるので、自分好みのサイフォンコーヒーを追求したい方はぜひ挑戦してほしい。容量は360mLで3カップ分まで。
家族で楽しんだり、おかわりしたり、来客時にコーヒーを出したいという方には、たっぷり淹れられるコーヒーメーカーがおすすめだ。ラッセルホブス「グランドリップ 8cup(7653JP)」(実勢価格1万6500円)は一度に8杯分を淹れることができるので、おかわりも楽しめる。しかも、幅が狭いので置きやすい。
ラッセルホブスの「グランドリップ 8cup(7653JP)」。純金コーティングのメッシュフィルターを採用(筆者撮影)
大きな特徴はCoresゴールドフィルターを採用していること。純金でコーティングされているため化学変化に強く、味と香りに対して影響が少ない。とはいえ、純金コーティングについては半信半疑だったが、一般的なコーヒーフィルターよりもまろやかで、しっかり豆本来が持つ香りの個性を楽しめたので驚いた。蒸らし時間は短いので、フルーティーな豆がよく合う。
抽出したコーヒーは二重構造のステンレスカラフェで持ち運ぶことができるので、好きな場所で温かいコーヒーを楽しめるのも便利だ。もう1杯飲みたいときも、そばに置いておけばそのまま注ぐことができる。
タイマー機能も搭載されている。水、ペーパーフィルター、コーヒーの粉をあらかじめセットしておけば、飲みたい時間や来客の時間に合わせてセットできる。
粒度がきれいにそろう「電動ミル」
コーヒー豆は時間とともに風味や味が劣化する。挽いた状態の粉は、豆と比べて空気に触れる面積が増え、酸化するスピードも速い。香りのよいコーヒーを楽しむのであれば、ミルを使って挽きたての豆を使いたいところ。これまでコーヒーメーカー3製品を紹介したが、どれもミル付きの全自動タイプではないので、電動ミルも紹介しておきたい。
コレスの「コーングラインダー(C330)」(筆者撮影)
コレス「コーングラインダー(C330)」(実勢価格2万2000円)は、低速回転で潰しながら粉砕するコーン式。摩擦熱の発生が少なく、粒度がそろいやすい方式だ。粒度は10段階で極細引き、細引き、中挽き、粗挽きなどの調整もダイヤルを回すだけでできる。粒度がきれいにそろっているので感激した。
粉が残りにくい直下式を採用しており、本体内部に残る粉を最小限に抑えられるので、酸化した粉が残ることがない。何より気に入っている点は、グラインドユニット(刃の部分)を簡単に取り外せること。サッと外して付属のブラシで内部をお手入れできるので、メンテナンスがしやすい。ただ、粉をためる容器がガラスではなくプラスチックなのは残念なところ。静電気で粉が内部の側面についてしまうことがあった。
グラインドユニットは手前に引くだけですぐに外せる(筆者撮影)
価格は高めだが、刃が高速回転する安いプロペラ式の電動ミルと比較すると、粒度のそろい方やメンテナンスのしやすさで妥当な価格と思える。
コーヒーメーカーはここ数年で選択肢も増え、家庭でも本格的なコーヒーを楽しめるようになっている。さまざまなタイプがあるので、味の傾向やお手入れのしやすさなどをチェックし、自分に合った製品を見つけてほしい。
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提供元:コロナ禍で爆売れ「本格的コーヒーメーカー」3選|東洋経済オンライン