2021.10.12
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣|「これ」さえ用意すれば、おいしい和食が超簡単
5つの「魔法の調味料」のうち、「かえし」を使って驚くほど「時短」かつ「簡単」に作れる和食を紹介(写真:kaka/PIXTA)
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食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、新聞、雑誌、テレビにも取り上げられるなど大きな反響を呼んだ『食品の裏側』を2005年に上梓した安部司氏。70万部を突破する大ベストセラーとなり、中国、台湾、韓国でも翻訳出版され、いまもなおロングセラーになっている。
その安部氏が、『食品の裏側』を発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、この度『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』を上梓した。
15年の間に書きためた膨大なレシピノートの中から、たった5つの「魔法の調味料」さえ作れば、簡単に時短で作れるレシピを厳選した1冊で、発売1週間で増刷するなど話題を呼んでいる。
「『ABEMA Prime』チャンネルAbema/news」(9月8日放送)にも出演した安部氏が「魔法の調味料」の中でとくにおすすめの「かえし」について語る。
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魔法の調味料は「かえし」から作ってみよう
私たちが日々食べる食品に「どれだけの食品添加物が使われているか」、そして「それがいかに日本の食文化を侵食しているか」について訴えた『食品の裏側』が70万部のベストセラーになってから15年、各地で講演会をするたびに何百回、何千回と聞かれた、「では、何を食べればいいのですか」という質問にお答えする形で生まれたのが、「安部ごはん」です。
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その最大の特徴は、「かえし」「みりん酒」「甘酢」「甘みそ」「たまねぎ酢」という5つの「魔法の調味料」にあります。
どれも家にある調味料で簡単に作れるものばかりですが、この5つさえ用意すれば、誰でも驚くほど「簡単に」「時短で」「失敗せずに」おいしい和食が作れるのです。
5つの「魔法の調味料」はどれもおすすめですが、もしまず1つだけ作ってみるなら、「かえし」をおすすめしています。「かえし」を用意するだけでも、20品以上の和食ごはんが、簡単に作れるだけでなく、これが「和の味付けのベース」になるからです。
「かえし」は、常備しておけば、驚くほど「時短」かつ「簡単」に、和食の味が決まります。ここでは「かえし」で作れる「肉料理」「魚料理」「野菜料理」の一部を紹介しながら、なぜ「かえし」なら失敗しにくいのか、なぜ「料理上手」への近道なのか、その理由も解説します。
「料理が苦手な人」に共通する点の1つですが、往々にして「いろいろな調味料」を加えていく過程で、味がぐちゃぐちゃになってしまい、おいしくなくなってしまうことがあります。
たとえば、煮物でも煮付けでも、ゼロから作るとなると「水、だし、砂糖、みりん……」などと足していくわけですよね。でも、「料理が得意でない人」ほど、その過程で味がブレていき、失敗してしまうのです。
しかし、あらかじめ「しょうゆ+砂糖」で作る「かえし」さえ用意しておけば、それが「味のベース」になり、失敗しにくくなります。
あとは個人の好みで、料理に「甘さ」がほしければみりんを足したり、たとえば「ブリの照り焼き」で辛味がほしければ大根おろしを足すなど、アレンジもしやすくなります。
「『かえし』なんか作らずに、しょうゆと砂糖を、その都度入れたらいいのでは?」という人もいますが、それだと手間がかかるうえに、失敗したり味がブレたりする確率が高くなります。
また、「かえし」を作るときに、しょうゆと砂糖を混ぜ合わせ、寝かせる間に、「味の化学変化」が起き、単に「甘辛い」だけじゃない、「深みとコク」が出ます。だから「かえし」を使えば、失敗しにくく、味が決まり、おいしい料理ができやすいのです。
「しょうが焼き」も味が決まる
では、「かえし」を使えば、どんな料理が作れるのか。まずは、好きな人も多い「肉料理」から2つ紹介します。
【1】「しょうが焼き」は、漬け込む手間もいらない
「肉料理」の中でも人気のある「しょうが焼き」。「しょうが焼き」を作るときはタレの準備が面倒なので、つい市販のタレなどを使いがちな人もいるかもしれません。
しかし、私が考案した「絶対失敗しない豚肉しょうが焼き」では、「かえし」だけで十分、本格的な味になります。
わざわざ、その場で、みりん、砂糖などを用意する必要がありませんし、かえしの「ほのかな甘み」が加わることで、味が決まり、「おいしい」と感じやすい味になります。
しかも、肉と野菜を炒めたあと、最後に「かえし」を絡めるだけでいいので、「漬け込む」作業も必要ありません。生ショウガをすっても調理時間10分ほどでできる「時短メニュー」で、いつもの定番メニューがさらにおいしく、簡単にできます。
安部氏が開発した「かえし」さえ用意すれば、10分で簡単に作れる「絶対失敗しない豚肉しょうが焼き」(撮影:佳川奈央)
また、「かえし」を使えば、専門店の味の再現も可能です。
【2】専門店の「チキンバー」も再現
私が考案した「ガチで食べたい人の専門店のチキンバー」は、「手羽中」に、「かえし」「油」、そして「白コショウ」と「白炒りごま」を用意するだけ。これだけで、簡単に作れます。
「こんなに噛みごたえがあり、鶏肉の凝縮したうま味が感じられるレシピが、自宅でできるのか」と、実際に作った人が驚くほどの人気レシピです。
コロナ禍が続くこの時期にもピッタリの、手羽肉専門店の味を再現して、自宅で食べることができるレシピだと自負しています。
安部氏が開発した「かえし」さえ用意すれば、簡単に作れる「ガチで食べたい人の専門店のチキンバー」(撮影:佳川奈央)
「魚料理」もこんなに簡単
「魚料理」は「肉料理」を比べると、どうしても「手間がかかる」というイメージが強いですよね。
「和食✕魚料理」となると、「味付けが大変そうでハードルが高い」というイメージをもたれるかもしれませんが、「かえし」があることで、このハードルは一気に低くなります。
【3】「ブリ竜田」も「かえし」だけでOK
「竜田揚げ」と聞くと、「『しょうゆ』『酒』『みりん』と、味付けでたくさんの調味料を用意しなければいけない……」と思われるかもしれませんが、私が考案した「香ばしブリ竜田」なら、「かえし」に、あとは「にんにく」「しょうが」をちょっと加えるだけで味付けはOK。ほかの調味料はいりません。
安部氏が開発した「かえし」さえ用意すれば、15分で簡単に作れる「香ばしブリ竜田」(撮影:佳川奈央)
また、「ブリ」を「アジ」「サンマ」など、別の魚に変えても大丈夫なので応用がききます。「ブリ」にこだわらず、そのときの旬な魚でそれぞれ楽しむこともできます。
また、お刺身に応用もできます。
【4】「マグロづけ丼」も、マグロを「かえし」に漬けるだけ!
たとえば、マグロを「かえし」に漬け込むことで、簡単に「づけ丼」ができ、余った刺し身を「2度」楽しめます。
「寿司よりうまい!マグロづけ丼」なら、安価なマグロでも十分おいしく高級感あるぜいたく丼ができます。これも、マグロを「かえし」と酒に漬けるだけ。それだけで、10分で作れるには十分の本格的な味になります。
安部氏が開発した「かえし」さえ用意すれば、10分で簡単に作れる「寿司よりうまい!マグロづけ丼」(撮影:佳川奈央)
【5】「鯛茶漬け」の鯛は、冷凍で1カ月保存もできる
このマグロを鯛に変えれば、「鯛茶漬け」も簡単にできます。
しかも、「2度目のごちそう 鯛茶漬け」の鯛は、冷凍で1カ月保存可能です。まとめて作って冷凍保存しておけば、食べたいときにささっと出して食べることもできて、便利です。
安部氏が開発した「かえし」さえ用意すれば、5分で簡単に作れる「2度目のごちそう 鯛茶漬け」(寝かせる時間は除く/撮影:佳川奈央)
「和だし」を使えば、さらに味に深みが出る
もう1つ、「野菜料理」の「おひたし」にも「かえし」はとてもよく合います。
【6】「おひたし」
チンゲン菜、ほうれん草、春菊などの青菜と「かえし」で作る「だししみしみおひたし」は、一見地味な「おひたし」も、奥深い味になります。
安部氏が開発した「かえし」さえ用意すれば、15分で簡単に作れる「だししみしみおひたし」(撮影:佳川奈央)
「おひたし」には砂糖を使わないレシピも多くありますが、そこに「かえし」のほんの少しの甘みが加わることで、より多くの人が「おいしい」と感じる味になります。
「おひたし」も、単なるしょうゆを使うのではなく「かえし」を使うことで、味に深みが出るわけですが、それに私が考案した「和だし」を一緒に使うと、さらに本格的な味わいになります。
「だしをとる」となると、一気に難しく思われがちですが、「和食は面倒」は誤解!「手抜き✕絶品の秘訣」ありでも紹介しているとおり、「だしとり」も、10分でできて、じつはとても簡単にできるコツがあるのです。
「和食は面倒」は誤解!「手抜き✕絶品の秘訣」あり ※外部サイトに遷移します
「かえし」はとても簡単に作れますが、材料の分量について「しょうゆに対して砂糖の量が多いのでは」という質問をいただくことがあります。
作りやすい分量で見てみると「こんなに砂糖を使うの?」と思われがちですが、「かえし」の割合は「しょうゆ10」に対して「砂糖3」が目安なので、決して多いわけではありません。たとえば、「しょうゆ大さじ1(15cc)」のとき「砂糖4.5g」です。
砂糖は小さじ1が3gですので、このときの砂糖は「小さじ1と2分の1」程度と、しょうゆに比べてかなり少ない分量になります。「かえしは砂糖が多いのでは?」という人に限って、煮物などを作るときに、もっとたくさん砂糖を入れていたりするものです。
砂糖を使いすぎているわけではありませんので、安心してください。
「ほのかな甘み」があると、「おいしい」と感じる
人間は、「適度な甘み」がある食べ物を「おいしい」と感じやすいものです。
『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102』に掲載されている「調味料別さくいん」。「かえし」だけで作れるメニューが22品掲載されている。
しょうゆだけだと「辛いだけ」「しょっぱいだけ」になりがちですが、それが「かえし」になると「ほのかな甘み」が加わる。だから、多くの人が「おいしい」と感じる料理ができるのです。
「かえし」を1つ覚えるだけで、「肉料理」「魚料理」「野菜料理」とレパートリーがぐんと増え、「和食」がとても身近なものになります。
私が「安部ごはん」として考案したレシピでも、「かえし」だけでできるメニューは22品もあります。
ぜひ、「魔法の調味料」の1つ「かえし」を使うことで、「和食の素晴らしさ」を感じながら、「手軽✕時短」で「おいしい和食」を楽しんでください。
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提供元:「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣|東洋経済オンライン