2021.10.15
社会人でも「勉強を続けられる人」がしていること|挫折せずに学び続けるための6つのルール
独学で何かを学び始めようとするとき、途中で挫折しないための自分に合った学習スケジュールを作るには?(写真:CORA/PIXTA)
英語、資格、ITスキルなどを学び始めたものの、途中で挫折してしまった……そんな人は少なくないはず。とくに忙しい社会人が学習を続けるのは難しい。そんななか、元ソフトバンク社長室長の三木雄信氏は、1年で英語をマスターできるプログラム「TORAIZ(トライズ)」を6年前に開発。これまで約6000人が実際に英語をマスターし、自らの夢をかなえているという。三木氏の最新刊『ムダな努力を一切しない最速独学術』から、学びを習慣化するためのコツを解説してもらった。
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1週間単位で帳尻を合わせればいい
社会人が学習を習慣化できない最大の理由は、「仕事が忙しくて時間がない」です。しかし、どんなに多忙な人でも時間は作ることができます。また、学習スケジュールの立て方次第で、学習を習慣化できます。本稿では、学習スケジュールを作成するときの6つのルールを紹介します。これらに従って予定を組むことで、誰でも学習を習慣化しやすくなります。
ルール1 「1週間単位」でスケジューリングする
学習スケジュールは、1週間単位で立てるのが基本です。理由は「1週間の中で帳尻を合わせればいい」と考えると、無理なく続けられるからです。
1日の必要学習時間が3時間だとしても、仕事や家庭の都合でどうしても時間を確保するのが難しい日もあるでしょう。そんなときも、1週間単位で考えれば「今週の水曜は1時間しか学習できないので、代わりに金曜と土曜の学習時間を1時間ずつ増やそう」といった調整ができます。
もし、毎日必ず3時間学習することを前提にスケジュールを組んでしまうと、計画どおりに実行できなかったときに「今日も勉強できなかった」という失敗体験だけが残ります。
よって、1日単位ではなく、1週間の中で必要学習時間を達成できるようにスケジューリングするのが、挫折しないコツです。
「どこかで帳尻を合わせるなら、2週間単位や1カ月単位でもいいのでは?」そう思うかもしれませんが、スパンが長すぎるのもよくありません。なぜなら人間にとって、「7」より大きな数字を扱うのは難易度が高いからです。
アメリカの心理学者ジョージ・ミラーは、人間が短期的に記憶できるチャンク(情報の塊)の数は7つ前後だとする「マジカルナンバー7±2」と呼ばれる理論を提唱しました。
また経営学でも、1人の上司が管理できる部下の数はせいぜい7人までだとする「スパン・オブ・コントロール」の原則が知られています。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスも、「1つのチームは、ピザ2枚を囲める人数以下にしなければいけない」というルールを提唱していて、5人から8人程度の少人数体制を推奨しています。
よって、理論的に考えると、時間管理も「7日間」のサイクルで回していくのが、人間にとって最も管理しやすいと言えます。
これは皆さんも、感覚的に納得できるのではないでしょうか。「今週できなかった分は来週やろう」と思っても、いざ翌週になると「今週も忙しくてやっぱりできなかった」となりがちです。必要学習時間は1週間の中でやり切ることを前提に、スケジュールも1週間単位で立てるのが鉄則です。
予定を詰め込みすぎない
ルール2 週に1日は「予備日」にする
1週間単位でスケジューリングする際は、そのうち1日を予備日として空けてください。先ほども言ったように、どうしても必要学習時間をこなせない日もあります。急に体調が悪くなったりすることもあるでしょう。その場合は、足りない時間を予備日で補います。平日に仕事をしている人なら、週末の土曜か日曜を予備日にすると調整しやすいはずです。
もちろん、頑張って計画どおりに学習をこなしたら、予備日を休養日にしても構いません。数カ月や1年の間、ずっと全力で走り続けるのは難しいので、適度にリフレッシュすることも大切です。
ルール3 スケジュール表は「朝から」作る
社会人は朝の時間をいかに有効活用するかが目標達成のカギです。中には「出社前に時間を作るには、朝4時に起きて、5時から勉強しなくては」という人もいるでしょう。
市販の手帳は、朝8時や9時以降の予定しか書き込めないものも多いので、学習スケジュールをデザインするには不向きです。自分でフォーマットを作る場合も、早朝から記入できるように時間を設定してください。
バカにできない「ながら」学習
ルール4 「細切れ」に組み立てる
隙間時間を使った学習スケジュールも、忘れずに書き込んでください。駅から会社まで歩いている時間や、キッチンで料理をしている時間、お風呂に入っている時間なども、ながら学習の予定としてスケジュール表に入れていきます。
1回の隙間時間はわずか15分でも、1日に4回、5回と積み重なれば、すぐに1時間や1時間半は学習時間を確保できるでしょう。
「机に向かって1時間や2時間は集中しなければ」と考えると、「仕事が忙しくて、とてもそんな時間はない」とくじけてしまいますが、細切れの学習時間をスケジュールにきちんと組み入れていけば、「自分はちゃんと必要学習時間をこなせる」という自信につながります。
ルール5 就寝前と翌朝に「復習」の時間を作る
朝や隙間時間を中心に学習時間を配分するのがスケジュール作成の基本ですが、1つだけ夜寝る前にやってほしいことがあります。それは、復習です。短い時間で構いませんので、今日学んだことを読み返したり、問題の答えを確認したりして、おさらいしてから就寝してください。
さらに翌朝起きたら、昨晩復習した内容をもう1度確認します。「就寝前+翌朝」のセットで復習することで、記憶の定着がよくなり、学習効率を向上させることができます。
これには、科学的な根拠があります。人間の脳には、記憶や空間学習能力をつかさどる海馬という器官があります。
海馬は、私たちが起きている間に脳に入ってきた断片的な情報を整理し、必要だと判断したものを仕分けて、長期記憶として大脳皮質に保存します。いわば書類をファイリングし、タグ付けしてから保管庫にしまうようなもので、この働きがあるから必要なときに必要な情報を検索して、脳から引っ張り出すことができるわけです。
このタグ付けの作業は、睡眠中に行われます。よって、情報をインプットしてから就寝すれば、寝ている間に学んだ情報が整理され、学習内容を思い出しやすくなります。さらに翌朝起きてから再度その情報を確認すれば、学習内容がしっかりタグ付け保存されたことをチェックできます。睡眠が記憶の定着を促すことは、さまざまな実験結果からも明らかになっています。
こうした睡眠による記憶の固定効果を最大限に生かすには、「インプット→睡眠→チェック」の流れを毎日のスケジュールに組み込むのが有効です。せっかく努力して覚えたことや身につけたことを無駄にせず、記憶として定着させるために、就寝前と翌朝の復習をルーティンにしましょう。
効果的・効率的な学習スケジュールを作る
ルール6 まずは1回やってみる
1週間のスケジュールを作ったら、まずは1回、そのとおりに実行してみましょう。実際にやってみると、想定とは異なることも出てきます。
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「出社前に自宅で2時間勉強しようと思ったが、集中力が続かない。1時間やったら移動して、残り1時間は会社近くのカフェでやってみよう」
「リモートワークの日は夕方にウォーキングしながらシャドーイングをしようと思ったが、この時間はクライアントから急な連絡が入ることもあるので家を出にくいな。だったら気分転換を兼ねて、お昼時にやってみようか」
このように、自分にとってより効果的・効率的な学習スケジュールを再検討し、翌週のスケジュールを組み立てて、また実行してください。しばらくPDCAを回してみると、自分にとってベストな学習スケジュールがわかるはずです。
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提供元:社会人でも「勉強を続けられる人」がしていること|東洋経済オンライン