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2021.08.25

フランス人が提案「緊急宣言下の日本」の楽しみ方|観光客がいない今こそ日本を楽しむチャンス


なかなかどこへも行けない今年の夏を少しでも楽しく過ごすには?(写真:PIXTA)

なかなかどこへも行けない今年の夏を少しでも楽しく過ごすには?(写真:PIXTA)

前回(フランス人が日本に戻って心底感じた「自由」)とは真逆の厳しい日本への帰国となりました。私がフランスから戻ったのは、東京オリンピックが始まる2週間前でした。

今回は、前回とは対照的に、検疫がとても厳しかったです。飛行機から出てきた瞬間から、私は管理されていました。まず、唾液による新型コロナウィルスの検査を行い、スマホやiPadなどに3種類のアプリケーションをインストールしなければなりませんでした。その際に、多くのスタッフの助けを借りましたが、彼らは非常に親切で丁寧でした。

フランス人が日本に戻って心底感じた「自由」 ※外部サイトに遷移します

水際対策は以前より厳しくなっている

「隔離期間」とされる14日間も、何度もチェックがありました。位置情報システムを利用した場所の確認や健康状態を確認するためのメール、そして連日のビデオ通話…。1日に何回も私がどこにいるか確認をされました。今どこにいるのか、とスマホに通知が来た際には、「ここにいます」というボタンを押さなければなりませんでした。

私の日本の友人たちは皆、この厳しい対策を聞いてとても安心しているようですが(前より政府が対策に真剣に取り組んでいると捉えているようです)、私にとっては大きなストレスだったと言わざるをえません。なにせ私はすでに2回のワクチンを終えているのですから……。

さて、私が日本に住んでからかなり長くなりますが、実は日本で夏を過ごすのは、NHKでフランス語のプレゼンターとして日本に移住してから今回が2回目でした。初めて過ごした時、あまりの暑さと湿度の高さに参ってしまい、それから日本では二度と夏を過ごすまい、と思っていたのです。しかし、今回は東京オリンピック関係の仕事があったため、来日せざるをえなかったのです。

私が日本に到着して間もなく、緊急事態宣言が決定されました。バーやレストランでは酒類の提供が禁止され、閉店するお店も増える中、街はとても静かになりました。前回の来日時には、すべての店が開いていて活気に満ちていることにとても驚きましたが、今回は全く違います(GoToキャンペーンにも驚かされました)。

パリが完全に閉ざされて空っぽになったのを見た後、今度は東京の番なのだと言わざるをえません。ただ、パリと違うのは、完全なロックダウンができないことと、飲食店を完全に閉鎖する法的な手段がないことです。さらに、要請に従わなくても罰金を払わずに済むのは、フランスとは大違いです。

東京オリンピックも結局、無観客のままで開かれました。日本人にとっては、自分の家でパーティが開かれているのに、そのパーティに自分が参加することが許されないような状態です。多くの日本人の友人から、いかに自分たちが政府に失望しているかを聞かされました。

「日本の夏」を見直してみる

新型コロナの感染者が爆発的に増える一方、多くの人はせっかくの夏休みなのにどこにも行けず、「ステイホーム」を求められ続けることに嫌気がさしているのではないでしょうか。そこで、今回は私なりに緊急宣言下の夏を楽しむ方法を考えてみました。

そうめん

今回、東京を離れて愛知県と岐阜県に旅行したとき、葛飾北斎の浮世絵で有名な阿弥陀ヶ滝に連れて行ってもらいました。前日の雨のおかげで、この滝のエネルギーとパワーをひしひしと感じることができました。

そして、そこで初めて「流しそうめん」を食べる機会がありました。とても新鮮で独特な夏の伝統料理です。水の流れでなかなか上手につかむことができませんが、それもまた楽しいのです。

そう、これこそ今日本の人たちに楽しんでほしいことです。新型コロナによってなかなか旅行や外出ができない中、今こそ日本の各地の美しさや、夏の風物詩を新たな視点で発見してほしいと思います。

昨年、状況が緊迫していたフランスでもこうした動きがありました。海外や遠くに旅行に行けなくても、それぞれの地域の特産品やモニュメントを発見したり、新しい場所を開拓したり、やったことのないスポーツに挑戦したりしたのです。これは結果的に、多くの人に新しい楽しみや驚きを教えてくれました。

日本人がそうめんに新鮮さを見出すことは難しいかもしれませんが、例えば流しそうめんのように食べ方を変えてみたり、これまで試したことのなかった具やつゆに挑戦するなど、夏の定番の食事を見直すチャンスになるのではないでしょうか。

ちなみに、今回の岐阜訪問では鮎という魚や、鳥を使った伝統的な漁法(鵜飼)にも初めて触れました。これらについては聞いたことはありましたが、夏にしか見られないそうですね。とても印象的でした。

風鈴

もう1つ、日本独特な夏の風物詩といえば「風鈴」です。多くの外国人は、軒下に吊るされた物体に何の意味があるのか不思議に思っています。しかし、日本のこのおそろしいほどに暑い夏を味わった今、風鈴を通り抜ける風の音を聞くだけで涼しさを感じる感覚が理解できます。

そういえば、パリに持ち帰るために1つ買ったことがありました。パリの自宅の前にある小さな木に取り付けました。そこは隣人との共有スペースだったのですが、日本に長期滞在をして戻ってきた時、風鈴が縛られているのを見てとてもショックでした。近所の人たちは、風鈴の音でまったく癒されなかったようです。これが異文化生活の面白さです。

実は日本は「美術館大国」

美術館・博物館・展覧会

フランスでは厳格なロックダウンが行われていた時は、美術館や博物館は軒並み閉まっていましたが、日本では多くの美術館がオープンしています。だからこそ、美術館や展覧会に足を運ぶのにふさわしい時期といえるのではないでしょうか。

多くの美術館では密を避けるために事前予約などを行っています。日本では人気の展示会は「作品より人を見に行った」ということになってしまう時もありますが、来館者の人数制限を行なっているのであれば、通常時よりゆっくり作品を楽しむことが可能です。

あまり知られていませんが、日本は美術館大国で、どの地域にも素晴らしい、個性的な美術館があります。今こそそういう場所を訪れるチャンスではないでしょうか。

新型コロナの感染者が増えていることばかりに目を向けていると、日本は絶望的な状況にあるように見えてしまいます。しかし、ワクチン接種が確実に、そして急速に進んでいるので近い将来はもう少しポジティブな状況になることを願っています。

日本はとてもすばらしい国で、この夏、世界の人々がこの国を直接見に来ることができなかったのは本当に残念なことです。しかし、観光客がいない今だからこそ、地元を改めて探索してこれまでスルーしていた場所を訪れてみたり、日本独特の夏の風物詩を静かに体験してみたりするのに適した時期でもあります。そう、私自身がフランスで何年かぶりにベルサイユ宮殿に行ったように……。

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提供元:フランス人が提案「緊急宣言下の日本」の楽しみ方|東洋経済オンライン

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