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2021.07.14

「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差|管理職で定年を迎えた人ほど早々に辞めるワケ


再雇用後、同じ会社で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻ることになる。そのとき、あなたは現場の実務をこなせるか(写真:horiphoto/PIXTA)

再雇用後、同じ会社で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻ることになる。そのとき、あなたは現場の実務をこなせるか(写真:horiphoto/PIXTA)

この4月から「高年齢者雇用安定法」が改正となり、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務となりました。現在は65歳までの雇用が義務化されていますが、そこからさらに5年という期間が努力義務となったことで、すべての企業ではないものの70歳まで会社に残って働ける可能性は増えてきたといっていいでしょう。

ところが現状では、定年延長どころか再雇用でも70歳までの雇用機会を設けているところはそれほど多くはありません。帝国データバンクが今年の2月に調べた結果によれば、定年を70歳まで延長するところはわずか3.4%です。比較的多いのは70歳までの継続雇用制度を採用するところで、これは25.4%です。その他の制度を合わせても何らかの就業機会の確保を予定しているのは43.6%ですから半分以下です。

さらにいえば、これは制度をつくるということであって、全員が必ず70歳まで雇用されるわけではなく、成果や能力の評価によっては雇用されないということもありえます。したがって、望めば誰もが70歳まで同じ会社で働けるというわけではありません。

70歳までの雇用をめぐる昨今の記事やコメントをみていると、「自己評価が甘すぎる」とか「自分の価値を冷静にみるべきだ」という比較的シビアな意見がみられますが、70歳までの雇用確保への取り組みはまだ始まったばかりです。むしろ、それ以前に現在の雇用延長制度、すなわち60歳から65歳までの再雇用制度にも問題点はあります。

再雇用後の仕事に「判断する業務」はない

私は、自分自身も定年後に再雇用で少しの間、働いた経験がありますので、実体験からいわせてもらうと、再雇用でうまくいくかどうかの分かれ目は性格とか能力といった要素よりも、もっとシンプルな要因で決まります。結論からいえば、「現業で働いている人」はうまくいくことが多いですが、「管理職」はうまくいかないことが多いのです。私自身、定年前は管理職でしたので、60歳で定年になった後に再雇用で働き始めたものの、結局半年で辞めて自分で起業しました。

でも、これは考えてみれば当たり前の話です。現業で働いている人、例えば製造現場で作業に従事していたり、営業マンとして第一線で顧客開拓をしていたり、あるいは経理で実務をやっていたりという人であれば、自分のやるべきタスクがはっきりしています。もちろん、人によって能力差はあるものの、少なくとも“仕事がある”ことは間違いありません。

ところが、管理職のまま、定年を迎えた人は、とたんに“仕事がなくなる”ことが多いのです。管理職の仕事は「判断すること」です。でも定年後は多くの場合、管理職ポストを外れて一兵卒になりますから、管理職の業務=判断することはなくなってしまいます。もちろん、管理職としての仕事は、判断することだけではありません。自分の部門の業務をスムーズに進めるために上層部への根回しやトラブルが起きたときの対応、部下の評価といったこともありますが、多くの場合、そういった業務はなくなります。

定年後の再雇用において管理職のまま勤務を続けられるのであればいいですが、そういうケースはまだ少ないでしょう。したがって再雇用されたものの、管理職からは外れ、重要な仕事を任されることはまずありません。どんな内容であれ、自分が誰かに必要とされていると感じられれば、働くことに生きがいを覚えるでしょうが、そうでなければモチベーションは大きく低下します。

では、管理職の人には定年後の再雇用においても、そのままの立場で残って働いてもらえばいいのかというと、事はそれほど容易ではありません。とくに大企業になればなるほど下から若い人がどんどん上がってきますし、ポストは限られますから、ずっと管理職のままでというわけにはいかないのです。だとすれば現在、管理職の人が60歳や65歳以降も一定の存在感を発揮して働きたいと思ったら、いったいどうすればいいのでしょう。それは「準備すること」に尽きると思います。

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「準備」というと、定年後に再就職や起業をするのかと思うかもしれませんが、必ずしもそうでなく、会社に残る場合も「準備」をしておくことが大切なのです。では何の準備をするのか?ということですが、それは「自分の部署が行っている業務に対する理解と知識の補充」です。「何を今さら! そんなことぐらいわかっている」と思うかもしれませんが、長年管理職をやっていると実務に関する最新の知識はわからなくなっていることが多いのです。

なぜなら、実務は現場の若手がやっているからです。でも同じ会社で、再雇用で働く場合は昔と同じ一兵卒に戻るわけですから、判断する業務は不要で、実務をこなさなければなりません。したがって若手同様に現在の業務に対する最新の知識を補充することは必須です。他の部署に異動するのであれば、現在の業務の知識を覚えても無駄になるかもしれませんが、会社としても60歳以降にまったく経験のない業務に就かせて一から教育するなどということは効率が悪いでしょうから、多くの場合は現在の部署で立場を変えて仕事をすることになります。

再雇用後は「老後の初心」を忘れずに働こう

実務をこなすための知識を勉強し、その能力を身に付けることは欠かすことができません。「若手じゃあるまいし、今さらそんなことができるか!」という人は再雇用には向いていないと思います。いえ、再雇用だけではなく、転職にしても起業にしても素直に学ぶ姿勢がないと、おそらくどんな仕事をやってもうまくいかないでしょう。

室町時代に能を広めた世阿弥が著した『風姿花伝』の中に「老後の初心」という言葉が出てきます。60歳を迎えてから学ぶことを失わないことの大切さを説いているのですが、まさに再雇用でうまくいくために必要なことは、「老後の初心」ではないでしょうか。自分が会社に入った頃に一から学んだ業務のことを再び学ぶ、そのことに新鮮な気持ちと喜びを覚えることが再雇用で楽しく働ける秘訣だと思います。

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提供元:「定年後の再雇用」うまくいく人、ダメな人の差|東洋経済オンライン

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