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2021.10.04

知人からの「嫌な依頼」をトラブルなく断る方法|「言いにくいこと」をつい抱え込んでませんか?


断ることをためらいがちな日本人に知ってほしい、うまい「NO」の言い方(写真:kouta/PIXTA)

断ることをためらいがちな日本人に知ってほしい、うまい「NO」の言い方(写真:kouta/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ®」の大野萌子です。

コミュニケーションについての悩みの中には、「言いにくいこと」を抱え込み、困ってしまった、というケースがよくあります。そうした「言いにくいこと」の代表的な例が「断ること」です。

取引先からの依頼、友人からのお誘い、急な頼み事……。断りたくても、「NO」と言えば相手に嫌われてしまうのではないかと思い、結局引き受けてしまった、というのはよくある話です。

人と協調するように、と教えられて育つ日本人は、どうしても断ることを躊躇する傾向があります。しかし、断ることこそ大切なコミュニケーション、今回はそのコツを拙著『困ったときの言いかたルール:「言葉選び」「タイミング」「心くばり」』の中から、お伝えしたいと思います。

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例を挙げてみます。

Aさんに、取引先のBさんから仕事の依頼が来ました。Bさんは昔からの知り合いです。受ける気はなかったのですが、その場ですぐにはっきりと断るのはちょっとためらわれ、Aさんは次のような返事をしました。

「検討させていただきます」

このような言い方はビジネスではよく使います。

当然、Bさんは付き合いのあるAさんに期待を寄せます。「検討する」と言われたので返事を待ちました。

その間、せかしてもいけないと思い、連絡も取らずにギリギリまで待ちました。それでも返事がなかったので連絡を取ったところ、NOの返事でした。

結局、期待したAさんからはOKをもらえず、Bさんはほかに発注するチャンスも逃します。これをきっかけに、両者の関係は悪くなってしまいました。

Aさんがその場を取り繕うために半ば社交辞令として伝えた一言が、大きな溝を生んでしまったのです。

確かにギリギリまで待ったBさんにも責任がありますが、その気がないのならAさんは、はっきりと断ったほうがよかったのです。それをしなかったために、相手に期待を持たせることになってしまいました。

このトラブルの原因は、断ることで相手に不快な思いをさせたり、怒らせてしまうかもしれないという思い込みです。

しかし、よく考えてみてください。曖昧にすることでその場はうまく収まったかもしれませんが、結果的には相手に損をさせ、関係性まで悪くしてしまいました。つまり、関係性を考えて、NOと言わなかったのは、「相手のため」ではなく「自分のため」だったのです。

このようなケースを生まないためにも、NOははっきりと、シンプルに伝えることが基本です。いきなりNOと言うのは失礼になるかもしれませんから、最初に日頃の感謝を述べてからNOの意思表示をするといいでしょう。そのときには誤解を生まないように、表情も言葉も曖昧にしないことが大切です。相手の目を見て、しっかりと言いましょう。

また、断るだけでなく、代案がある場合は、それを伝えると完全な拒否にならずに済みます。

例えば、午後の誘いを断る際に、「午前なら行けます」。あるいは日時の都合が悪い場合なら「○日なら空いていますが、いかがでしょうか」という具合です。

ただ、どうしても行きたくない用事の場合は、お茶を濁してはダメです。相手に期待を持たせないように、代案などは出さずに「夜は家に早く帰らなければいけない用事があるので、行けません」など、相手にわかるようにはっきりと断りましょう。

頼まれた仕事を角を立てずに断るには

断りにくい例としてよくあるのが、「仕事のサポートを頼まれた」というケースです。相手も困っていて必死に頼んでくることもあるでしょう。

この場合も、中途半端な同情は逆に悪い結果を招きます。頼まれた仕事が専門外であったり、自分の仕事で手いっぱいだったり疲れているときなどは、受けないほうがお互いのためです。

その場合は、

「最近、仕事が忙しくて疲労がたまっている。お手伝いをしてあげたいけど今は無理」

「今日は大事な用事が入っている。申し訳ないけど時間を取れない」

などの理由を、はっきりと相手に言うことです。

どうしても断りにくいケースならば、条件提示をしてみるのもいい方法です。「完璧にはできないけれど、それでも問題ないか」を問いかけてみるのです。

例えば、次のような言い方です。

「1人では無理なので誰か手伝ってくれる人をお願いできますか」

「働いているので平日はできません。土・日だけでよければ考えてみます」

このような言い方は相手に歩み寄る姿勢を見せることになりますので、相手も受け入れやすくなります。ビジネスなどでの商談には、日常的に使われる手法です。

ビジネスだけでなく、プライベートでも地区の役員や、PTAの係などをお願いされる場合もよくあります。

このようなときも曖昧な返事は厳禁です。「迷っているだけだ」と思われると、必ず相手は押してきます。できない理由をはっきりと伝えましょう。

「NO」を言うことにためらう必要はありません。逆にこちらの気持ちをはっきり伝えるほうが、その後の人間関係にとってプラスになるはずです。

ただ、「NO」と言いたくても、時として、相手の勢いに押されて、「YES」と返事をせざるをえなくなる場面はあるものです。

相手の勢いが強いときは、そこから一時的に距離を置くことが最善です。

「少しお時間をいただけますか。○日までには返事を差し上げます」

と伝えるのが無難です。

周りがOKと言っているときに、自分だけがNOと言うのが気まずい、という人の場合も、勢いに負けてついついYESと言ってしまうことがあります。

すると、その後、1人で悶々とどのようにしてキャンセルしたらいいかを考え、悩み続ける羽目になります。

そうなる前に先手を打って一呼吸を置くようにしましょう。それからいつまでに返事をするかを相手に伝えます。自分が冷静になれる程度の時間を空けてください。

目上の人にも使える「うまい言い方」

相手が目上の人だったり、重要な取引相手だったりすると、頼み事をなかなか断りにくいケースがあります。このようなときは自分以外の人を使って断る方法がおすすめです。

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例えば、次のような言い方です。

「私一人の判断では荷が重すぎますので、社に帰り、上司と相談のうえ、返事をさせていただければと思います」

「この案件は私の裁量だけで決めることはできませんので、上司ともども充分に検討して、返事をさせていただきます」

この場合、実際に自分に裁量があってもなくても使って構いません。すぐに断ると相手に失礼になると判断した場合、口実として使ってもいいと思います。相手も言われたからといって嫌な気持ちにはなりません。

本当に荷が重い場合はもちろんのこと、ビジネスでの駆け引きではこのような言い方をよく使います。

相手の勢いが強い場合、本当に迷っている場合、一時的に時間を作りたい場合、すぐに断ると失礼な場合。まさにいろいろなパターンに応用できる方法です。みなさんも断る言い方の1つに加えてみてはいかがでしょうか。

言いにくいことを伝えなければならない場面は、日常、ビジネスで多々起こることです。そんなときに拙著「相手に納得してもらえる言葉」「関係を崩さずに受け入れてもらうフレーズ」など、言いにくいことを伝えるコツを満載した『困ったときの言いかたルール:「言葉選び」「タイミング」「心くばり」』を参考にしていただけると幸いです。

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提供元:知人からの「嫌な依頼」をトラブルなく断る方法|東洋経済オンライン

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