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2021.10.06

「添加物と無縁な生活」は許されないという現実|「普通のサンドイッチ」で胃腸がパニック?


知り合いの知り合いからなんと「100年ものの梅干し」をいただく。100年前の暮らしに想いを馳せつつ大切に食べております(写真:筆者提供)

知り合いの知り合いからなんと「100年ものの梅干し」をいただく。100年前の暮らしに想いを馳せつつ大切に食べております(写真:筆者提供)

疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第27回をお届けします。

普段、どこで食材を買っているのか?

さて、ここまでの連載をお読みいただいた方は薄々お気づきかと思うが、私、まあまあの健康マニアである。マニアと言っても色々あるので一緒くたに語られるのは不本意ではあるが、それでも世の中の人を「健康マニア」と「そうでない人」に分けたら、間違いなく健康マニアグループに所属すると思われる。

稲垣えみ子氏による連載27回目です。

稲垣えみ子氏による連載27回目です。

この連載の記事はこちら ※外部サイトに遷移します

特に、食べるものにはうるさいタイプだ。健康的なものを食べたいし、逆に言えば、健康的なものを「おいしい」と思う人間である。

とはいえ。

じゃあ日々の買い物にものすごく気を使っているかというと、これが案外そうでもない。

世の健康マニアの中には、オーガニックな自然食品店でしか買い物をしないという方もおられよう。米や野菜は無農薬。加工品や調味料も添加物を使わないものを。

それはそれでよーくわかります。私も大好物の玄米餅や洗濯石鹸を買いに、近所の自然食品店には定期的にお世話になっている。あと調味料(味噌と醤油)はどこで買おうと、シンプルな材料しか使っていない昔ながらのものを選んでいる。

でも、普通に普段食べるものをいつも自然食品店で買うかというと、そこまではしない。

やっぱりね、ちょっと値段が高いのだ。

もちろん高いのには理由がちゃんとあって、無農薬で人の手で虫をとり雑草を取り、気の遠くなるような手間暇かけて作られたものが、そうじゃない野菜と同じ値段はなずはない。

そういうものを生産しておられる方をとても尊敬するし、それを買う方も尊敬します。私もたまには買わさせていただいております。しかし毎日のこととなると、どうしても値札を見て尻込みしてしまう。

加えて、私は八百屋が好きなのだ。オーガニックスーパーもスーパーのうちであって、私はスーパーじゃなくて八百屋のお兄さんお姉さんから野菜を買うのが好きなんである。

そしてもう一つ、理由がある。

誤解を恐れずに言えば、自然食品店で何もかも買うというのは、私にとっては「ピュアすぎる」行動なのだ。

実は私には手痛い経験があって、以前「マクロビオティック」という健康法に非常に凝ったことがありまして、それまで当たり前に買っていたもの、食べていたものの多くが「ダメ出し」をされていることに驚き、そんなに悪いものを食べていたのか! と買い物に非常に気を使うようになり、まさに自然食品店で多くのものを買っていたことがあった。

ところがそれがだんだんエスカレートしてくると、普通に売っている食品や、普通の食品を普通に食べてる人が、なんだか「ダメなもの」「ダメな人」のように見えてきてしまうのである。周りはすべて汚れていて、自分だけはピュア。そんな選民思想のようなものにとらわれ始めた。

普通の店に出入りできなくなり、友人と食事に行くと胸がつかえるようであった。こうなってくると、これはこれで立派なビョーキである。健康のためにやっているのに、心の健康はどんどん失われていく気がした。

そこで初めて気がついたのだ。あれもダメ、これもダメというような排除的な食生活は、何事にも必要以上に夢中になってしまう私のような人間には向かなかったのである。

ということで、日々近所の普通の店で普通に売っているものを普通に買い、普通にご飯を作って普通に食べている。それが私の現在の食生活である。それでも十分にヘルシーな、しかも天文学的に安価な食生活を送っていることは、これまで散々自慢してきたとおりであります。

食品表示を必ずチェックするようになった理由

で、これで一件落着と言いたいところなのだが、一つ、困ったことが起きているのであった。

普通に売っているものを、普通に買う。先ほども書いた通り、それが私の食生活のモットーなんだが、最近、そうもいかなくなってきたのである。何か食べ物を買おうと手に取るときは、必ずパッケージをひっくり返して裏側を見る。添加物をチェックしているのだ。

なぜこんなことをし始めたのかというと、何度か「ひどい目」にあって懲りたためである。

始まりは、数年前のある朝のこと。とある大手コーヒーチェーン店で何気なくヘルシーな野菜サンドとコーヒーを食べながら仕事をしていると、どうも胸のあたりがムカムカしてきた。全身もだるい。

あれ、なんか体調悪い? お腹でも冷やしたのかしらと思ってやり過ごしたんだが、その後もその店に行くたびに、同じ症状に見舞われるのであった。

コーヒーの飲み過ぎだろうか。でも他の店ではどうということもないのである。ってことはもしかして……サンドイッチ? と思ってラベルの表示を見ると、驚くほどの長いカタカナの羅列である。

それまで意識したことなどなかったが、確かにどこかの工場で作られたものをフレッシュさをキープして店頭に並べるとなれば、それなりの添加物が必要なのだろう。調味料にも添加物が入っているのかもしれない。

でもそれまでの人生の中で、外で何かを買って食べて気分が悪くなることなどなかったのだ。それに、普通のサンドイッチですよ。ジャンクなものでも何でもない。まさかこの程度の添加物で体が反応するなんて、にわかには信じられなかった。

だがその後も、似たようなことが続く。何かの拍子に調子に乗ってスナック菓子をバリバリ食べたりすると、明らかに胃腸が拒否反応を示している感じなのである。

「ピュアすぎる体」が添加物を受け付けない

いや……これはどう考えても、添加物に体が過剰反応しているのではないだろうか。

確かに、いわゆる「ピュアな食生活」をしている人が、「普通のもの」を食べると全身にじんましんが出るという話を聞いたことがある。健康的な食生活を追求した結果、むしろ体が弱くなってる??……とフシギな気もするが、調べてみたところ、確かに人の消化器官というものは、日頃食べているものに応じて消化の体制を整えるらしいのであった。

食べ慣れていないものが突然やってくると、「えー! なにこれ! キイテナイヨ!」となって、たちまち途方に暮れてしまうらしいのだ。要するにうまく消化できないのである。

つまりはですね、私の胃腸はそのようなことになっているらしい。普通の店で普通のものを買い、普通に料理して食べているはずが、まさかの「めちゃくちゃピュアな食生活」になっていたらしいのである。なのでわが胃腸は、まったく見慣れぬ添加物が急にやってきた日にゃ、「なにこれー? キイテナイヨー」とパニックになっていたんである。

いやいやーいつの間にそんなことに? と思って、改めてわが食生活を見直してみる。

するとですね、た・し・か・に! 

私、いつの間にやらめちゃくちゃピュアな食生活! うっかりすると、添加物など1ミリも摂取せぬまま何日も過ごしているのであった。狙っているわけでも意識しているわけでもないのに、そうなっちゃっているんである。

だって毎日、玄米飯、味噌汁、ぬか漬けですよ! ぬか漬けも梅干しも自家製だから添加物など入る余地がないし、味噌も半分は自分で作っている(買うときもここは添加物フリーであることを意識している)。

味噌汁の出汁も、昆布や鰹節をそのまま投入して食べてしまうという超ザツなことをしているので、だしパックなど使うこともない。

となると、どこをどうやったって添加物が入り込むスキマなどないではないか!

これにはわれながらビックリしてしまった。ピュアすぎる食生活ってどうなの? と思って今の食生活に落ち着いたのに、気づけば誰よりもピュアになっちまっている……。

添加物フリー生活を許さぬ現代

ここで得た教訓は2つ。

その1。「ピュアな食生活」は自然食品店に通わずとも、質素な暮らしをしていればものすごくフツーに手に入る。つまりはまったくお金などかからない。具体的には一食150~200円程度である。

その2。現代では「ピュアな食生活」を送っていると、社会生活に支障が生じる。友達と楽しく食事に出かけた後で、倒れて寝込むということにもなりかねない。

……ということで、うっかり安くピュアな食生活を送っている私としては、普通の社会生活を送る必要上、定期的、意識的に、添加物入りのものを少しずつ摂取するよう心がけることとなった(個人的には「服毒」と呼んでいる)。どうにもこうにも妙な話だが、それが現代社会のミもフタもない現実なのである。

にしても、冷蔵庫のない私が食生活の手本としている江戸時代の人々は、考えてみりゃ当然添加物なんて口にしてなかったわけで、っていうか当時は添加物なんてなかったんですよね。それでフツーに暮らしが成り立っていた時代もあったのだ。われらのナゾの進歩を思う。

記事画像

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提供元:「添加物と無縁な生活」は許されないという現実|東洋経済オンライン

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